良い包丁とは何か。
VG10と銀三
ステンレス鋼の素材に関していうと、ネットでよくおすすめに挙がってくるのは、VG10と銀三というステンレス鋼だろう。
それぞれ、武生特殊鋼材のV金10号、日立金属の銀紙三号が正式名称となる。
これらのステンレス鋼共通する特徴が、含有する炭素量が多くて硬いということだ。
使用している鋼材が硬いと鋭い刃が付き、切れ味が良い包丁ができあがる。
しかし、一般的には切れ味の良さと研ぎやすさはトレードオフの関係にある。硬い物質は砥石で削りにくいので当然である。
にも関わらず、切れ味の良さと研ぎやすさを両立させていると言えるのがこのVG10と銀三であるようだ。
詳しい理由までは分からないのだが、VG10はコバルトを含有しているため、刃先が丸くなっても切れ味が続きやすく、銀三はモリブデン・ニッケル・バナジウム・タングステンのような硬い物質を含んでいないことで研ぎやすいと言われる。
VG10は研ぎやすい素材に切れ味が良くなる工夫がされ、銀三は切れ味の良い素材に研ぎやすい工夫をしているといったところだろうか。ここは調べてもよく分からなかった。
VG10
銀三
ダマスカス
また、中心部にのみVG10や銀三を使い、その両側に異なる鋼材を何層も積み重ねる、いわゆるダマスカスという包丁もある。
硬い鋼材がそれよりも柔らかい鋼材に挟まれることで、曲がりにくく切れ味が向上し、加工もしやすい包丁になるようだ。
ここまで調べた結果、VG10か銀三のダマスカス包丁を選んでおけば取り合えず良さそうに感じる。
包丁の品質は製造工程によって左右されるので、鋼材だけを見て判断することはできないが、1つの指標にはなるだろう。