徐々にとらわれていく【6】

仕事は相変わらず捗らない

そんなはずはないと踠く私は

側から見れば滑稽だろう

特に私を知らない人からすれば

『本気を出せば私はすごいのだ』と

主張している人に相違無く見えるはずだ

空回り続ける私

実際私は皆にどう思われているのだろう

いちいち他人の目が気になる

私はどうすべきだったのか

きっと

私の言動が人を不快するのだ

私は他の人と何か違う

私がいなければ揉める事も無かった

全て私が悪いのだ

だって　職場の平穏を私が荒らしているのだから

この頃には日に何回も

自分を卑下する妄想を繰り返す様になった

私の思う他人から見た自分像は

陰湿で

醜悪で

私が心から嫌う先輩達と何も変わらない

落ち度は常に私にあるのだ

仕事の合間の休憩で

談笑しながら歩く先輩に

笑顔で会釈する私

少しづつだが確実に鈍くなる感覚

それを受け入れられない心

大丈夫を繰り返しながら右往左往する私

周りから浮かない様に

嫌われない様に

必要以上に明るく挨拶をする

何度もありがとうを言う

何があっても怒らない

そうやって少しづつ

自分を見失っていく