【小説】メルクリウスの喚声 第七話(完)
Ⅶ 悪魔
三ヵ月後の七月――。
オレンジ色の夕焼けを見ながら、竜也は川沿いを歩いていた。
川は海へと流れていく。河口付近では西陽を遮るようにして、メルクリウス教団施設が佇んでいる。竜也は道路を挟んで向かいにある路地に身を潜めて、教団施設の様子を窺った。男に女、若者から老人まで、さまざまな人がアーチをくぐり、敷石の並べられた小道を通って、施設へと吸いこまれていく。今夜も信者を集めて会合が行なわれるのだろう。
どのタイミングで出ていこうかと思案していたとき、見覚え