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ICLを検討してやめた話③(完結)

前回までで、ICLの無料カウンセリングに行ったものの、様々なリスクを感じその場では決めきれず保留にして終わった、というところまで書きました。

今回はカウンセリング後に、視力矯正手術を一旦辞めると決めるまでに考えた内容をまとめていきたいと思います。


気になったポイント

ICLもレーシックも、もちろんリスクや考慮しなくてはいけないことがあります。その中でも気になったポイントをいくつかあげたいと思います。

1. 角膜内皮細胞が減るリスク(ICL、レーシック共通)

角膜内皮細胞は角膜の一番内側の層にあり、角膜の透明性を保つ役割を担っています。

角膜内皮細胞は一度死んでしまうと再生することはありません。
健康な人でも加齢と共に減少していくようですが、手術(ICLに限らず眼の手術全般)によりダメージを受けて減ってしまうこともあるとのこと。
コンタクトを長時間・長期間つけていることでも減りますが、酸素透過率の良いレンズにして装用時間に気を付けることなどで減少をゆるやかにはできるそうです。
ちなみに角膜内皮細胞が減少しすぎると角膜移植が必要になったり、将来白内障の手術が受けられないなどのリスクがあります。
また、事前検査の時点でこの細胞が少ないと、ICLは受けることができないようです。

2. レンズ回転のリスク(ICL)

多くのレンズ回転は術後24時間以内に起こり、ほとんどは10度以下の小さなズレで、位置調整やレンズ入れ替えを要するほどの回転は極めて稀とのことでした。
しかしICLを検討してやめた話①でも書きましたが、私は乱視が強いため少しレンズが回転しただけでもかなりの見えにくさを感じてしまうことが予想されます。
それに稀とは言っても、調べると0.5%前後としているクリニックが多く、つまり200人に1人はなんらかの再手術を受けていると考えられます。
また0.5%前後という数字はICLを受けた患者の総数から計算しているものと思われるので、私のような強度乱視を持つ患者のみで考えると、もしかしたらもう少し確率は上がるのかなとも思いました。

3. 眼内レンズの抜去、交換は容易ではない(ICL)

これは医師の診察の際に聞いたのですが、ICLではレンズを入れる際には小さく折り畳んで入れて、眼球内で広げるという手法になりますが、出す時は広げたまま取り出すので、入れる時よりも負担は大きいとのことです。
世間で言われているようにICLはレーシックと違い可逆性があることが大きなメリットであると私も考えていましたが、思った以上に簡単に取り出したり取り替えたりできるものではないのかも知れません。
さらに先ほど述べた角膜内皮細胞は手術により減る可能性があるので、なるべく抜去や交換などの再手術は避けたいなと感じました。
しかし私は強度乱視があるため、レンズの回転に伴う再手術の可能性は近視だけの人より高いのでは無いかと考えています。

4. ドライアイ(レーシック)

レーシックについて調べると、よくドライアイが酷くなってしまったという話も聞きます。
実際医師からも、レーシック直後から3ヶ月ほどはドライアイが激しくなる人が多く、そこからは元の眼の状態に戻っていくという説明がありましたが、自分で調べた中では、元のドライアイより酷くなったままの人も多いように感じました。

5. 眼圧が正確に測れなくなる(レーシック)

緑内障の判断には、機械による眼圧の測定が用いられるようなのですが、レーシックをすると目の表面が均一ではなくなるため正確な眼圧が測れず、判断が難しくなってしまうそうです。

6. 乱視・近視の戻り、進行(主にレーシック)

これは主にレーシックですが、角膜を削っても眼球が元に戻ろうとする力が働き、それが強いと近視や乱視が戻ってきてしまうことはあるようです。(ICLでもあることにはあるらしい)
ここに関しても個人差はあるとは思うのですが、周りのレーシック経験者に聞いても、やはり当初ほどのクリアな見え方ではなくなったという人が多かったです。
また、これはICLも共通ですが、視力矯正手術をしてもしなくても、今の状態よりさらに近視や乱視が進むことは誰しも考えられます。
そういった際はレーシックでは再度角膜を削る、ICLではレンズの交換などの対処が考えられますが、レーシックであれば角膜の厚さは限界がありますし、ICLでも眼の健康を考えるのであればなるべく再手術は避けたいところです。

7. 老眼には対応していない(ICL、レーシック共通)

ICLもレーシックも、老眼に対しての術式は一応あるようですが、今のところあまり精度が高くなく、老眼鏡を使用する方がいいとのこと。
個人差はありますが40歳くらいから老眼は始まっていくので、現在32歳の私がICLやレーシックをしたとしても10〜15年後には老眼鏡をかけなくてはいけない可能性があり、完全な裸眼でいられる期間は思ったより短いのかもしれません。
そうなると費用対効果に少し疑問が生じます。

さらに、これはyoutubeで眼科医の方が話していたのですが、近視ということは近くが見やすいということなので、老眼を感じにくい人が多いのだそうです。
しかしレーシックやICLで近視を無理やり遠視の状態にしてしまうと、そのメリットが失われてしまうとのこと。
現代社会では(生活スタイルや職業にもよりますが)遠くを見ることよりもスマートフォンなど手元を見ることの方が多いので、将来を考えて近視を残すのも良いのかもしれないと感じました。

しなきゃいけない理由が無い

以上気になったポイントをあげていきましたが、こういったことを自分の中で調べて消化していく中で、
「そもそもやらなくてはいけない手術なのだろうか」
と思いました。

例えば数年前にレーシックをした友人はハードコンタクトレンズ使用者で、痛みや充血がひどかったため手術を受けることにし、今は多少視力は戻っているが全く後悔は無いとのことです。
他にもコンタクトアレルギーになってしまった方、職業上の理由でメガネがかけられない方、スポーツをしている方、最強度の近視がある方などは視力矯正手術を受けた方が良いと言えると思います。

一方私の場合、乱視は強いですが近視はそこまで強くなく、コンタクトにもつけていられないほどの不快さや不便さを感じているわけではありません。花粉症やアレルギーもありません。
ぶっちゃけ、QOLが上がるならやりたいな〜程度のモチベーションでした。
しかし今回調べていく中で、その程度のノリで受けるにはかなりリスクの高い手術であると感じました。
眼というのは代わりが効くものでは無いですし、健康な眼にわざわざ傷をつけ、将来的なリスクも負ってやるほどの理由が私にはありませんでした。

以上のようなことを考えて、私は視力矯正手術を受けるのを辞めました。

ICLを検討している方へ

芸能人やインフルエンサーでもICLをしている方は増えているし、SNSやyoutubeでも多くの体験記を目にすることができます。
もしかしたら皆さんの身近にも手術された方がいらっしゃるかもしれません。
きっとその多く、いや、ほとんど全てが「やってよかった」「世界が変わった」などのポジティブな反応に溢れているのではないかと思います。
クリニックの紹介制度を利用してもらう為に感想を投稿している人も多いことも理由かも知れませんが、実際に技術自体は素晴らしいものですし、ほとんどの方が満足できる手術であろうと思います。
考えられるリスク項目は多いですがどれも可能性は低いですし、自分には起こらないことと考える人がほとんどでしょう。
しかし、リスクは確かにあるのです。
決して気軽に試せる手術ではありません。
本当に自分には全てのリスクを受け入れて手術をするほどの理由があるのか、考える必要があると思います。

ですが、もし自分の友達が「まぁなんとなく楽になるならやろっかな〜」という過去の私程度のモチベーションでICLを受けることにしたとしても、私は止めません。
なぜならリスクに対する考え方は人それぞれですし、決めるのはその人自身だからです。
私は必要以上のリスクは負いたく無い、どちらかといえば石橋を叩いて渡るタイプです。
なのでこの記事も、こう考える人もいるんだな〜程度に考えていただけたらと思います。
それに、もしICLやレーシックを検討しているのであれば、SNSやネット記事をたくさん見て考えるよりも、一度無料カウンセリングを受けてみて、自分の眼の状況を知ったり、疑問点を直接医師に質問するのが一番良いです。そもそも適用外の可能性もありますしね。


そんなわけで、ながくはなりましたが、「ICLを検討してやめた話」を終わります。

ご覧いただきありがとうございました。










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