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見た目の固定観念で職質し、持ち物検査をする日本の警察

2021年1月27日(水)夕方ごろ東京駅構内で、友人の子(ブラックのバイレイシャル=ハーフ)が職務質問を受けました。彼はもちろん何も所持しておらず、警察が彼の30分という時間を無駄にした上、人の多い公衆の面前で、まさにその場の地面の上で荷物検査をするという苦痛を与えるだけという結果に終わりました。

動画は本人からの提供で、その日のうちにJapan 4 Black LivesのTwitterに投稿し、2/1現在で4000回以上リツイートされ、国内外のメディアから問い合わせが来ています。

これだけ注目を集めるということは、この動画の中での警察の振る舞いや言動が、それほどに色々とおかしいということです。もしあなたがこの動画を観て、何も疑問に思わないのであれば、あなたの偏見や差別に対する認識や理解は、この警官と同様、非常に足りない、もしくはとても遅れていると思われても仕方がないかもしれません。

私たちJP4BLの活動は、黒人差別や偏見から起こる問題への理解を深め、ともに学ぶことですので、今回この動画をシェアし、日本国内での差別の現状を通して皆さんの考えるきっかけになればいいなと思います。以下にこの動画を見る上で知っていただきたい事柄を挙げていきますね。

👉ステレオタイプ(固定観念)

多くの人に浸透している先入観や思い込みのことで、偏見や差別的な意識とも関係しています。ネガティブなステレオタイプの例として、「女性は家庭的な面がある方がいい」というステレオタイプから、料理が出来ない人や気が利かない人を「女子力が低い」と言ったり、血液型で性格を当てはめることもそうです。ハーフだから英語が話せる、黒人だからスポーツが得意、日本人はアニメ好き、田舎者は洗練されていない、など、世の中はステレオタイプで溢れています。ラベルを付けてそのグループに属する人をみんな一緒であると見てしまうことは、特に多様化された現代において、陥ってはいけない単純化した思考といえます。

ところがこの動画で警官は、何の疑いもなくさもありなんといった様子で「ドレッドヘアーでオシャレな人は薬物を持っていることが多い」と言い放っています。上記で説明したことを理解していれば、この発言がどれだけ問題となるかがわかるはずです。

👉レイシャルプロファイリング(Racial Profiling)

アメリカでは黒人男性が他のどのグループよりも警察から止められる可能性が高く、警察から殺されるケースも多いです。アメリカで黒人が人口に占める割合は13%なのに対して、殺された人のうち25%にも及びます。このように警察による職質などの行為が特定の人種に対して偏っていることをレイシャルプロファイリングと言い、大きな問題となっています。

日本においても外国人が職質を受けることが多く、特に黒人の方で職質を短期間に何度も受けたり、ひどい場合一日に数回受けるという話も実際にあります。私たち日本人が普通に生活している場面で殆ど職質を受けることがないのと同じように、彼らも日本で普通に生活しているのであれば、ただ肌の色が違う、国籍が違うだけで職質の対象になって苦痛を受けるのはおかしいですよね。

💡参考リンク
職務質問に悩まされる全ての民へ... / ぶらっくさむらい

なぜ5年で30回もの職務質問? 東京での“Racial Profiling”に彼は声を挙げた

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👉カラーブラインド

「警官は肌の色に言及してない」
「それなのに肌の色を持ち出す方が差別主義者だ」
「職質は見た目で声かける人を選ぶしかないだろう」

この動画をTwitterで投稿したときに、上記のようなコメントを受けました。
「カラーブラインド」とは、もともとは人種で差別や区別が起きないように、人種を尋ねない、人種は関係ない、というリベラルな考えから来たものでしたが、それがネガティブに作用し、「人種がなければ、人種差別も存在しない」というような屁理屈が生まれ、人種差別が起きている現場でも、それをないものとしてしまう様なことが起こります。結果的に人種差別が黙認されてしまい、上記のようなコメントは、差別の加担者側となってしまいます。

👉間接差別

ステレオタイプに対する認識が低いとはいえども、「あなたの肌の色が濃いから職質しました」なんてまさか言うわけないですよね?そして、警官はこのヘアスタイルと、「オシャレだから」ということを理由に声をかけたと自分で言っています。後者は完全に、髪型で声をかけたことを無理やりポジティブな理由にこじつけているのではないでしょうか?そして髪型について。まずこの青年はブラックのミックスなので、彼らにとってこのヘアスタイルは、ナチュラルであり、髪質的にも合っていて、彼らの長い歴史で築いたカルチャーでもあります。言わずもがなこの髪型をしているのが最も多いのが黒人の人たちです。

ここで、「間接差別」という概念がでてきます。「黒人」と言っていないから人種とは関係がないといように取り繕っても、事実として黒人の人たちが他のグループよりも職質を多く受けている、つまり彼らに不利益がある場合、これは紛れもなく間接差別に遭っています。

また、間接差別は日本において、男女雇用機会均等法などの法律により厳しく禁止されています。人種においてもアメリカでは取り締まられます。多様化が進む社会で、日本だからセーフという考えはおかしいですよね。

👉問題の本質

「やましいことがないなら職質に協力すればいい」
「ドレッドヘアーをやめればいい」
「被害妄想でしょ」
「警官が顔を晒されて可哀想」

動画に対してTwitterでこの様なコメントが見られました。どのコメントもこの問題の解決に一切つながりませんし非常に主観的です。差別問題で日本人に対して度々上がる声として、「共感力に欠ける」というのがあります。日本人は、日本に暮らしていればマジョリティ(多数派)グループに属するので人種差別に遭うことはありません。だからこそ、共感力が必要とされるわけです。もしあなたが差別問題に対してあまりよく知らなかったとしても、「よくわからないけど差別は良くないしなくなればいいな」と思っているのであれば、上記で上げた様な超主観的なエゴを、被差別者に対して絶対に向けるべきではありません。なぜならマジョリティの声や態度でマイノリティの訴えは簡単にかき消されてしまうからです。

よく、「黒人の差別問題に対してよく知らない自分が首を突っ込んでもいいのかわからない」という声を聞きます。ですが実際は、当事者でない周りの人たちが立ち上がって声を上げて、マジョリティという特権を惜しみなく行使すべきなんです。

例えばアメリカで、有色人種に対する不平等を、あらゆる職種で特権を持っている白人たちが一斉に立ち上がってなくそうとアクションを起こせば、少なくとも「制度的な人種差別(システミックレイシズム)」は一瞬でなくなるのではないでしょうか。だから、周りの人たちの声ほど重要なのです。BLM運動においても同じと言えます。

👉差別問題においてやってはいけないこと

もしあなたが、差別がなくなる世の中を望んでいるのであれば、被差別者側の精神的苦痛や、我々が想像だにしない日々のプレッシャー(たとえば警官を見かけるたびに、また声をかけられるかもしれないという緊張感がはしることなど)に対して、どうこう意見するべきではありません。「でも」も「だって」もなく、まず最初に共感しようとすることが大事だと思います。

1. 彼らの苦しみを自分自身のものとして受け止めよう(共感)
2. 怖くても立ち上がろう(周りに広める勇気)
3. 自分が持っている特権を、それを持たない人へ譲り渡そう(周りの声の重要さ)
4. あなた自身も痛みを感じても、話すべきはあなたのことではないことを理解しよう(エゴを押し付けない、特権側の立場でアドバイスをしない)

💡参考リンク
今あなたがアライ(味方)としてやるべきこと 

人種差別問題。良き理解者・協力者でいるために、自分に問いたい13のこと

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みんなだれかの親であり、子どもであり、恋人であり大切なひとであることを忘れなければ、心無い言葉や態度を向けられないし、無関心でいられないのではないでしょうか?

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