連載小説【正義屋グティ】 第10話・沸点
10.沸点
心臓の鼓動が聞こえ、グティは梯子にかけていた自分の手をとっさに離してしまった。ドスンと四階の古びた廊下に鈍い音が響き渡る。
「正夢…」
グティは昔、パターソンが教えてくれたそんな言葉を思い出す。その言葉は夢で見たことが現実で起きるという意味だ。今自分がその不思議な現象に巻き込まれていると考えると、手の震えが止まらなくなってきた。
「上ではパターソンが僕の助けを待っている。」
グティは目をつむり一回大きく息を吸ってゆっくり吐いた。その吐息には13歳のものとは思えな