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東京・天使の詩―ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』
Ⅰ ベルリンから東京へ 『ベルリン・天使の詩』(1987)から35年、役所広司が天使になって東京の街に舞い降りた。といっても、彼には初めから翼はない。『ベルリン』の天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)は当初、ランドマークの戦勝記念塔からベルリンの街を見下ろしていた。役所広司演じる「平山」―ヴェンダースが敬愛する小津安二郎『東京物語』(1953)の平山周吉(笠智衆)と同じ苗字だ―は、一貫してランドマ
置かれた場所で咲く―今日のお花たち その13
昨日の夜、図書館で雑誌記事をコピーして来た。記事を読んでから寝るつもりが、座ったまま寝落ちしてしまう。5時頃に目覚めるが、さすがに休みなので布団で寝たくて二度寝した。再度起きたのは、11時近く。最近、平日はなかなか眠れず、週末に寝溜めしてしまうパターンが多い。
自宅でダラダラして、日暮れにちょっとだけ近くの公園や植物園を自転車で散歩した。マンションの敷地には、咲きはじめのアジサイや、満開のビ
我思う、ゆえに我あり?
仕事帰り、最寄り駅から二駅先まで歩いていたら、白地に茶色が混ざった猫に出会う。首輪のようなものをしていて、毛並みもキレイ。
話しかけるとニャーと答えてくれたけれど、見かけない人間だからか、一定の距離を保とうとする。座っている風情は哲学者のようで、「我思う、ゆえに我あり」と言わんばかり。中年のオスかなあ、と勝手に推測。
家猫かと思ったけれど、それならこんなところにいない気がするし、首につけて
抵抗としてのアート―第8回横浜トリエンナーレ
Ⅰ テーマは「野草」 3年に一度の、横浜の美術の祭典、横浜トリエンナーレへ。一番最初のトリエンナーレから、毎回、欠かさず見ている。
今年のテーマは、魯迅にインスパイアされた「野草」。国家権力だったり、巨大な資本だったり、私たちが否応なくその支配下に生きざるを得ないものに対して、屈するのではなく、野草のごとくたくましく立ち向かってゆくことを目指す展覧会となっている。
例えば、巨大な資本に立ち
余はいかにしてメルカリで『奇跡』のDVDを買ひしか
はじめに
余がメルカリで見つけしものは、デンマルク国の映画作家カール・Th・ドライヤーの『奇跡』のDVDなり。
と内村鑑三の『余はいかにしてキリスト信徒となりしか』に倣って、文語調で始めたものの、最後までその調子で行くのは、私も読者の方も厳しいと思うので、口語に戻そう。
これから書くのは、メルカリで『奇跡』のDVDを買うに至った経緯と、買った後のできごとである。少し長いかもしれないけれど