眠り猫

映画のレビューを書きたいと思って、noteを始めました。学生時代は文学を専攻していたの…

眠り猫

映画のレビューを書きたいと思って、noteを始めました。学生時代は文学を専攻していたので、文学についても書いていければと思っています。野の花を見ること、旅すること、猫と遊ぶことも好きです。私の記事で、ひとりでも多くの方が楽しんでくださいますように。

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東京・天使の詩―ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』

Ⅰ ベルリンから東京へ 『ベルリン・天使の詩』(1987)から35年、役所広司が天使になって東京の街に舞い降りた。といっても、彼には初めから翼はない。『ベルリン』の…

眠り猫
4か月前
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野の花を見てごらん―今日のお花たち その14

 先週見に行った、職場近くの林に咲くイチヤクソウはそろそろ見頃かしらと思い、自転車を走らせる。1週間前には、つぼみだらけで咲いている株を探す方がたいへんだったけ…

眠り猫
4時間前
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満員御礼のバンタイで、タイ気分を味わう―東京すみっこランチ その3

 出かける用事があり、お昼に新宿のバンタイというタイ料理屋でランチすることに。一人でもよかったけれど、新宿に出やすい場所に住んでいる山友を誘う。    多分、来る…

眠り猫
1日前
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喜びを与える人に―太宰治『正義と微笑』に学ぶ

Ⅰ 太宰治『正義と微笑』と出会う  「なりたい自分」は、一生かけて目指し続けるもの、私はそんなふうに思っている。私が目指すのは、人を喜ばせることができるようにな…

眠り猫
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置かれた場所で咲く―今日のお花たち その13

 昨日の夜、図書館で雑誌記事をコピーして来た。記事を読んでから寝るつもりが、座ったまま寝落ちしてしまう。5時頃に目覚めるが、さすがに休みなので布団で寝たくて二度…

眠り猫
2日前
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我思う、ゆえに我あり?

 仕事帰り、最寄り駅から二駅先まで歩いていたら、白地に茶色が混ざった猫に出会う。首輪のようなものをしていて、毛並みもキレイ。  話しかけるとニャーと答えてくれた…

眠り猫
3日前
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雨上がりのアジサイ―今日のお花たち その12

 同僚の方から職場の敷地内にアジサイが咲いていると聞いて、探しに行く。時間内に仕事を終わらせるのに必死で、敷地内なのに咲いていることにも気づかないでいた。葉っぱ…

眠り猫
3日前
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高山気分をあなたに―今日のお花たち その11

 しばらくお天気が悪そうで、お花を見に行けないかもしれない、と思い、定点観測している場所へ。  2週間ほど前に来たときとは、お花の顔ぶれがほとんど変わっている。…

眠り猫
4日前
9

梶井基次郎の『檸檬』を15年ぶりぐらいに読み直す。最初に読んだのは高校の教科書でだった。年月が経って読み返してみると、セザンヌのような西洋の絵描きや、映画監督のような眼差しで事物を描写しているところが面白い。若くして亡くなってしまった梶井さん、お主もやるなあ。

眠り猫
7日前
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抵抗としてのアート―第8回横浜トリエンナーレ

Ⅰ テーマは「野草」 3年に一度の、横浜の美術の祭典、横浜トリエンナーレへ。一番最初のトリエンナーレから、毎回、欠かさず見ている。  今年のテーマは、魯迅にイン…

眠り猫
8日前
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今日のお花たち その10

 正確には、昨日のお花たち。9日にバラを見に行った公園へ。通りすがりで咲いているバラも満開のようだから、そろそろ見頃かなあと思って。  まずは、満開のカルミアがお…

眠り猫
9日前
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余はいかにしてメルカリで『奇跡』のDVDを買ひしか

はじめに  余がメルカリで見つけしものは、デンマルク国の映画作家カール・Th・ドライヤーの『奇跡』のDVDなり。  と内村鑑三の『余はいかにしてキリスト信徒となりしか…

眠り猫
9日前
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東京すみっこランチ その2

 久しぶりにお寿司屋さんへ。何度目かの訪問。ご夫婦でやっておられる。ランチタイムを少し過ぎていて、ダメかもしれないと思ったが、快く受け入れていただく。  ランチ…

眠り猫
12日前
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今日のお花たち その9

 たまたま通りかかった、バラ中心のガーデンに咲いていたお花たち。  野バラ風のバラや。  ブーケみたいなバラ。  こちらは小ぶりだけれど、花数はたくさん。  紫…

眠り猫
13日前
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今日のお花たち その8

 午前中に用事があり出かけたので、午後から小石川植物園に行く。冷温室や温室では、センカクツツジやエゾカワラナデシコなど、日本各地の固有種のお花が咲いていて、東京…

眠り猫
2週間前
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ペンテコステの日に

 2024年5月19日日曜日。午前中に用事があり出かけたので、午後から小石川植物園に行く。冷温室や温室では、センカクツツジやエゾカワラナデシコなど、日本各地の固有種の…

眠り猫
2週間前
20
東京・天使の詩―ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』

東京・天使の詩―ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』


Ⅰ ベルリンから東京へ 『ベルリン・天使の詩』(1987)から35年、役所広司が天使になって東京の街に舞い降りた。といっても、彼には初めから翼はない。『ベルリン』の天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)は当初、ランドマークの戦勝記念塔からベルリンの街を見下ろしていた。役所広司演じる「平山」―ヴェンダースが敬愛する小津安二郎『東京物語』(1953)の平山周吉(笠智衆)と同じ苗字だ―は、一貫してランドマ

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野の花を見てごらん―今日のお花たち その14

野の花を見てごらん―今日のお花たち その14

 先週見に行った、職場近くの林に咲くイチヤクソウはそろそろ見頃かしらと思い、自転車を走らせる。1週間前には、つぼみだらけで咲いている株を探す方がたいへんだったけれど、今日はどの株も開いて、満開である。ひっそりした、おそらくほとんど訪れる人もいないだろう林の中で、一株一株が精一杯咲いて、私の目を楽しませてくれる。

 彼らを見ていると、「野の花の育つのを、よく見てごらん」という、マタイ福音書の6章の

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満員御礼のバンタイで、タイ気分を味わう―東京すみっこランチ その3

満員御礼のバンタイで、タイ気分を味わう―東京すみっこランチ その3

 出かける用事があり、お昼に新宿のバンタイというタイ料理屋でランチすることに。一人でもよかったけれど、新宿に出やすい場所に住んでいる山友を誘う。
 
 多分、来るのは4回目だと思うのだが、今回が一番混んでいて、30分弱待たされる。入口のドアや彫像を見ているだけでも、タイ気分に浸れる。

 注文はスマホでQRコードを読み込んでする形に変わっていて、びっくり。相方はビーフンがいいというので、パッタイを

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喜びを与える人に―太宰治『正義と微笑』に学ぶ

喜びを与える人に―太宰治『正義と微笑』に学ぶ

Ⅰ 太宰治『正義と微笑』と出会う
 「なりたい自分」は、一生かけて目指し続けるもの、私はそんなふうに思っている。私が目指すのは、人を喜ばせることができるようになることだ。

 そう思うようになったきっかけは、今から25年以上前の大学時代に遡る。文学を専攻していた私は、卒業論文で何を取り上げるか、さんざん迷った末に、太宰治の『正義と微笑』(1942)という中編小説を取り上げることにした。

 小説の

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置かれた場所で咲く―今日のお花たち その13

置かれた場所で咲く―今日のお花たち その13

 昨日の夜、図書館で雑誌記事をコピーして来た。記事を読んでから寝るつもりが、座ったまま寝落ちしてしまう。5時頃に目覚めるが、さすがに休みなので布団で寝たくて二度寝した。再度起きたのは、11時近く。最近、平日はなかなか眠れず、週末に寝溜めしてしまうパターンが多い。

 自宅でダラダラして、日暮れにちょっとだけ近くの公園や植物園を自転車で散歩した。マンションの敷地には、咲きはじめのアジサイや、満開のビ

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我思う、ゆえに我あり?

我思う、ゆえに我あり?

 仕事帰り、最寄り駅から二駅先まで歩いていたら、白地に茶色が混ざった猫に出会う。首輪のようなものをしていて、毛並みもキレイ。
 話しかけるとニャーと答えてくれたけれど、見かけない人間だからか、一定の距離を保とうとする。座っている風情は哲学者のようで、「我思う、ゆえに我あり」と言わんばかり。中年のオスかなあ、と勝手に推測。

 家猫かと思ったけれど、それならこんなところにいない気がするし、首につけて

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雨上がりのアジサイ―今日のお花たち その12

雨上がりのアジサイ―今日のお花たち その12

 同僚の方から職場の敷地内にアジサイが咲いていると聞いて、探しに行く。時間内に仕事を終わらせるのに必死で、敷地内なのに咲いていることにも気づかないでいた。葉っぱに水滴を乗せたアジサイは、晴れのときよりも生き生きして、うれしそうに見えた。

 見ているようで見ていないことってあるものだし、雨の日は憂鬱になるけれど、雨の日なりの楽しみ方がある。そのことに気づかされる。

 これから鬱陶しい梅雨の時期に

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高山気分をあなたに―今日のお花たち その11

高山気分をあなたに―今日のお花たち その11

 しばらくお天気が悪そうで、お花を見に行けないかもしれない、と思い、定点観測している場所へ。

 2週間ほど前に来たときとは、お花の顔ぶれがほとんど変わっている。まずは高山植物の女王といってもよい、エーデルワイス。長野の入笠山でも咲くはずだけれど、こちらは平地に咲いているのだから、すごい。

 イワタバコは、高尾の蛇滝に7月下旬に咲くけれど、こちらではもう咲いている。

 白いイワタバコは、ここで

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梶井基次郎の『檸檬』を15年ぶりぐらいに読み直す。最初に読んだのは高校の教科書でだった。年月が経って読み返してみると、セザンヌのような西洋の絵描きや、映画監督のような眼差しで事物を描写しているところが面白い。若くして亡くなってしまった梶井さん、お主もやるなあ。

抵抗としてのアート―第8回横浜トリエンナーレ

抵抗としてのアート―第8回横浜トリエンナーレ


Ⅰ テーマは「野草」 3年に一度の、横浜の美術の祭典、横浜トリエンナーレへ。一番最初のトリエンナーレから、毎回、欠かさず見ている。
 今年のテーマは、魯迅にインスパイアされた「野草」。国家権力だったり、巨大な資本だったり、私たちが否応なくその支配下に生きざるを得ないものに対して、屈するのではなく、野草のごとくたくましく立ち向かってゆくことを目指す展覧会となっている。

 例えば、巨大な資本に立ち

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今日のお花たち その10

今日のお花たち その10

 正確には、昨日のお花たち。9日にバラを見に行った公園へ。通りすがりで咲いているバラも満開のようだから、そろそろ見頃かなあと思って。
 まずは、満開のカルミアがお出迎え。

 バラ園へ。近くの高校の生徒数人が、デジカメ片手にバラの写真を撮りに来ていた。写真部かな。いい写真が撮れたかしら。
 noteに横浜で撮ったバラの写真を載せておられる、Strolling Rickyさんは、バラの名前をきちんと

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余はいかにしてメルカリで『奇跡』のDVDを買ひしか

余はいかにしてメルカリで『奇跡』のDVDを買ひしか


はじめに
 余がメルカリで見つけしものは、デンマルク国の映画作家カール・Th・ドライヤーの『奇跡』のDVDなり。
 と内村鑑三の『余はいかにしてキリスト信徒となりしか』に倣って、文語調で始めたものの、最後までその調子で行くのは、私も読者の方も厳しいと思うので、口語に戻そう。

 これから書くのは、メルカリで『奇跡』のDVDを買うに至った経緯と、買った後のできごとである。少し長いかもしれないけれど

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東京すみっこランチ その2

東京すみっこランチ その2

 久しぶりにお寿司屋さんへ。何度目かの訪問。ご夫婦でやっておられる。ランチタイムを少し過ぎていて、ダメかもしれないと思ったが、快く受け入れていただく。

 ランチの握りにして、最初に出していただいた玉こんにゃくを食べていたら、ご主人の握ったお寿司があっという間に出てきた。みそ汁つきだ。

 初めてキビナゴの刺し身が乗った握りを食べた。優しい甘さの玉子焼きの間にご飯がサンドされているのも、面白かった

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今日のお花たち その9

今日のお花たち その9

 たまたま通りかかった、バラ中心のガーデンに咲いていたお花たち。
 野バラ風のバラや。

 ブーケみたいなバラ。

 こちらは小ぶりだけれど、花数はたくさん。

 紫のバラ? 『ガラスの仮面』の速水真澄を思い出す。

 モリモリのカンパニュラ。

 こちらも、切り花でも売っているデルフィニウム。

 通る人の見る目を楽しませるガーデン。堪能させていただいた。

 平日出勤の方は、明日が折り返し地点

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今日のお花たち その8

今日のお花たち その8

 午前中に用事があり出かけたので、午後から小石川植物園に行く。冷温室や温室では、センカクツツジやエゾカワラナデシコなど、日本各地の固有種のお花が咲いていて、東京にいながらにして、北へ南へと旅した気分になった。

 冷温室で大事に栽培されている鉢植えのお花を見ているうちに、小学校時代の同級生Мちゃんのお母さんのことを思い出す。
(この思い出については、以下の記事をご覧ください。)

 園内を散策して

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ペンテコステの日に

ペンテコステの日に

 2024年5月19日日曜日。午前中に用事があり出かけたので、午後から小石川植物園に行く。冷温室や温室では、センカクツツジやエゾカワラナデシコなど、日本各地の固有種のお花が咲いていて、東京にいながらにして、北へ南へと旅した気分になった。

 冷温室で大事に栽培されている鉢植えのお花を見ているうちに、小学校時代の同級生Мちゃんのお母さんのことを思い出す。

 Мちゃんは、同じ団地に住んでいて、小学校

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