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人々が欲しくなるものとは何か(フードクリエイターの呟き)【24年1月】

人間の欲求は情報に操作されている。
物欲ならなおさら。
食欲も飢餓のない平和な世界であれば似たようなもの。

毎日メディアやSNSに情報が溢れている。
それを見て新商品を知ったりそれを見た友達や家族から聞く。
ある時には、おいしそうなスイーツの写真を見て食べたくなる
ある時には、"推し"が行っていた観光スポットに行きたくなる。

今の私の環境では、食品の商品開発をしながら
原料の作られ方、PR方法、店舗の様子や販売実績まで一通り把握することができる。
それに伴い、人に知ってもらうためには、伝えるためにはどうすれば良いのか考えることがとても増えた。




意外なものが売れた。

2024年、年明け早々に私たちは念願の新商品を発売した。

手作りの生柚子こしょう

『黄金の生柚子こしょう』
2年前の冬、まだ私が横瀬町に来て間もないころに
作った駅前食堂の人気メニュー(自画自賛…笑)、豚汁うどん。
それを飽きずに最後までおいしくお客さんに食べてもらいたいと考えたのが
町中になる柚子で作った柚子こしょう。

作り方はいたってシンプル。
柚子の皮を手作業で黄色いところだけをすりおろし、
塩と刻んだ青唐辛子を加えて混ぜるだけ。

当初からこの柚子こしょうは好評だったが
たくさん作るのが地味に大変。
皮をすりおろし過ぎると白く苦い部分まですってしまうので
機械を使うこともできない。
1個の柚子からとれる皮ペーストはごくごくわずか。
しかも、それ以前の収穫もトゲだらけで一苦労。
いつか商品化したいね~なんて言いながら、1年目、
2年目は食堂のメニュー提供分を作るだけで精一杯だった。

迎えた3回目の冬。
これまでの約2年間の知識やつながりを生かし、ついに瓶詰めで商品化!
1月5日に発売し、なんと初回納品20個は3日間で売り切れ。
2回目の納品も同様。
自分が世に出したものがここまで飛ぶように売れるのは今回が初めて。
苦労して開発してきたスパイスジャムや苺と和紅茶シロップもファンになってくれる人はいたけど、『柚子こしょう』がそんなに求められるものだとは意外で驚きだった。

一体なぜ柚子こしょうが売れたのか

定番の柚子こしょうといえば、九州地方発祥の緑色のもの。
青ゆずに青唐辛子で作るのが一般的。
それと比較するとウチの『黄金の生柚子こしょう』は珍しく目を引くものだったのではないかと思う。

上記含め、他にもよく売れた理由をいくつか考えてみた。
・黄色い柚子こしょうという"珍しさ"
・ネーミングの"響き"
・1個500円以下という"お手軽価格"
・一般的な、もしくは秩父地域での"柚子こしょう自体の人気度・認知度の高さ"
・ランチメニューのサービスで味を知った上でお土産用を買うことができる"安心感"

客層を分析すると、食堂の利用者、観光客(年齢はさまざま)、SNSの投稿を見た40代以下が多かったように思う。

真逆の高級チョコレートの場合

12月から販売開始した1箱1000円以上するチョコレート。
横瀬町の特産品である果物やお茶、からだにやさしい素材を使うことにこだわったショコラ『冬の里山コレクション』。

こちらの商品開発奮闘記については、先月書いたのでぜひ覗いてみてください!

この高級チョコレートの場合は、
柚子こしょうの客層とは異なった客層だった。
自社商品のリピーター、関係者知人
贈り物としての複数購入など。
20~50代の働き盛り世代でスイーツやチョコレートが好き、
そしてSNSよりも口コミを聞きつけての購入が多かったように思う。
やはり値段が高い分、購入に踏み切るにはより安心感が必要なのだと感じた。

大事なのは安心感

これが今の時点での結論。
どうすれば食べる前、買う前にこれは間違いない!おいしいだろう!と思ってもらえるか?
そこにものづくりのストーリーや健康によい事実をのせて伝えていけるか?これからも試行錯誤は続く。

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