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私の撮影スタイル

  写真を撮り始めて40年が経つ。

  たくさんの写真を撮り、たくさんの写真を見る中で、自分の撮りたい写真のイメージは徐々に固まり、自分の撮影スタイルも固まって行った。

  ちなみに私の撮る被写体の99%は人物だ。

私の撮影スタイル

  私が好む撮影スタイルはこんなところ。

①表情に徹底的にこだわる

②その場にある光で撮る

③ポートレートは単焦点で撮る

④ベストの構図を追い求める

①表情に徹底的にこだわる

  他の人(一般人)の撮る写真を見ていると、目をつぶった写真を平気で送ってくる人がいる。
  趣味でそれなりに写真を撮っている人でも、「いや、もっといい表情があったでしょ!」と思えるレベルで満足して撮るのをやめてしまっている人がいる。

  私の場合、「ベストな写真、表情が撮れた!」と思えるまで何枚でも1つのシチュエーションでしつこく撮る(これはデジタルになったからこそできることだが)。

  人物写真の1番重要な要素は表情だと思っているので、表情から感じるもののない写真はあまりいい写真だとは思っていない。

  例えばこれ。

  仲間からは絶賛され、ローカルのコンテストで優勝もしたが、私は最初は今ひとつだと思っていた。それは「表情がない」からだ。この子の気持ちが伝わってこない。

  被写体の魅力、服装、シチュエーション、光線状態は完璧に揃っていて、今ではお気に入りの写真ではあるが、やはり表情があったらと思う。

②その場にある光で撮る

  若い頃はストロボも使っていたが、ストロボを使って自然な感じにするのは至難の業だ。

  クリップオンのストロボでは、どんなにデフューザーを付けても所詮は小さな光源面積なので不自然になるし、背景との光量のバランスにどうしても不自然さを感じてしまう。

  早々にストロボ撮影は捨ててしまったので追求が足りないだけかもしれないが、私はストロボの調整に頭と時間を使うよりも、ひたすら自然光、その場の光だけを使って、素早く表情を切り取ることに注力する方が好きだ。その方がいい写真になると思っている。

  レフ板はストロボよりも光の量を目で見てコントロールしやすいし、ストロボほど不自然にならないので使いやすい面もあるが、設置に一手間掛かり、速写性が落ちるのでやはり私は滅多に使わない。

  30代前半にはスタジオ撮影用にアンブレラなどストロボ機材一式を揃えてスタジオでのポートレート撮影にトライしていた時期があった。

  構図や光をきっちりと決めて絵作りをしたい私にとっては、これも1つのやり方ではあるが、結婚を機に撮る機会がなくなり、この路線は捨ててしまった。
  自分で1から絵を作り出すのが苦手な私にとっては向いていないと思ったことも1つの要因だ。
その場にあるものを最大限に活かしていい写真を撮るのが私の得意分野なので。

③ポートレートは単焦点で撮る

  これは②とも密接に関係し、暗い場所でも撮れるように、単焦点で撮るようになったことから始まっている。

  私が撮り始めた頃のフイルムの時代は、まともに使える感度はISO400まで。ISO1600のフィルムの粒状性は見られたものではなかった。

  私が撮っていたヤマハ音楽教室の室内では、ブレずに撮るには最低でもF2の明るさが必要だった。
  そこで24mm、40mm、85mmをF2で揃えた。

  社会人になってからはそこに180mmF2、350mmF2.8も加え、クラシックコンサートも撮れる機材ラインナップとした。

  当然明るい単焦点はボケが大きく、それだけで美しい写真になるので、ポートレートを撮る際には基本的に単焦点だけで撮るようにしている。

  ちなみに現在の単焦点レンズラインナップは、フォーザーズで12mmF2、20mmF1.4、45mmF1.2、75mmF1.8だ。

④ベストの構図を追い求める

  構図に関しては人それぞれで色々な考え方があるが、私は写真の重要な要素は、

・被写体
・構図
・光

だと考えていて、構図は絶対に外せない要素だ。

「その被写体にはベストの構図があるはず」との考えから、その場面でのベストな構図を常に追い求めている。

「無駄な物を入れない」
「必要な物を入れる」
「空間に意味を持たせる」
「バランス」

  考えているのはこの辺りだ。

  構図に関しては、崩した構図というものが存在する。
  画面を斜めにしたりブラしたりして動きを感じさせたり、あえて違和感を感じる不自然な構図にしたり。

  私はきっちり撮りたい方なので、このような写真は滅多に撮らない。他の人の撮ったこのような写真を見ると、自分には思い付かないなと思いつつ、魅力を感じることもある。「こんな写真を撮ろうと思うなんて凄いな!」と思うこともある。

  しかし私の美学は整った計算尽くされた構図なので、目指すのはやはりそこだ。

私の好きな構図の一つ、「額縁構図」
これも典型的な「額縁構図」
前ボケを入れるパターン

  以上のスタイルに沿って撮るので、私の写真の芸術性はそれほど高くないと思っている。
  写真作家と言えるレベルにはない。

  私がこれまでに撮ってきた写真の8割は記録写真であり、その中から作品になり得るものを拾ってきた感じだ。

「記録写真」から「作って撮るポートレート」までの幅の中で、これからも喜んでもらえる写真を撮って行きたい。

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