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行動の奥には「願い」がある。|京都市立二条城北小学校の対話の会

京都市立二条城北小学校にて、教員と保護者の対話会を行いました。

全学年で実践されている「対話の授業」

研究主任の先生が中心となり、以前から葵小学校の対話の取り組みに関心を持たれ、葵小の先生方を招いて学びながら、全学年全クラスで対話の授業の実践を行なってこられた。
午前中は、全学年で実践されている「対話の授業」を見学させていただく。

初めてお会いする全学年の先生方が、私が作成した小学生用のニーズリストと演習シートを使って、ロイロノートでデジタル化したり、それぞれの先生の言葉やアプローチで授業を進めていらっしゃることにびっくり。。
先生自身が対話の体験がほとんどない中、葵小が作成したティーチャーズガイドと私の演習シートを研究し、年間数回を通してまずは実践してみよう、というチャレンジ精神にただただ頭が下がる。


子どもたちの内省力の高さとオープンさ

何よりも印象的だったのは、子どもたちの内省力の高さとオープンさ。

「怒り」の演習で、嫌な気持ちになったことを振り返る。腹が立ったことを①〜⑨まで自分で番号をふり、お父さんに対すること、お母さんに対すること、先生に対することを箇条書きにたくさん書いていたAくん。そして、お父さん、お母さん、先生に対する「腹が立った」理由や想いがそれぞれ違うようで、番号ごとに分けてそれぞれの想いを区別して書いていた。

先生に対して腹が立ったこととして「先生に○○と言われ、睨まれて嫌だった。本当は、もっと自分が言いたいことを言い返したかった。」と書いたAくん。

そっと近づいて「自分が言いたいことを言えなくて悔しかったね。本当はもっと、自分の本物の言葉を表現したかったね。先生にもっと自己表現したい!って願っているんだね。」と伝えると満面の笑みで「うん!」とうなずいた。

漫画を読んでいる途中で「宿題をやりなさい!」と言われて嫌な気持ちになった奥に、どんな願いがあるのだろう?という先生の問いに、一番後ろの席から手をあげて小さな声で「信頼してほしかった。漫画を読み終わったら必ず宿題をやるから、信頼してほしい。」とまっすぐ話してくれたBさん。

授業中だったから声をかけられなかったけど、「信頼してほしい」というBさんの「命の声」をしっかり受け取ったよ、と静かにサイレントエンパシーを送った。

内省する機会さえあれば

中学生になってからクラスの中で自分の内側にあることを表現するのは難しくなるが、小学生のうちから内省の「機会」があると、こうしてまっすぐに自分の内側へ意識を向けて「ある」ものを言葉で表現する子どもたち。

小学生のうちに「自己と対話」する機会をたくさん経験して、自分の命の根っこを太く強く育む環境や関係性が重要だとあらためて痛感する。

教員と保護者の対話会

そして午後は、教員と保護者の対話会。
それぞれの役割の「ラベル」を一旦脇に置いて、子どもに関わる大人としての祝福と嘆きをわかちあい、一人ひとりの「願い」を一緒に探究していく。

デモに出てくださった先生は、子どもと接するときの嬉しい体験から内省していき、自分が教師として大切にしたいことを明確にしていく。「そうそう!まさにこれが大事なんだ!」と嬉しそうに話していたが、ふと「でも、、これだけで本当にいいのだろうかという想いもある」と表情が曇る。それは、他に違う質感の「願い」があるということのサイン。さらに探究していくと、受容するだけではなく、そこからさらに成長できるようサポートできる存在でいたいという願いが出てきた。

質感の違う複数の「願い」を、先生なりに構造化してもらうと、すっきりした表情で「私が教師としてこれからもずっと指針にしていきたいことが明確になった!」と話してくれた。

妹と向き合う子の願いは

もう一人印象的だったのは、お母さんと一緒に参加したKちゃん。この学校の難聴学級に通うKちゃんが書いた祝福は「妹が生まれてきてくれたこと」。嘆きは「妹がうるさいこと。耳が聴こえないこと」。妹のことが大好きで、でもうるさくて嫌だなと感じることもある。そしてそこに一緒に書かれた「耳が聴こえない」ことへの嘆き。

Kちゃんは、「うるさいと感じるけど聴こえないこと」に日々何を感じ、本当は何を願っているのか。願いを聴きたかったのだけど話せないまま終わってしまったが、これからの対話の授業を通して、Kちゃん自身で自分の「願い」にたどり着けることを心から意図している。

先生たちに心からの敬意と拍手を送りたい

まずは実践してみよう!と一歩踏みだした二条城北小の全ての先生たちに心からの敬意と拍手を送りたい気持ちでいっぱいだ。

教員と保護者の対話会の後、私の解説を、食い入るように見つめ、真剣にメモを取る先生方。やはり、実際に自分で実践経験がある先生方は吸収度が全然違う!

学ぶ上で、「行動」することの重要さをあらためて教えていただいた。

先生たちのチャレンジをこれからも応援し続けたい。



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