クロッキーされ日記

・美術系の予備校の美術モデルのバイトをしてきました。美術モデルはこれで二回目。クロッキーは初。(クロッキーは直訳で「速記」という意味らしい。)
20分1ポーズ5分休憩の繰り返しで全部で12ポーズの仕事。
ポーズ自体はモデルの自由だそう。
12ポーズも思いつかいないので「ビジュアルヌード・ポーズBOOK act 東條なつ」を購入し真似することに。
前日に電子書籍で購入したのですが、かなりえちえちなポーズを淡泊に仕上げている写真集でなかなか良しでした。女性の身体の美しさに私はめっぽう弱い。
 
・統失の私は人の視線とか情報量が苦手なのですが、美術モデルは全然平気です。スーパーに行くと目に映る全ての商品に見られていることになりますし、飲食店の食べる、飲む、喋るといった情報も大の苦手。でも美術モデルは15人程度の人の視線のみの情報しかなく、それはたとえ車両に一人きりだとしても広告で煩い電車に乗るよりもずっと静寂です。
あるのは視線と、私の思考のみ。ひたすら好きな事を考えます。この特殊な状況がなかなか気に入っているのです。
 
・練習不足だった私は20分とったらどうなるかなんて全く分からないままポーズを決めていきます。停止の苦しみを、今日初めて知りました。吐き気、痙攣、寒気と汗、暑い、痛い、苦しい、なぜか便意。何度も「このポーズがダントツに苦しい」と更新していきます。ふくらはぎの筋肉が膨張して熱を発するその痛みを、私は20分かけて学びました。7時間以上経っている今も腰やら足やら肩やらが痛い。無職じゃなかったらこんな無茶は出来ないぞと思いながら教室を後にしました。本当に痛い。
 
・苦しみを軽減させるコツとして、同じポーズをとりながら重心の位置を動かしたり、支える力をこめる部位を変えたりすることを見つけました。
20分の間に私の身体の内部は徐々に変化します。私の筋肉、血管、神経、骨がどろどろに混ざり、まるで蛹のようです。
どろどろに溶けたその身体の液が自由自在に流動し、重心をゆっくり移動させていきます。
誰にもバレないように、ゆっくり、ゆっくり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?