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そうして走るようになった⑥


※さて、今回でこのシリーズは終わろうと思います。ただランニング関係の記事は引続き書いていくつもりなので、お暇な時にでも一読していただけたら幸いです。




あま君と走らなくなってから、
私は一人で走ることを続けた。

着替えてから準備運動、それからサプリメントを摂取。サングラスとランニング用の時計を装着し、玄関を後にする。


コースは大体、家の近くの遊歩道、もしくは河川敷。
その時の気分で距離走か時間走か決めて走る。

調子が良い時は10kmくらい走れるのだが、大体は5〜7km。それでもけっこう疲れる。

たまに、走りながら考えた。

(私は何のために走ってるのだろう??)

特にレースに出るわけでもない、
趣味と言ったら確かに趣味だが、体調が少しくらい優れなくても走りに出かけている。

時計の心血管系ステータスを維持するために走っているというのも一理あるが、時計に支配されるほどのハマリっぷりでもない気がする。


やっぱり、いつかまたあま君と走れるんじゃないかって、どこかで期待しているのだ。


あいつは天の邪鬼だから、猫のように気まぐれで何考えてるかよくわからんから。

もしかしたら、奇跡的にまた気が乗って誘ってくれるかもしれない。

そんな淡い期待が私の走る原動力になっているのかも。
そう思うと何だか少し情けない気もした。

だけど、その恋心なくしても


今、純粋に走ることが楽しいと思えてる。
タイムが縮まるのが嬉しいと思えてる。
昨日よりも長く走れると達成感を感じる。
色んなシューズを試したいと思えてる。

ランニングについてたくさん知りたいと思えてる。


あぁ、そうだ。
あま君を通して、私はいつの間にかランニングがちゃんと好きになってたんだ。

子どもの頃、足が遅くて惨めな思いばかりしたこの私が。
運動大嫌いなこの私が。
大人になって自ら外に出て走ろうとしているなんて。


情けない気持ちから、ほんの少しだけ
誇らしい気持ちもした。


これからも走ろう。
君がいてもいなくても。


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