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ちょっと立ち止まってスペースをとって|総合病院・看護師研修

大手総合病院にて、看護師さんの次世代リーダーたちへダイアログ研修。
もう15年以上、2人の子どもの妊娠・出産期も奇跡的に途切れることなく続けて呼んでいただいている大切な場。最初の源となってこの場を創り続けてきた、当時の教育リーダー安藤さんの存在を感じながら、これからの未来を支えていく看護師さんたちと終日みっちり深く潜っていく。

ちょっと立ち止まり、スペースをとり自分の内側に意識を向ける

日々駆け抜けるように激務をこなす現場から、ちょっと立ち止まり、スペースを取って自分の内側に意識を向けていく。

「私がイライラした気持ちになるのは、自分が子どものことより自分を大切にすることを優先しているから」

と言っていたSさん。患者さんの容態が急変し、大変な状態を切り抜けて帰宅したSさん。家に帰った後も、まだ気持ちは病院でのことに残ったままで、心身ともに疲弊していたSさんは回復のためにとにかく早く寝る、4歳の我が子よりも早く寝る、と決めて寝ようとしたものの、結局子どもにイライラをぶつけてしまった。。

「今日も本当は子どものお遊戯会があって、親として、参加するべきという気持ちも少しはよぎるのだけど、それでも私は今日はこの研修の場を大切にしたかった。自分を優先したかった。」

そう話しながら、涙がぽろぽろとこぼれ落ちてくる。Sさんの悲しみにみんなが寄り添い、共振しているのが伝わってくる。

Sさんが選んだ願いは「自由」「存在感」「自覚的であること」

仕事も、子どもも、自分のことも、どの存在もすべて大事。だからこそ、自分のウェルビーイングを保ち、ベストな状態でそれぞれに向き合うために睡眠が必要なんだ。無自覚にイライラをぶちまけるのではなく、自分の状態に自覚的でありたい。大変なことはわかっている。でも、育児も仕事もどれも大切でどれも諦めたくない。どうしたら自分が健全な状態で全てに臨めるのか、自覚的でありたい。

自分を大切にする自由さ、そして仕事や子ども、全ての存在を大切にすること。この2つを両立するために「自覚的な自分でいること」は、Sさんにとっての愛でありパワー。

自分と周囲への愛を持って、自分のパワーに自覚的になり、意思を持って選択する生き方をすること。

そんなSさんの魂の美しさが場に現れたひととき。

受容が難しい相手を考えると「ない」ばかり出てくる

午後は、自分が日々の業務で関わる人たちとの関係にあるエッジを超えていくワークへ。受容することが難しい相手には、「ない」ことばかりが出てくる。「理解してくれない」「できていない」「やってくれない」・・

参加者のAさんは、自分よりも年上で経験もあるスタッフBさんにいつもイライラしていた。

「患者さんの現状報告はするけども、それだけ。じゃあ、次どうするのか?という提案が全くない。もう○年目なんだから、現状報告だけなんて意味がない。私に丸投げしてくる感じだし、試されているようでイライラする」

相手に対して湧いてくる「ない」には、自分の前提が隠れている。「ない」というのは、「当然○○であるべきなのにそれがない」ということ。でも、その「当然あるべき」ことは自分にとってそうであっても、みんなにとってそうとは限らない。だから、いくら「ない」ことを相手に伝えても伝わらない。

  • ベテランなのに提案がないというBさんには、何が「ある」のか。

  • そんなBさんに対するAさんの願いには、何が「ある」のか。

「ない」ことではなく「ある」ことと「願い」を伝えていく

両方の願いにエンパシーをしながら探究していくと、Aさんがあることに気づいていった。

「そういえば、Bさんは他の誰よりもとても細かいところを見ている。その細かい現状報告にイラっとすることもあるけど、それだけ人よりも細かい現状を把握しているんだな。そして、そんなBさんの観察力と経験値でもっと私の支えになってほしいんだな。。」

自分の願いと相手の願いに気づいたら、「ない」ことではなく「ある」ことと「願い」を伝えていく。AさんからBさんへのコミュニケーションをシフトする練習をしていく。

「私は、Bさんが患者さんの細かい現状をしっかりと見ていらっしゃることに尊敬があるし、心からすごいなと思っています。そして、私は今、立場的にいろいろなスタッフの全体を見る必要があって支えが必要です。
・現状報告に加えて、もう一歩の提案がほしい。
誰よりも細かいところを見ているBさんだからこそ気づく提案を具体的にしてほしい。そして、私の支えになってほしい。そう願っています。」

「願い」から伝えるコミュニケーションの可能性を知ったAさんは、「す、すごいです!!これならBさんとの関係性に変化を起こせそうです!」と言って、希望に満ちた表情をされていた。

今回の参加者から、「適合」世代の上の先輩たちとZ世代とも言われる若手スタッフとの間で板挟みだという声がたくさん聞こえてきた。自分たちが教わってきたことをそのまま若手にやっても通用しない。だからこそ、内省によって自分のあり方や関わり方に自覚的になり、「ない(こうであるべき)」から「ある(願い)」へと自分の中で転換させて、相手に関わっていく必要がある。

時代や世代の「架け橋」となっていくであろう一人ひとりの未来を、心から応援している。

お知らせ

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