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【小説】メルクリウスの喚声

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【あらすじ】 結城竜也(ゆうき たつや)は、実力はあるが運に見放された漫画原作者。ある日、竜也と同棲している野村容子が、勤務先の大学教授・首藤薫(すどう かおる)から神秘思想に関… もっと読む
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記事一覧

【小説】メルクリウスの喚声 第一話

【あらすじ】 結城竜也(ゆうき たつや)は、実力はあるが運に見放された漫画原作者。ある日、竜…

亜田公介
3週間前
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【小説】メルクリウスの喚声 第二話

   Ⅱ 六芒星  翌月中旬、竜也はZ出版編集部内にある談話室にいた。修正を加えた受賞作…

亜田公介
3週間前
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【小説】メルクリウスの喚声 第三話

   Ⅲ 生命の樹  七月も終盤に差しかかっている。外では灼熱の太陽光線が降り注ぎ、気温…

亜田公介
3週間前
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【小説】メルクリウスの喚声 第四話

   Ⅳ レトルト   計四社からの執筆依頼が舞いこんだ。竜也ははじめて二つ以上の〆切り…

亜田公介
2週間前
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【小説】メルクリウスの喚声 第五話

   Ⅴ トート・ヘルメス  駅を出ると冷たい風が吹いていた。慌てて安物のブルゾンの襟を…

亜田公介
2週間前
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【小説】メルクリウスの喚声 第六話

   Ⅵ 孔雀の尾  年が明けた。正月らしいことを何もしないまま、三箇日も過ぎた。  短…

亜田公介
2週間前
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【小説】メルクリウスの喚声 第七話(完)

   Ⅶ 悪魔  三ヵ月後の七月――。  オレンジ色の夕焼けを見ながら、竜也は川沿いを歩いていた。  川は海へと流れていく。河口付近では西陽を遮るようにして、メルクリウス教団施設が佇んでいる。竜也は道路を挟んで向かいにある路地に身を潜めて、教団施設の様子を窺った。男に女、若者から老人まで、さまざまな人がアーチをくぐり、敷石の並べられた小道を通って、施設へと吸いこまれていく。今夜も信者を集めて会合が行なわれるのだろう。  どのタイミングで出ていこうかと思案していたとき、見覚え