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答え合わせ

「解散の時期と封切りが重なってしまい、レット・イット・ビーが最後のアルバムになってしまったから映画も解散もしくは解散前提の作品と思われてしまった」
「しかし、実態はゲットバックのフィルムが世に出たことでレコーディングセッションの一部だったということがわかる。
なぜなら4人はフィルムを回している時は解散するなんて思っていなかった、と。ソロアルバムはそれぞれが発表するかもしれないが、まさか解散するなんて」
 先日よりディズニー+で映画「LET IT BE」の配信が始まった。その冒頭に監督のマイケル・リンゼイホックと2021年発表の「GET BACK」のピーター・ジャクソン監督との対談で交わされた上記の印象深いやり取り。
 後になってからわかることなんてヤマのようにあるが、当時はSNSもなく、発表しようにも限界がある。現在では余計な情報も合わせて世に出回るスピードも早く、そのせいで多くを語らなければならないこともある。
ビートルズなんて今後も後からいくらでもネタは出てくるだろう。
 現在封切られているジョン・レノンのヨーコとの別居期間を描いた映画「失われた週末」もそのたぐい。音楽映画というより人間ジョン・レノンにフォーカスしたもの。周知の事実として語られていた別居期間が映画になるなんて誰が想像したか。

 今月のギターマガジンは「ティン・パン・アレーの真実」と題され、関わった人々の証言で構成されている。
ここ何年かのギターマガジンはこういった企画が多い。スタジオミュージシャンや歌謡曲といったギターキッズ向けと思っていた雑誌の企画変化。読み手が歳を取ったという事もあるが、ネタばらし的な企画が多い。
かくいう私もこういう企画は好きなのだが、先に述べた「LET IT BE」のネタばらしが「GET BACK」であり、ギターマガジンの最近の企画はJPOPのネタばらしという事か。
 今月号のギターマガジンは日本の軽音楽を形成してきたミュージシャンに光を当てたわけだが、古くからのギターキッズにぴったりハマっていると思う。
記事を読みながらレコードを再生し、「そうかやっぱりこの音は・・・」などと唸ってみる。
 学生時代にはYouTubeも無く、楽譜も怪しいモノが多く出回っていた。だから、耳コピをするしかなく、音色やフレーズなど真剣に聴いたものだ。
コンサート会場でどうやって弾いているかを確認することはできても、アタッチメントの詳細まではわからないし、明らかにプロとアマチュアの差は格段にあった。
 私の好きな鈴木茂なんて、昔のインタビュー記事で「コンプはダイナコンプもいいけど、ROSSのコンプを2台つなげているんだ。その方が・・・」
全く意味がわからなかった。コンプを2台つなげる?ROSSって何だ?BOSSの誤植か?など。そんなレベルだった。
今こうして昔の伝説が記事となって、映画となって、YouTubeなどの動画となって、簡単に視聴できる。
それが正確な情報であれば、簡単にプロと同じ音が出せるという事だ。
 私は「Get Back」を観ながら、ギターマガジンを読みながら、昔の自分との答え合わせをしているのかもしれない。それも音楽の楽しみ方かも。
但し、今の子たちは便利になり過ぎて自分の感性で音を聴きとる力、聴き分ける力が衰えなければいいがね。耳コピでいろいろと想像を巡らせる事も大事よ。
それをしなければ、答え合わせすらできないからね。

2024年5月19日
花形

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