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【#3】 英語教師として "Update"するためにしたい10のこと② -即興のやり取り-

こんにちは。
Sakaue Wataru | English teacherです。

自分の「教師力」を磨くために、
2024年にTryしたいことを言語化しています。

今回からは「授業力編」
以下のことをUpdateしたいと考えています。

⑷ 言語活動における「目的・場面・状況」のUpdate
⑸ 苦手意識がある「即興のやり取り」のUpdate
⑹ 児童生徒が行う「振り返り」のUpdate
⑺ 英語を学ぶ「意義」のUpdate

今回は、⑸について述べてみたいと思います。
興味がある方は、少しばかりお付き合いください!

1.「即興のやり取り」の指導、難しくないですか?

平成29年告示の「中学校学習指導要領(外国語編)」から、「即興のやり取り」に大きく焦点が当てられるようになりました。

以下のように書かれています。

「即興で伝え合う」とは, 話すための原稿を事前に用意してその内容を覚えたり, 話せるように練習したりするなどの時間をとることなく, 不適切な間を置かずに相手と事実や意見, 気持ちなどを伝え合うことである。

「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編」p.22

私が受けてきた英語の授業には、
このような活動はありませんでした。

やったことがないから「イメージ」ができない。
イメージができないことは「指導」できない。

これが真理だと思います。
だから、私は「即興のやり取り」の指導があまり得意ではありません

でも、多くの偉大な先生方の実践を勉強させていただき、「こうすればいいのか!」というヒントをたくさんいただきました。

1つ例を挙げさせていただくと、大塚謙二先生のご実践やご著書は大変参考になります。

2024年はそれらをもう一度学び直し(relearn)
もっと子どもたちの楽しい学び、学び甲斐のある活動へとUpdateしていきます。


2. 「これまで」の挑戦

Relearnするために、現状分析をしてみます。
現在、中学校2年生を受け持っていますが、
中1から、以下の3点を指導してきました。

⑴ 「失敗を恐れない・気軽に話せる」下地づくり

中1から取り組んでいるのは、
チャイムと同時に始める
Warming-Up → Small Talk の活動です。

Hello! How are you? から始まり、
ホワイトボードに書かれたお題について、
ペアの友だちと英語でやり取りをします。

ペアでの簡単な挨拶から始めることで、
英語の授業の雰囲気作りができますし、
ミスを気にせず積極的に話すようになってきました。

Small talkまでの「助走」があることで、
少し文法があやふやでも、
思い切って「えいや!」とジャンプできる。
生徒たちの姿を見て、そう感じています。

⑵  Q-AA+Qの習慣化

学習指導要領には、こうも記載されています。

やり取りを行う際は, 相手の発話に応じることが重要であり, それに関連した質問や意見を述べたりして, お互いに協力して対話を継続, 発展させなければならない。

「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編」p.22

ここに、「即興のやり取りを活性化するヒント」が隠されています。

前述のSmall Talkで、例えば、
What did you eat last night? というお題を設定したとします。
質問に対して、”I ate curry and rice.”
と答えれば、Q-Aです。

ただ、それで終わっては会話が盛り上がらないので、プラス・ワンセンテンスをします。

A:  What did you eat last night?
B:  I ate curry and rice. My mother and I cooked it together.
    How about you?

さらに、上記の例のように、
最後に相手に対する質問を付け足します。
この形を、生徒とは
”Q-AA+Q” と共通理解しています。

英語の授業を通じて、自分の意見を述べる、
相手の情報を引き出すために質問をする力などの
「コミュニケーション力」を鍛える視点が大事だと考えています。

英語学習を通して、そのような「人間性」
磨いてほしいと願っています。

⑶「話したくなるトピック」の探究

英語のスキルを磨くだけでは、即興のやり取りができるようにはなりません。

子どもたちが何に関心があって、
どんなことを交流したいのかという
彼らの「ニーズ」を適切に捉えることが
極めて重要だと考えています。

例えば、彼らにとって身近なYouTubeの話題や、
好きなアーティストなどを話題に挙げると、
"Sorry, can you stop talking?"というまで
会話が止まらないペアまで出てきます。

また、発達段階にもよりますが、季節や
行事のイベントを取り上げるのも好評です。

子どもたちが自分たちの生活経験と結びつけて、
「伝えたい!」「聞きたい!」と思えるような
トピックで言語活動をデザインする。

英語教師の大切な役割ではないでしょうか。

★生徒に好評だったトピック TOP10
○ My favorite YouTuber or celebrities
○ Best song for classmates
○ Halloween or Christmas
○ My favorite animation
○ Reading books or watching movies
○ My Favorite place in our school
○ My best memory
○ My work experience
○ Best animal for a pet
○ Best souvenir for our ALT

生徒の実態は異なりますので、
一律「これがいい」というものはありません。

ですので、「3つ選択肢を用意して、1つ選ぶ」
として自己選択制にすることがオススメです。

自分で決めるプロセスによって、
子どもたちの「自己関連性」がアップし、
「個」を生かした授業の実現にもつながります。


3. 「これから」の挑戦

⑴ "Two-Minute Chat" の Update

ずっと続けている ”Q-AA+Q” の活動ですが、
この活動をさらに自然な会話へとつないでいきたいです。

2学期の後半から「インタビュー・マッピング」
の活動をやっています。
これは、ペアの片方がインタビューし、聞き取った情報をマッピングでつないでいく活動です。

話した内容が可視化されるので、自分たちの
活動の質を振り返りやすいのが利点です。

中1の頃から少しずつ取り組んできて、
Follow-Up Questionsにも
バリエーションが出てきました。
(正確性は伸びしろがあります!)

現状、マッピングがウニのトゲのようになっていることがよくあります
これ、どんな会話になっているのでしょうか?



ご想像の通り、会話が一問一答になっています。
より詳しい情報を聞き出せていません。

3学期からは、ここを指導していきたいです。

例えば、「虫嫌い」という情報からは、
For example? と具体的な虫を聞き出すことができます。
「ダンスかっこいい」の情報からは、
Which dance is the coolest? と発展させることも可能です。

このように、マッピングで情報を可視化すると、
会話が止まったときに、前の情報から会話を見て再開することができます。

理想は、写真のように、バルーンが枝分かれして広がっていくマッピングです。
(ちなみにこれは、私がこの記事を書く前に書いたものです。)

写真: 枝分かれして広がるマッピング

2分間やり取りをして終わるのでなく、
終わった後にペアでマッピングを眺めながら、
「ここ、こんな質問で広げられたね」と振り返り、次の活動に活かす。
そのように子どもたちが自分で活動をUpdateできる仕組みにしていけたらと思います。

⑵ ライティング活動との統合

「即興の活動」でよくあがる問題点、
「正確性」(accuracy)の指導についても
考えていきたいですね。

ポイントは書く活動との統合にあると考えます。
つまり、話した内容を「書く活動」につなげる
ことです。

先程のインタビュー・マッピング(写真1)では、
ノートの下半分に「使えた質問」を書きます。
英語の質問の語順を意識させるためです。

これを、3学期は、まとまりのある英作文にして
レポーティングする活動に発展させたいです。

英作文することで、手間はかかりますが、
語順を意識するきっかけになります。

ただ、毎回行うのは負担になりそうです。
そこで、次のように「帯活動」として実施する
予定です。

月曜: インタビュー・マッピング
    (ペアで役割交代して2回)
火曜: ライティング→レポーティング
   (代表者が全体に報告)
木曜: 新しい題材でインタビュー・マッピング
金曜: ライティング→レポーティング
    (代表者が全体に報告)

⑶ ALTとの練習試合を開催

最後に、日々の活動で培った力が通用するか、
ALTと1つのトピックで2分間会話を続ける活動(練習試合)を設定します。

「日程を調整するのが難しくて・・・」と、
ずっと言い訳してきました。

ですが、自分の成長が実感できる場面がないと、
人間は努力をしようとは思わない生き物です。

英語教師として、責任を持ってその場面を作れたらと思います。

これをするにあたり、
「練習試合をしている生徒以外をどうするか?」
という問題が浮上します。

そこでチャレンジしてみたいのが、
「個別最適学習」です。

裏番組で、子どもたちが自分の実態や学習状況
に合った学習内容を自己選択して行う活動が
仕組めるのではないかと思っています。

これに関しても、いつか言語化できたらと
思っています。


4. 「評価」から逃げない(言い訳しない)

⑴ 学期に1回「本番」を設定する

前述の通り、ALTとの練習試合がなかなか設定できずにいました。
3学期は、「即興のやり取り」を評価するための「本番」をゴールとして設定します。

本校ではCAN-DOリスト(9年間)に基づき、
中学校2年生での「即興のやり取り」の到達目標
を以下のように設定しています。

自分の予定、好きなことや得意なこと、将来の夢など関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて即興で対話を継続・発展させることができる。

本校英語科 CAN-DOリストより

本校は小中一貫校なので9年間です。
さらに、高校での3年も見据えた指導を
目指しているので、実質12年になります。

写真3: 12年間を貫いたCAN-DOリスト

「ALTと2分間会話を続けられた!」という経験
は、きっと自信につながるはずです。

評価(自己評価・他者評価)の場面を作り、
次の学年での学習意欲や課題意識の向上に
繋げていけたらと思います。

⑵ 生徒の「自己評価」を充実させる

「評価」には、学習意欲や課題意識を高める効果(Assessment for Learning)があります。
主たるものに「教師からのフィードバック」などが考えられます。

しかし、子どもたちが自律した学習者になることをサポートする上では、
「自己評価」(Assessment as Learning)
の場面を設けることが肝要です。

勤務校では、2学期にタブレットと一緒に使える「イヤホン」を購入しました。

330円で、高性能マイクまでついているので驚きです…。
これにより、音読を雑音なして録音できたり、
動画を落ち着いて観たりすることができます。

3学期に活用したいのは、
自分の発表動画をタブレット端末で見直して、
「自己評価」をすることです。

動画を見ることで、「なんとなく」ではなく、
細かい部分に注目して振り返ることができます。

この「自己評価」の取組を、時間をかけて、
継続的に行なっていきます。
そうすることで、初めて自分の成長がわかってくるからです。

「ロイロノート」などを活用すれば、
やり取りの動画は、1つの場所にまとめて
保存できます。

そのような「デジタル・ポートフォリオ」を作り
学年の終わりにまとめて見返すようにすると、
さらに高い効果が期待できるのではないでしょうか。


5. おわりに

「時間がない」「他にやるべきことがある」
「めんどくさい」
ーやらない言い訳はいくらでも浮かんできます。

ですが、「自分の授業で子どもたちにどんな力をつけたいのか?」
と考えた時、「即興のやり取り」が不可欠な手段であると思い直します。

拙い指導でも、英語でやり取りする子どもたちの表情はキラキラしていて、
「英語の教師になってよかった」と実感します。

この記事を読まれた方は、どうお考えですか?

「即興のやり取り」について、
ご助言やコメントなどいだけますと嬉しいです。

ここまでお付き合いいただき、
ありがとうございました!

Nothing is impossible, the word itself says, "I'm possible”!   ーAudrey Hepburn
不可能なことなんかありません。
だって、不可能(impossible)という言葉自体、
『私は可能(I'm possible)』って言ってるわ!
          ーオードリー・ヘップバーン


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