「ブレイクスルー・ハウンド」121
「なあ、隊長。俺たちの組織の目的はなんだ」
「なんだ、突然? 『日本国を害する勢力の情報を収集し、これに対処する』だ」
「今の俺たちは?」
「金の切れ目が縁の切れ目だ。お偉いさんが代わって、情報機関なんぞ重荷に感じて放り出しやがった。だから、俺たちは自分たちの食い扶ちを自分で稼ぐようになった。今さら、日本への忠誠もへったくれもあるか」
髪を左右で黒と白に分けた、白人とのハーフの少年は不機嫌な顔になっ井上の顔をにらんだ。正義だの正論だのというものを、彼は死よりも嫌っているとい