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次男と三男、元旦2人旅

以前住んでいた街は公共交通機関が身近にあったので、長男は電車好きだったこともあり、小学生の頃から電車に乗って一人旅をさせていた。弟2人はまだ幼い頃に移住してきたので、電車は生活圏内になく、身近な公共交通機関は村内循環バスしかない環境で大きくなった。

昨年の夏休みに中学2年の次男が、いとこのところまで一人で行きたいと言い出した。高速バスと電車を乗り継げば、3時間くらいで行けるけれど、彼にとっては初めてのチャレンジだった。弟も一緒に連れてってよ、と言ってみたけれど、弟を連れて行くのは兄としての責任が伴うので、首を縦に振ってくれなかった。初チャレンジは成功し、その後車で送り届けた弟と一緒に帰りは2人で電車とバスを乗り継いで帰ってきた。

新年早々、少しでも早くいとこに会いたい子どもたちは、高速バスと電車で私より一足先に行くことになった。元旦の朝、お雑煮とおせち料理を食べ、お年玉を渡して出かける準備をしていると、いつまでも準備を始めない弟に兄が怒り出した。「お母さんは〇〇(弟)を甘やかし過ぎなんだよ!だからこんなになよなよして一人でいつまでも何もできないんだよ!」兄について行けばいいだけの弟は、急に不安になったのか目に涙をいっぱい溜めている。「僕行かない」と言い出す始末…。段階を踏んで一人でどこでも行けるようにさせたいけれど、機会はいつでも作れるわけではないので、「お母さんは行って欲しい」となだめてバス停まで送って行った。

このままお互い険悪なまま見知らぬ土地で迷子にでもなったら困るなぁ…と思っていると、兄が飲み物を買いにコンビニに入っていった。出てきた兄がスッと弟に渡したのは、フタにメッセージの入ったじゃがりこだった。弟は「ごめん」のメッセージを受け取って、兄の後をトボトボとバス停へ向かう。バスを待ちながら、降りた後はどうやって乗り換えするのか、どこを見たら行き先が分かるのか、あれこれ私に確認をしていた。
2人は道中で仲直りできたようで、無事に目的地までたどり着くことができた。

次男は長男から同じことを言われたことがある。次男が三男に言ったことも、自立できないまま大きくなったらどうするんだ!という兄の愛そのものなんだと思う。

冬休みも残すところあと3日。三男は村内循環バスに乗って1人で買い物に行く計画を練っている。彼にとっては初めてのチャレンジだ。兄の思いをちゃんと受け止める弟。3人とも私の知らないところで、ちゃんと成長しているようだ。

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