Keyの軌跡

坂上秋成作の批評本を読んだ。Keyはビジュアルアール傘下のゲームブランドで、いわゆる泣きゲーを数多くリリースしている。学生時代にドハマりしており、久しぶりに再熱したといったところである。

「Kanon」はKeyの第一作目。冬にスポットを当てて、テーマは奇跡。当時は気づかなかったが、誰かの命を犠牲にして奇跡が起こり、他の人が救われるという、トレードオフの構図が展開されていたようだ。
「AIR」は夏の物語。過去の呪いが現在まで続いており、ヒロインの観鈴が現代でその呪いに苦しめられている。そんな辛い境遇でももがいて幸せを得る作品だ。観鈴に限らずではあるが、困難に対して懸命に生きる人間の美しさに涙せずにはいられない。ラストシーンは賛否両論あるかもしれないが、観鈴は間違いなく幸福を感じていたと思う。
「CLANNAD」は家族をテーマにした作品。崩壊と再生、そんな対立構造が散見される。人は脆いから、ふとしたきっかけで壊れてしまう。そんななかでも人に救われて再生を試みる、成長の物語でもあるだろう。
「リトルバスターズ!」は友情だろうか。これは主人公の成長に心を動かされた。「いつか挫けた その日の向こうまで」主題歌のこのリリックに全て詰まっているといっても過言ではない。

正直、当時の熱量は残っておらず、新作を追うことはしていない。それでも、当時Keyの物語に心動かされて救われたし、今なお、根底に影響が残っていることは間違いない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?