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【#6】 英語教師として "Update"するためにしたい10のこと⑤ -「言語活動」の充実-

こんにちは! Sakaue Wataru | English Teacherです。
今年で教職12年目となりました。

2024年は、これまでのキャリアを振り返りながら、
英語教師である自分を"Update"するために、
以下、「10のこと」を意識して挑戦しています。

⑴ noteによる「指導観・授業観」の振り返り ✅
⑵ ICTを活用した「授業実践」の振り返り ✅
⑶ 授業の「健康診断」with 授業評価アンケート ✅
⑷ 言語活動における「目的・場面・状況」のUpdate
⑸ 苦手意識がある「即興のやり取り」のUpdate ✅
⑹ 児童生徒が行う「振り返り」のUpdate ✅
⑺ 英語を学ぶ「意義」のUpdate ✅
⑻ 教師が夢中で学び合う「校内研修」の推進
⑼ 学校全体を巻き込んだ「英語プロジェクト
⑽ 学校外への「実践発信

⑴〜⑶ 「教師力編」の記事はこちらから!

今回は「授業力編」のラスト、言語活動における「目的・場面・状況」のUpdateについて整理してみたいと思います。

1.「言語活動」とは何か?


現行の学習指導要領(外国語活動・外国語科)では、「言語活動を通して」コミュニケーションを図る資質・能力を育成することをゴールに掲げています。

引用:文部科学省HP

そもそも、「言語活動」とはどんな活動を指すのでしょうか?
外国語活動・外国語科における「言語活動」は、次のように定義されています。

外国語活動や外国語科における言語活動は,記録,要約,説明,論述,話し合いといった言語活動よりは基本的なものである。

学習指導要領の外国語活動や外国語科においては,言語活動は,「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う」活動を意味する。

したがって,外国語活動や外国語科で扱われる活動がすべて言語活動かというとそうではない。

言語活動は,言語材料について理解したり練習したりするための指導と区別されている。実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うという言語活動の中では,情報を整理しながら考えなどを形成するといった「思考力,判断力,表現力等」が活用されると同時に,英語に関する「知識及び技能」が活用される。

「小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック」(2017年 文部科学省)より

以上の資料から、以下の3点が読み取れます。
⑴ 「言語活動」とは、「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う」活動を指す。
⑵ 単に音読したり、文法を使った例文を練習したりする活動(ドリル)は、言語活動には当たらない。
⑶ 言語活動の中で「思考力,判断力,表現力等」を評価することができる。また、その活動の中で英語に関する「知識・技能」を活用する必要がある。

2.「言語活動」で押さえるべき3つのポイント


教科書を扱う中で、どんな「言語活動」を、どのタイミングで用意するか。
英語教師としては、これがけっこう悩ましいです・・・。
さらに、言語活動を行う際には、次のようなポイントも示されています。

もう、色々ありすぎてしんどいですね(苦笑)
ただ、要点を整理してみると、「言語活動」を充実させるためには、次に示す3点をポイントとして押さえる必要があるのではないかと考えています。

【目的・場面・状況の明確化】ー「誰に」「何のために」伝えたり、表現したりするのか
【課題の連続性、発展性】ー「課題の目的・表現する相手」に応じて、表現内容を発展させる必然性と時間のゆとりがあるか
【コミュニケーションの必然性】ー友だちと関わりたい!」と思える題材選びとコミュニケーション活動が設定されているか

⑴ 【目的・場面・状況の明確化】ー「誰に」「何のために」伝えたり、表現したりするのか


私たちが話したり、文章を書いたりするとき、「目的」「相手」次第でその内容は大きく変化します。例えば、通販番組を見ていると、視聴者の興味を引く言葉選びをしていたり、思わず驚いてしまうような演出をしたりしています。
これは、「この年代の、こんな立場の視聴者に」「生活の〜を便利にするために」というように、「目的」「相手」を明確にしてプレゼンをしているからだと言われています。

何か文章を書くときでも、相手やその状況によって、選ぶ話題やアプローチは変えているはずです。例えば、年賀状を書くときのことを想像してみましょう。新年の挨拶を日ことを添えるとき、家族、友だち、職場の同僚、上司であれば、それぞれ書く内容は違ってくることが自然であるように思います。

ですが、英語の授業では、「日本文化についてプレゼンしよう」「夏と冬どっちが好き?」など、その活動の目的や相手が不明瞭なまま進んでいくことがあります。自分がこのような活動を行った時、表現内容が「自分ごと」になっていない児童生徒が多くなってしまった反省があります。

そこで、授業冒頭のSmall Talkを行うときには、次のような指示をするようにしてみます。

Now everyone, what is the greatest Japanese culture? What do you think?
In order to get "Nice idea!" from your friends, please pick up one Japanese culture and explain why you chose it.

「友だちから」【相手意識】
「“Nice idea!”をもらうために」 【目的意識】
を課題に付与することで、表現する必然性を高めることができないでしょうか。

また、単元末課題の設定の場合は、もう少し「目的・場面・状況」の設定の解像度を上げることができます。

R5中高外国語科教育講座Ⅱ 配付資料より

これは、群馬大学の津久井 貴之 先生に教えていただいた「単元のゴール設定」を考える際に明確にすべき項目を整理するための表です(実践発表等にて紹介する許可をいただいています)。

以前のnoteでご紹介した「環境啓発CM作り」(6年生)のプロジェクトも、この表を元に「単元のゴール設定」を考えました。課題の詳細は、こちら↓をご参照ください。

この表を元に、次のように「目的・場面・状況」を整理しました。

アドラー心理学では、人が幸せを感じる上で重要な要素の1つに「他者貢献」が挙げられています。「友達を助けた」「ALTに喜んでもらえた」「社会の役に立った」ーそんな要素を場面設定に入れていくと、どんどんクラスに活気が生まれ、互いを認め合う温かい雰囲気もできあがっていきます。

⑵ 【課題の連続性、発展性】ー「課題の目的・表現する相手」に応じて、表現内容を発展させる必然性と時間のゆとりがあるか


ただ、「目的・場面・状況」の設定を明確にする中で、ある問題に気づきます。
そうです。「課題の高度化」です。表面的な内容ではなく、「目的」や「相手」に応じて、情報を整理したり、意見を構築したりするので容易ではありません。

そこで大切になってくるのが、「単元を通して、表現内容を発展させていく」指導です。今、中学校に2年生で行っているのが、地元に訪れた外国人観光客に向けてオススメの観光プランを英語で提案するプロジェクトです。最後には、「〇〇市オススメ観光プラン presented by 地元中学生」としてパンフレットにして各所に配付する予定です。ある生徒は、地元のコスモス園を堪能するプランを考えています。

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