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2023年のイベントコミュの台詞数調査報告


1.はじめに

 砂塚あきらのテキストを収集し、調査していく中で、年月の経過に伴うコミュ台詞数の増加傾向を見出した。台詞数に注目して他のデレステのコミュを眺め、比較検討することで各アイドルの描き方や見せ方の変化に関して、何かしらの知見が得られるかもしれないと考えた。
 比較的着手が容易と考えられたストーリーコミュについては既に現段階で可能な調査は完了し、その結果はnoteで公開済みである。続いて先日、2023年に公開されたイベントコミュについての調査が完了したのでその結果の報告と簡単な考察を行う。

2.調査方法

 イベントコミュの台詞の数をカウントした。何を1台詞とするかは図に示した。ただし、
・Pポップアップはカウントしていない
・神崎蘭子の言葉の翻訳や注釈などの、ログでのみ確認できる台詞はカウントしなかった
・手動なのでいくつか数え間違いはある
・予告は含めない

台詞の数え方

 加えて、各イベントコミュがどういったシナリオなのかを6つのパターンで分類した。ただ、こちらは自分の第一感での分類であるためあまり有用な情報ではないと思われる。
 分類の記号と意味は以下の図の通り。

分類一覧

 AとCはコミュ中で課題を持ち、解決した子が複数人いたかどうか/課題が通編でテーマとなっていたかどうかの違いを表す。たとえば、「ラビューダ♡トライアングルはアミマネラの3人が明確に課題の解決へ挑んだためAとする」、「ストリート・ランウェイはあきらにとっては課題と解決が描かれたコミュであるが、その他4人についてはそうではないためCとする」といった具合になっている。
 (もともとはA~Cについては「ユニットでの○○」という分類にしていたが、この場合スシローコミュの大半がFに分類されてしまうことに途中で気付いてしまったのでこのような分類へ変更した。そのためなんだかあやふやな分類になってしまった。)

3.結果と考察

 調査の結果はスプレッドシートにまとめた。

 前回の反省を活かし、台詞数が多いコミュは寒色系を、少ないコミュは暖色系の色をセルに割り当てた。これなら結構見やすいんじゃないでしょうか。

上半期の台詞数のまとめ
下半期の台詞数のまとめ

 以下に得られた結果とそれに対する推察やコメントを述べる。本当は数字の話をすべきだが、1年分のデータしかないため、コミュの中身について触れることで紙面を増やしている。

総台詞数が多かったコミュ上位3つは順に
・全開!ミラクルアドベンチャー! (420)
・ノートの中のテラリウム (413)
・D-ark L-ily's Grin (409)
であった。
ー 2023は「ハートボイルドウォーズ」「全開!ミラクルアドベンチャー!」「HALLOWEEN GAME」の3つが長編劇中劇として描かれた。その中でも「全開!ミラクルアドベンチャー!」はコミュ中に本格的な課題解決が描かれた珍しい形式(「さよならアンドロメダ」「ワタシ御伽ばなシ」などが類型)だったために、コミュで描くべき/描きたい内容が増えたのだと推察される。
 ー 余談だが、「HALLOWEEN GAME」は逆に、劇中で現実に戻ることが一切ない。全編通して劇中劇、なんなら劇ですらない、「そういう話」なのかもしれない。
  ー エピソードコミュ内で劇であることが示された。
ー 「ノートの中のテラリウム」と「D-ark L-ily's Grin」については、課題解決のコミュであるだけでなく、端正で新規性のあるシナリオであったがゆえに台詞数が増えたのだと推察される。
 ー 前者は2019から続く(颯を意識した)凪の物語の折り返し地点での総括と展望が、後者はここまで経験を積み重ねてきた二人に今必要な視点が描かれていたのが特徴的であり、個人的に評価できる。

逆に(スシローを除き)総台詞数が少なかったコミュ下位3つは順に
・なつっこ音頭 (294)
・Dreamy Anniversary (331)
・無限L∞PだLOVE (347)
であった。
ー 「なつっこ音頭」はコミュ中にシチュエーションが変化する選択肢が用意されており、その分岐を全て網羅すると300は優に超える。ただし、いずれの分岐の差異も人称の変化に過ぎず本質的ではないと判断したため、今回はその分のセリフは加算していない。
 ー 300以下ということで非常に少なく感じるが、これでも(調査中だが)2015-19のコミュに比べれば普通と言えるレベルである。
ー 「Dreamy Anniversary」はSfCの結果によって歌唱メンバーが決まっている事もあり、新規にCVを獲得したアイドルについてここで物語を進める必要はない(≒台詞数を増やす必要はない)という趣があるのではないかと推察される。実際には多少進んでいるが。
 ー この傾向は「Next Chapter」「WINTER and WINDOW」についても言える。そして、同じくSfCの楽曲である「パジャマジャマ」の台詞数が群を抜いて多いことからも、上の推察を信じることに多少の理はある。「この恋の解を答えなさい」も同じく多い部類であるが、こちらは劇中劇が盛り込まれていることが一因と考えられる。
 ー 補足。「ここで物語を進める必要はない」というのは「経験値にはなるが、その子に本質的な成長・変化を強く与えない」といったニュアンスである。「パジャマジャマ」や「Starry Night」などがその例。
ー 「無限L∞PだLOVE」はアナザーコミュが豊富であるためOP-EDまででは台詞数が伸びないのだと思われる。
 ー 実際、同じくアナザーコミュの豊富な「星環世界」OP-EDまででは少ない部類である。(296)
 ー コミュの内容については、今後の展望を示唆したものとなっており、そういう視点ではかなり面白かった。

台詞数が多かったコミュ上位3つは順に
・ススメ!シンデレラロード 奥山沙織編 第3話 (78)
・全開!ミラクルアドベンチャー! 第4話「自由へのリスタート」 (77) 
・ススメ!シンデレラロード 奥山沙織編 第5話 (76)
であった。
ー 正直、かなり意外な結果となった。スシローコミュにここまでの台詞数が実装されているとは、恥ずかしながら、ゆめゆめ思っていなかった。
 ー 台詞数がそのまま面白さ・読みごたえにつながる訳ではないが、それでも奥山沙織編は読みごたえのある内容であった。このコミュだけで奥山沙織を気にかけるきっかけとしては十分である、それ言えるくらいのクオリティ。

 スシローコミュを除いた台詞数の平均値は372.3であり、スシローコミュの台詞数の平均値は256.8であった。
ー 雑にスシローコミュの平均値を1.4倍すると359.5となり、かなりいい勝負になっている。真面目に比較するならOP・EDの台詞数も加味して適切な補正を描けるべきだが、めんどくさいので今はやらない。本調査の目的はあくまで「年月の経過に伴うコミュ台詞数」の変化を知ることなので。

4.むすびに/今後の展望

 今回は2023年のイベントコミュの台詞数のカウントを行い、その中の傾向やコミュ内容と関係した考察を簡単に行った。結果は上に示したとおりである。
 今後は、他の年についても同様に調査を行い2023と比較してどうであったかを論じていくことを目的としたい。

GG.

5.個人的にオススメしたいコミュ

 一応すべてのコミュに目を通したのでその中でも「いいね」と思ったもののうち、本記事で言及していないものを列挙する。
・ススメ!シンデレラロード 衛藤美沙希編
・Shine In The Sky☆
ー U149のPが好きなので
・ススメ!シンデレラロード 土屋亜子編
・Teeenage☆Groovin'

6.自己紹介

 台詞数の報告書には毎回載せようと思います。

 2020/1/1からデレステを始めました。気持ちは小梅Pで、好きなユニットは多分リンリンだけです。普段は別の名義で遊んでます。
 デレステ外では砂塚あきらに関するテキスト周りのまとめ作業を行ったり、あきらに関する記事を書いたりしています。最近はあんまり気乗りしないので積極的に行っていません。記事も気分が戻るまで非公開にしています。今は微塵も更新する気ないけどwikiの立ち上げも行いました。
 デレステ内のコミュを読んで考えたり、それについて人と話しあうことが好きです。コミュについて話したい・話せる方がいらしたら是非ご連絡ください。

名刺

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