食の都市伝説(1)「岩塩でお召し上がり下さい」
その日、私は赤坂駅近くの蕎麦屋で遅すぎる夕食をとろうとしていました。閉店まぎわだったのでしょう、客は私だけでした。しばらくして、足音もさせずにざる蕎麦を持ってきた店員が言いました。
「最初はヒマラヤのピンク岩塩でお召し上がり下さい」
でた! 噂には聞いていたが実際に聞いたのは初めてでした。どんどん動悸が激しくなり、ころがるように店を飛び出しました。脇目も振らず走り、いくつ角を曲がったでしょうか。息が切れて立ち止まったのは三分坂の下の薄暗い交差点でした。息を整えながらふと見