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WS「家族図道場~2022年秋の陣~」開催報告

日本プライマリケア連合学会では、毎年秋季セミナーという全国セミナーを開催しており、今年は9月24-25日に開催されました。

https://www.primary-care.or.jp/seminar_c/20220924/index.html

今回、ファミラボの有志でワークショップ「家族図道場〜2022年秋の陣〜」を開催してきましたので報告いたします。

家族図道場~2022年秋の陣~

今回のワークショップは、2時間まるまる家族図!
家族図の読み方の基本を勉強してもらった上で、とにかく家族図を読んでみよう!という、まさに「道場!!」という勉強会になりました。

台風直撃という大変な時期にも関わらず、医師だけではなく、薬剤師、看護師、理学療法士と様々な方にご参加いただき、様々な視点が入り交じる面白い会となりました。

家族図アセスメントの視点

家族図アセスメント:垂直軸と水平軸で考える

家族図の捉え方は様々ありますが、垂直軸と水平軸で考える視点をお伝えしました。「今」何が起こっているか、そして「過去から未来」何があったのか/起こるのか、という2つの軸で評価するのがポイント

家族図アセスメント:3つ+1つで考える

家族図アセスメントの視点は様々ありますが、今回オリジナルの分け方で解説を行いました。「構造」「機能と関係性」「時間軸」に分けて考えながら、全体に関わる視点として「受け継がれるもの」という捉え方をお伝えしました。

ディスカッション

家族図アセスメントの基本を学んでいただいた上で、架空の事例を元に実際に家族図を読んでいただきました。

事例は2つ。

事例1:42歳男性 狭心症
 繰り返す胸痛
 冠動脈検査を何度も受けたが、原因不明です。

ディスカッションで出た意見
・兄弟関係はどうなのか?姉と弟で助け合っていたのか?婚約するのでそれで弟が寂しい思いがある。
・三角関係として姉が両親の間を取り持とうとしている。
・弟の喘息も三角関係を取り持っているという観点で巻き込まれている。
・息子の今後が心配である。
・息子様が疎遠になっているので胸痛が必要になってくる。
・学校とやりとりするのが母だから疎遠になる父。
(一部抜粋)

事例2 43歳女性
 脂質異常症で通院中。はじめて不眠の症状を訴えられました。

ディスカッションで出た意見
・長女が嫁姑関係を気になっていて、三角関係となっている。
・本人が挟まれ、孤立している。
・夫婦関係もうまくいっておらず、子供が取り持っている?
・長女がライフサイクル上、外に出れない。ヤングケアラーにならざるを得ない。
・長女が嫁姑・両親が色々な関係を取り持っている。
(一部抜粋)

質疑応答

家族図っていつも書くのですか?
→すべての患者さんで家族図を書くまではしていないことが多いです。書こうかな、と考えるのは、治療がうまくいっていないとき、入院のとき、話をしていて家族の詳細を話してくださったとき、などが多いかと思います。

家族図の書き方は統一した規格があるのでしょうか?
→必ず統一されている訳ではない。マクゴードリックのものが一般的かと思います。

電子カルテに関係の線などが対応しているものなどあるのでしょうか?
→岡山家庭医療センターのカルテでは、家族の年齢などをつなげる家族図機能はついているが、関係性までは記載できない。実際には紙に書くほうがやりやすいので、紙に書いたものを取り込む方法が多いと思います。

ポートフォリオなどで書こうとすると家族図を書くのが難しい。アプリなどありませんか?
→GENOMAKER(S)(https://develop.dialogs.jp/geno/)が有名です。全部の関係性などを書けるわけではないので、線を組み合わせたりしながら工夫するときれいな図が書けます。

参加者からの感想

参加者の皆様からお寄せいただいた感想を一部紹介させていただきます。

・家族図をみて考える為の、基本的な考え方が、ギュッとまとまって学べて良かったです。
・ご本人と一緒にジェノグラムを書くという発想はなかったので視点が広がりました。
・家族図を書いたその先のアプローチが出来そうです。ありがとうございました。
・グループワークで多職種でいろんな視点からアセスメントを立てられたのが面白かった。
・事例が自分の長女とかなり似ていた環境だったので驚きました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後もファミラボでは様々なセミナー、勉強会を企画していきます。もしこんな勉強会してほしいなどありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆:田中道徳(岡山家庭医療センター)
編集:宮本侑達(ひまわりクリニック)


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