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好きになっても…いいですか?⑧

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6人用 (男3 女3)

登場人物

中山美緒 みお 22歳 女 IT企業の社会人1年目、頑張り屋過ぎて空回り、恋も仕事にも不器用

中島瑠衣 るい 27歳 男 美緒の先輩 面倒見がよく、頼まれたら断れない性格

立花由香  ゆか 26歳 女(実は28歳)帰国子女 容姿端麗 高飛車で素直になれない性格

相田咲夜 さくや 22歳 男
元ホスト 女の子に目がない、瑠衣をライバル視している

島田部長 48歳 男 怖くて有名な上司、人を見る目がある

島田菜々子 ななこ 20歳 島田部長の娘 わがまま 自己中 ぶりっこ クールな二面性あり

作品紹介

前回までのあらすじ
デパートで迷子の男の子(一ノ瀬 樹)を見つけた瑠衣と美緒、美緒のキスをかけて、男同士のゲーム勝負をする瑠衣と樹、美緒の協力もあり、辛うじてゲームに勝った瑠衣が樹に本当の理由を聞く…そして、由香と咲夜の恋の行方は?…第⑧話スタートですっ!

本編

島田部長:おっはよう〜!仕事しながらでいいから聞いてくれっ!日頃から頑張っている君達に、私からの労いとして、今週末、新年会を開こうと思ってるっ!もちろんっ!私の奢りだっ!みんなっ大いに飲んで食べて騒いでくれ!

咲夜:さっすがっ島田部長っ!よっ!太っ腹っ!

由香:へぇ〜新年会か〜!いいわね〜!会社で飲むなんて久しぶりねっ!

瑠衣:島田部長のご厚意だし、有難く参加させてもらおうか!ねぇっ美緒ちゃんっ!

美緒:そうだねっ!あ、でも私…あまり飲めないし…また酔って瑠衣に迷惑かけてしまいそうだから…

菜々子:だったら欠席したらいいじゃないですかっ私が瑠衣さんのお酒のお相手しますからっ!ねぇ〜瑠衣さんっ♡

瑠衣:な、菜々子ちゃんっ!ちょっとっ…ここ会社だよっ!腕に抱きつかないでっ!島田部長だっているんだからっ💦

菜々子:大丈夫ですよ〜パパならわかってくれますからっ!

瑠衣:そういう問題じゃなくてっ…

美緒:ダメ〜!瑠衣から離れてっ!やっぱり私も行きますっ!

(週末 新年会)

島田部長:ではっ!今日は新年会だっ!仕事の事は一旦忘れて、楽しくやってくれ!それではっ乾杯っ!

全員:カンパーイ!

菜々子:瑠衣さ〜ん!菜々子が〜瑠衣さんの為に〜おつぎしま〜すっ!

瑠衣:菜々子ちゃん…おっとっ零れるから、そのくらいでいいよっありがとうっ!

菜々子:そうですか〜?じゃあ次は〜菜々子にも〜お酒ついでくださいっ!

美緒:はいっ菜々子ちゃんっは自分でど〜ぞっ!(ビール瓶を菜々子に渡す)

菜々子:…ちっ…

瑠衣:あははは…

咲夜:んぐっんぐっんぐっ!…(飲む)ぷは〜!やっぱりっ仕事終わりに飲む酒は最っ高〜だな〜!

由香:な〜にオヤジ臭いこと言ってんのよ〜!でも、たまにはこうやって大勢で飲むのもいいわねっ!最近は相田君と2人で飲んでばっかりだったし、盛り上がりにかけるっていうか?ちょっとマンネリ化してきたわよね〜ちっとも面白い話題振らないし…はあ〜顔はいいのに…勿体ないっ

咲夜:はあ?…よくいいますよっ!毎晩、当たり前のように人を引っ張り回してっ!オレが飲みの誘いを断ったらっ!あ〜だこ〜だ文句言うくせにっ!大体ね〜自分が美人だからってそんな上目線で人を見下してっ!…そんなんじゃいつまでたっても結婚どころか彼氏だって出来ませんよっ!まったくっ…

瑠衣:相田君…?今日はどうしたの?やけに由香に突っかかって…

美緒:相田さんっ…ちょっと今のは言い過ぎですよ…由香さんも悪気があって言ったんじゃないと思うし…

由香:…あっそっふ〜ん…相田君、私が誘った時いつもそんな風に思ってたんだ…ごめんね今まで…もう誘わないからっ…悪いけど私…先に帰るわっ!

美緒:ちょっとっ由香さんっ?もう帰っちゃうんですか?

瑠衣:おいっ由香っ!待てってっ!

由香:ほっといてよっ!…どうせ私なんかいない方が飲み会も盛り上がるでしょ!さようならっ!

瑠衣:あっ…はあ〜…相田君…追いかけて謝った方がいいんじゃない?

咲夜:いいんですよっ!帰りたいなら帰れば…んぐっ…はあ…オレだって…オレなりに頑張ってるのに…少しは…優しい言葉をかけてくれたって…美緒ちゃ〜ん!やっぱりオレと付き合おうよ〜!

美緒:相田さんっちょっと飲みすぎですよっ!それに私には瑠衣がいるので丁重にお断りしますっ

菜々子:なにあれ?ダッサッ…やっぱり元ホストなんて所詮顔だけね…(ボソッ…)瑠衣さ〜んっ!一緒に飲みましょうよ〜!

美緒:キャッ!菜々子ちゃんっ…そこ私の席だからっ割り込んで来ないでよっ!

菜々子:あら〜!中山さんいたんですか〜?全然気づかなかった〜!

瑠衣:あ〜ほらほらっ!今日はせっかくの島田部長主催の新年会なんだしっ!これ以上の揉め事はなしでいこうよっ!ねっ?美緒ちゃんっ菜々子ちゃんっ

(翌週 会社)

咲夜:おっはよ〜!美〜緒ちゃんっ!…って、あれ?…由香さんは?

美緒:あ、おはようごさいます…相田さん…それが由香さん先週の飲み会の後から体調崩してるみたいで…今日は会社お休みするって連絡があって…

咲夜:へぇ〜そうなんだ…珍しいな…あの由香さんがね〜…あ〜あれだっ!どうせオレと毎晩飲み明かしたのが身体に響いたんじゃないの〜?もうそんなに若くないのに無理したから〜しょうがないな〜もう〜!

菜々子:朝からウッザっ…相田さんて…ホント…いちいちウザいですよね…

咲夜:え?菜々子ちゃん…

菜々子:元ホストなのに女性の気持ちもわからないんですか〜?本当に最低ですね…

咲夜:なんなの?さっきからオレの事をうざいとか最低とか…菜々子ちゃんがオレの何を知ってるって言うんだよっ!

菜々子:相田さんの事なんか何も知らないですよ!だからうざいんですよっ!毎日顔合わせて、2人で飲みに行くような仲なのにっ!立花さんの事をフォローもせず…言いたい放題っ!何なんですか?愛情の裏返しですか?はっ!聞いてるこっちはうんざりなんですよっ!

美緒:菜々子ちゃんっ!…そこまで言わなくても…

菜々子:中山さんも女性なんだからそう思いますよね?

美緒:それは…確かに…あんな言われ方したら由香さんだって…

咲夜:みんなして…なんだよ…由香さんが休んだのも…オレのせいだっていうのかよっ!

菜々子:そうですよっ!全部っ相田さんのせいですよっ!それ以外に理由あります?

瑠衣:菜々子ちゃんっ!ちょっと落ち着いてっ…ここはオレに任せてくれないか?相田君…ちょっと別室で2人で話そうか…ここじゃあれだから…

咲夜:中島さん…っ…わかりましたよ…

美緒:瑠衣…

(会議室内)

咲夜:で?…なんですか?中島さん

瑠衣:相田君…単刀直入に言うけど…由香の事…どう思ってる?

咲夜:どうって…ただの同僚ですよっ

瑠衣:本当にそれだけなのかな?

咲夜:はあ?そうですよっ!それに…いつも飲みに誘ってくるのは由香さんからだし…あの人からしたら、オレはからかいがいがある、ただの後輩としてしかみてないでしょうけど…中島さん達もいつも聞いてるでしょ?オレの事をいつもからかって、笑ってる由香さんを…

瑠衣:ああ…見てるよ…だからこそ…相田君が由香の事をどう思ってるか聞きたくてね

咲夜:…え?…どういう事ですか?

瑠衣:由香は昔から素直じゃないんだ…聞いてるかも知れないけど…オレ達は同期入社でお互いライバル同士だった事もあって…いつからかオレが由香の事を好きになってね…いつもオレの揚げ足を取るような事ばかり言ってきて…ちょうど今の相田君みたいにね

咲夜:昔から由香さん変わってないんですね…

瑠衣:うんっ…人の事はよく見えるのに自分の事は見えてないんだよ…でも、それはオレも同じだった…由香に言われて美緒ちゃんの気持ちに…自分の本当の気持ちに気づけて、今こうして美緒ちゃんと付き合えてる…感謝してるよ…由香にも島田部長にも、もちろんっ!相田君っ!キミにもねっ!

咲夜:中島さん…

瑠衣:だから…相田君も、もっと素直になってもう一度由香と話してみたらどうかな?あのプライドの高い由香の事だし…きっと相田君からの連絡を待ってるんだと思うよ…

咲夜:……中島さん…1つ聞いてもいいですか?

瑠衣:ん?なんだい?

咲夜:昔…由香さんのどこを好きになったんたんですか?

(会議室 ドア前)

菜々子:え?ウソ…瑠衣さんが…由香さんを好きだったなんて…趣味悪…

美緒:ちょっとっ!菜々子ちゃんっ!盗み聞きはよくないよっ

菜々子:中山さん…この事知ってたんですか?

美緒:…う、うん…まあ…2人から目の前で聞いたし…まだ瑠衣と付き合う前に…

菜々子:中山さん…意外とタフなんですね

美緒:え?そうかな?

(会議室内)

瑠衣:どこをって…うーん…そうだな…ああ見えて実は純情なところとか…なんだかんだ言ってフォロー入れてくれるところとか?…口では説明できないけど…由香といたらそれなりに楽しいし飽きないよ!まあ言い方はキツイけどねっ…あれ?これ?良い意味なのかな?

咲夜:んっふふっ!言えてるっ!まあ語彙力には欠けますが…まあオレも?由香さんと同じで顔は良いし、結構美男美女だったりしますからねっ!あはははっ!

瑠衣:うんうんっ!2人はお似合いだと思うよっ!

咲夜:ちょっとっ!中島さんっ!そんな上手いこと言って…オレと由香さんをくっつけて…美緒ちゃんから手を引かせようとか考えてないでしょうね?ジロッ

瑠衣:あはははっ…

咲夜:あっ!今笑って誤魔化しましたねっ!卑怯ですよっ!中島さんっ!

瑠衣:とにかくっ…由香ともう少し向き合ってみたら?何かあれば相談に乗るからさっ!ね?

咲夜:ふんっ…わかりましたよ…

(由香 宅)

由香:はあ〜私…何やってんだろ…

(回想)

咲夜:はあ?…よくいいますよっ!毎晩、当たり前のように人を引っぱり回してっ!オレが飲みの誘い断ったらっ!あ〜だっこ〜だっ文句言うくせにっ!大体ね〜自分が美人だからってそんな上目線で人を見下してっ!…そんなんじゃいつまでたっても結婚どころか彼氏だって出来ませんよっ!まったくっ…

(回想終わり)

由香:それにしても…あいつ…ちょっと言いすぎよね?…生意気だわ…でも図星を突かれて気が滅入るなんて…私…もう若くないのかな〜…はあ〜結婚か〜…ん?メール…誰かしら?

美緒:由香さんっ!…体調大丈夫ですか…あの…もし…体調が少しでも良くなったら…今晩とか少し話せないですか?(美緒のメール)

由香:美緒ちゃん…心配かけてるわね…寝てばかりも身体に良くないしっ!…うんっ!ちょっとは外の空気でも吸いにいきますかっと…送信っ

(夕方 喫茶店)

美緒:あっ!由香さんっ!ごめんなさいっ!体調悪いのに呼び出したりなんかしてっ

由香:ふふっ…いいのよっ!…別に身体はなんともないし…それで?話って…

美緒:あの…新年会の時の件なんですけど…

由香:ああ…やっぱりその話ね…もう気にしてないわよっ!…て…言えば…ウソになるわね…

美緒:私…思うんですけど…相田さんは別に由香さんの事が嫌いであんな事を言った訳じゃないと思うんです…寧ろ好きだからこそ…お互い嫌な事も言い合えるし…私…ずっと2人の事みてて…羨ましいなって…

由香:ええ?私と相田君の関係が羨ましいだって?…どこがよっ!私からしたら瑠衣に守られてる美緒ちゃんや、ずっと瑠衣を慕ってる美緒ちゃんの方が羨ましいけど…私もあんな風に素直になれたら苦労しないのに…

美緒:…でも…瑠衣は私に遠慮してるのか、自分の話をしないんです…いつも私ばかり話してるから…もしかしたら信用されてないのかなって…少し不安になったりする時もあったり…

由香:瑠衣は昔からそうなのよっ!相手に合わせるというか…聞き上手すぎて…でも美緒ちゃんが楽しそうに話してるの見て瑠衣自身も嬉しいんじゃないの?いつも笑ってるし

美緒:それが本心なのかどうか…この間、瑠衣の実家のお母様に挨拶に行ったんですけど…その時、お母様に言われたんです…あの子が泣いてるところを見た事がないから、辛い時は泣かしてあげてねって

由香:確かに…瑠衣とは長い付き合いだけど…そう言えば泣いてるの見た事ないわね…きっと心の中では泣いてるんじゃないかしら?…たぶん幼い頃の影響で本心を人に見せないように生きてきたのね…癖みたいなものよ

美緒:う〜ん…癖か…あっ!ごめんなさいっ!今日は私と瑠衣の話をする為に由香さんを呼んだんじゃないのに…

由香:いいのよっ!そういう話の方が喋りやすいしっ…私も瑠衣と似てるのかもね…付き合が長いせいかしら?

美緒:由香さんは相田さんの事どう思ってるんですか?

由香:随分ストレートに聞いてきたわねっw…そうね〜いじりがいがある可愛い後輩よっ!ふふっ

美緒:それだけですか?…特別な感情とかは…

由香:美緒ちゃん…私に何て言わせたいのかしら?

美緒:いえっ別に…そういう訳じゃ…でも、ただの後輩にしてはプライベートで飲みに行ったりしてる所をよく見かけるんで…もしかしたら付き合ってるのかな?と思ってました

由香:私と?相田君が?あっははははっ!ないないっ!…でも気が合うのは確かかも…今まであんなに骨のある子はいなかったし、元ホストなんて、うちの会社で務まらないと思ってたけど、意外に根性あるし…そういう所は私としても、認めてるのよっ!ただ…恋愛感情か?と言われればそれは違うわね…今は…

美緒:今は…?

由香:私を惚れさせるくらい、相田君が男らしくなったら付き合うくらいはするかもって話…

美緒:え?…じゃあ可能性はあるんですねっ!

由香:美緒ちゃんさ…ちょっと面白がってない?

美緒:そんな事ないですよっ!いつも私の相談に乗ってくれてたので、私も何かのカタチで返したいな〜ってずっと思ってて…もし気持ちがあるなら、精一杯応援したくて…それで…

由香:はあ〜美緒ちゃんのそういう所なのよね!私に無いのは…可憐で素直で可愛くて…

美緒:由香さんもっ充分魅力的ですよっ!私にはない魔性の女的魅力を感じますからっ!

由香:魔性の女?…美緒ちゃ〜ん!それ…褒めてないからね〜

美緒:ええ〜!じゃあ…どう言えばいいんだろ?…え〜と…?

由香:うう〜んっ!やっぱり美緒ちゃん可愛いわっ!…ん?…メール…

美緒:誰からだろ…

由香:噂をすればだわ…

美緒:相田さんですか?

由香:そ…今から私と会って話したいみたい…ふう〜まあ…そうね…このままってのも気まずいし…

美緒:行って来てくださいっ!私はいいですからっ!ちゃんと話して仲直りしてくれたらそれで充分ですっ!

由香:ごめんねっ美緒ちゃん…たまには私が相田君の話を聞いてあげますかっ!

美緒:うんうんっ!いつもの由香さんに戻りましたねっ!その調子です!行ってらっしゃいっ!

(公園)

咲夜:はあ〜呼び出したものの…由香さんに何を話せばいいんだ…謝る?…いやそれはなんか違う気がするな…言い過ぎたのは自分でも分かるけど…でも…あ〜もうっ!…そういやオレって…人に頭下げた事あったかな…

由香:…いた…こんな寒空の夜の公園なんかに呼び出して…私が風邪引いて寝込んだらどうするのよ?…まあ〜頭冷やすのにはちょうどいいけどね

咲夜:由香さん…

由香:私に何か話があるから呼んだんでしょ?ほらっ聞いてあげるから話しなさいよ

咲夜:由香さんは…なんでオレなんかに構うんですか?本当に好きなのは中島さんですよね?

由香:そうね〜何故かしら?最初は瑠衣と美緒ちゃんにあてられて…なんかムシャクシャした時に、相田君がいたから誘ったんだと思うけど…

咲夜:じゃあオレじゃなくてもよかったって事ですよね…

由香:それは違うわ…相田君だから誘ったのよ…たぶん私と同じ気持ちだったろうから…初仕事で上手くいかなかった時もそう…なんとなく昔の自分を見てるみたいで…今でもあまり変わらないのかも…瑠衣に同じ事言っといて、自分はどうなのよって…ホント呆れるわよねっ!あははっ…

咲夜:中島さん…言ってましたよ……由香さんは素直じゃないけど実は純情で一緒にいたら楽しいし飽きないって…言い方はキツイけど…感謝してるって、愛されてるじゃないですかっ

由香:瑠衣らしいわね、そう考えると私ってめんどくさい女よね

咲夜:え?今頃気づいたんですか?…あ…いやっ

由香:あはははっ!言ってくれるわねっ!病み上がりの私に…はあ〜まあアンタくらいよ、本音で喋ってくれるのは…そこがいいのかもね…ねえ?前から聞きたかったんだけど…ホストを辞めた理由ってなんだったの?

咲夜:くだらない理由ですよ

由香:聞かせなさいよっ…嫌じゃなかったらだけど

咲夜:別にいいですけど…長い話になりますよ?辞めた理由の前に、なんでホストになったのか?から話さないとなんで

由香:いいわよっいつも私のワガママに付き合ってもらってるんだし、今日は聞く側にまわるから

咲夜:ホストを始めた理由は…顔が良かったからですっ!

由香:やけにストレート過ぎるわねっ!もっと複雑な事情を期待したわよっ!…あ〜それで…なにか他にきっかけみたいな事はないの?

咲夜:きっかけですか?そうですね…オレ、学生の頃は優等生で…親からも将来を有望されてたんですよっ…いつも学校から帰ってきたら直ぐに勉強するような…いわゆるガリ勉だったんですよね…あっもちろんメガネもかけてましたよ

由香:へぇ〜…人は見かけによらないのね…今の相田君からは想像できないわね、完全に陰キャじゃなくて陽キャだものっ

咲夜:だから言わなかったんですよ、特に由香さんに知れたら、からかわれるに決まってますからねっみんなには内緒ですよっ!

由香:わかってるわよっ!それでっ!そのガリ勉君がなんでホストなったのよっ!早く聞かせなさいよっ

咲夜:ガリ勉君…でっ…ある日テレビで高校生のモデルのオーディション番組を放送してたんですよ…オレと同じ歳のやつが、カッコイイ衣装きてランウェイを歩いてるの見て…衝撃を受けたんです…こんな世界があるんだな〜てっ!女の子達にキャーキャー言われて、オレと真逆な生活送ってるやつがいるのに、オレは毎日机にかじり付いて勉強してる…どっちが楽しい人生なのか考えたら、いてもたってもいられなくて…その日に家出したんですよっ

由香:テレビに影響されすぎでしょ〜!あっはははっ!極端なくらいバカねっ!それで…モデルにはなれたの?

咲夜:それが…どこのモデル事務所に行っても学生のオレなんか相手にされなくて、親には家出がバレて連れ戻されるしで…でもどうしてもやってみたくて、親を説得して高校を卒業したら好きな事をしてもいいって言われたんで、卒業と同時に一人暮らしを初めてモデル事務所に通いながらバイトしてたんですよ

由香:へぇ〜真面目に頑張ってたんだ〜

咲夜:でも、全然芽が出なくて、モデルっていくら努力しても才能とかあるみたいで…オレにはそれがなくて…だんだんレッスンに通うのも辛くなったんです、おまけに金も無かったし…人生で初めての挫折だったんですよ…そんな時…ある人に声掛けられたんです…

由香:もしかして…その人って…

咲夜:ええ…ホストの方でした…しかも東京では有名な人で当時、店でNo.1のホストで

由香:それがきっかけだったんだ…でも凄いじゃないっ!そんな人にスカウトされるなんて

咲夜:何の才能もないオレを唯一拾ってくれた、この人について行こうって必死でホストの仕事を覚えて、その人と肩を並べられるまでになったんです

由香:やるわねっ!相田君っ!さすがイケメンっ!

咲夜:ところがある日…店にそのNo.1が来なくなったんです

由香:え?急に?辞めちゃったの?

咲夜:しかも、前日の店の売り上げ金も全部なくなってたんです…

由香:ええっ!それってその人が窃盗して逃げたって事?

咲夜:どうかわからないんですよ…未だにその人とは会えてないので…いい人だったのか?悪い人だったのか?…でもオレにとっては恩人だったんで…違うって信じたくて…

由香:相田君…それはショックだったわよね…信じてた人に黙っていなくなられたら…

咲夜:その後、なんとか店の売り上げ金を回収しようと必死で働いてたら…いつの間にかオレがNo.1になってて…お金もなんとか取り返せたんですけど…でもなんか…もうどうでもよくなって…結局オレはホストになりたかったのか?その人に憧れてただけだったのか?わからなくなって…それで辞めちゃったんです…

由香:相田君…

咲夜:ね?くだらない理由でしょ?もっとカッコイイ話したかったのに…菜々子ちゃんの言う通り…オレってダサくてカッコ悪くて最低ですよねっ!はははっ

由香:そんなことないわよ…

咲夜:え?

由香:そんなことないって言ったのよっ!相田君っ!必死で頑張ったじゃないっ!その人が帰ってくるの信じてっ!代わりに借金背負って返したんでしょ?カッコイイわよっ!ぐずっ…すっごいバカだけど…

咲夜:…由香さん…え?泣いてるんですか?

由香:泣いてるわよっ!悪いっ?アンタが泣かせる話するからでしょ!

咲夜:…まさか泣くとは…なんか…すいません…大丈夫ですか?

由香:ぐずっ…ダメね…最近涙もろくて…飲み会で相田君に言われた事くらいで…落ちこんだり…はあ〜打たれ弱くなったわ〜歳なのかしらね?

咲夜:今日の由香さん…妙に女っぽいですよね…はいっハンカチ…涙拭いてくださいよ…らしくないですよ

由香:ありがとう…今日の相田君こそ…いつもより優しくて…らしくないわよ

咲夜:そうですね…自分でもそう思いますよ…でもオレ…そんな…由香さんの事…嫌いじゃないですよ?

由香:私もそんな相田君の事…嫌いじゃないわよ?

咲夜:なんですかそれ?真似しないでくださいよっ

由香:別に真似してないわよ…私の本心だからっ

咲夜:ほんっとにっ!素直じゃないですねっ

由香:それはお互い様でしょ!ふふふっ

咲夜:くははっ…間違いないですねっ!

由香:まあ、私に新しい彼氏ができるまでは〜相田君で我慢してあげるわっ!

咲夜:は?なんですかそれ?そんなこと言って、その前にオレに可愛い彼女ができて後悔しても、もう遅いですからねっ!

美緒:くしゅんっ!…あっ(くしゃみ)

瑠衣:美緒ちゃんっ…しー!(小声)

由香:あっれ〜?美緒ちゃんと、それに瑠衣の声がするんだけど〜?気のせいよね〜?

咲夜:なっ…中島さんっ!?美緒ちゃんまで…2人して…いつから居たんですか!?

瑠衣:いやったまたま…通りかかっただけだよ…ねえ?美緒ちゃん

美緒:そ、そうですよっ!いや〜偶然ですねっ!由香さんっ相田さんっ

由香:ヘタな小芝居はいいから出てきなさいよっ!はあ〜…最初からおかしいと思ったのよね〜相田君の方からの話があるなんて…瑠衣っ!あなたの仕業なんでしょ!

瑠衣:え?何もないよね?相田君?

咲夜:オレに振らないでくださいよっ…もうバレバレじゃないですかっ!はあ〜

美緒:でもっ2人が仲直り出来て良かったですねっ!

咲夜:ぐはっ!やっぱり聞いてたんじゃんかよ〜!

瑠衣:由香…ちょっと目が赤いけど…どうしたんだ?

由香:意地悪な質問してくるわねっ!最初から見てたんでしょっ趣味悪いわねっ!でも…心配してくれてた事は…お礼をいっとくわ…ありがとう

美緒:なんだか今日の由香さん…素直ですね…可愛らしい

咲夜:そうなんだよ美緒ちゃ〜ん、オレも調子狂っちゃって…

瑠衣:まさか…ガリ勉だったとはね…確かに頭はいいよねっ相田君ってっ

咲夜:うっ…そこから?…1番聞かれたくない人に…聞かれた…っ…

由香:まあ、もういいじゃないのっ!お陰様でギクシャクせずにこうやって話が出来たんだし…面白い話も聞けたしっ!うふふっ

咲夜:由香さ〜んっ!やっぱり前言撤回していいですか?

由香:あら?ダメよっ!私と美緒ちゃんに瑠衣、相田君以外に3人も証人がいるんだからっ…『オレ…由香さんの事、きらいじゃないですよ』な〜んて?

美緒:うふふふっ!

瑠衣:はははっ!

咲夜:わざわざ口に出して言わなくていいじゃないですかっ!あ〜やっぱり言うんじゃなかったっ!くぅ〜!(泣く)

由香:さ〜てっ!いっぱい話して笑ったらお腹空いたわねっ!4人でなんか食べに行きましょうよっ!

美緒:いいんですか?私達がお邪魔して?

由香:いいのっ!いいのっ!これ以上、相田君と2人でいたら…いろんな意味で耐えられなくなるしっ

瑠衣:え?それって…

由香:あ、悪いけど、美緒ちゃんと瑠衣は先にお店に行っといて、後で連絡するからっ!

美緒:わかりましたっ!瑠衣っ!先に行こうっ!ほらっ…邪魔しちゃだめだよ(小声)

瑠衣:あ、ああ…

(瑠衣と美緒が去る)

由香:…いつまでしゃがみ込んでるのよ…

咲夜:はあ〜…由香さんはいいですよね…なんかオレばっかり損した気分ですよ

由香:ふふっ…そうねっ!相田君の事…少しは知れて良かったわっ!

咲夜:え?由香さん…(由香を見上げる)

由香:チュッ(リップ音)

咲夜:!?…んっ…んんっ

(咲夜が由香を見上げた瞬間、由香が咲夜にキスをする)

由香:これで少しは得した気分になったかしら?ふふっ

咲夜:由香さん…もしかして…本気でオレの事を…

由香:勘違いしないでよっ!…LOVEじゃなくて、LIKEだから…今はね…ほらっ行くわよっ!相田君っ!ふふっ!

咲夜:え?あっ…ちょっと待ってっ由香さ〜んっ!

to be continued


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