「アジサイ」/ 日本の初夏の風物詩
日本の初夏の風物詩の「アジサイ」。
今回は、この「アジサイ」について、解説いたします。
〈目次〉
1.梅雨にかけて開花する
2.花に見えるのは「ガク」が発達した部分
3.アジサイは日本原産の植物
4.土壌の酸性度によって花色が変わるアジサイ
5.日本原産のアジサイ
1.梅雨にかけて開花する
梅雨時に、アジサイの玉のような花と大きな葉が雨に濡れた情景。
日本中どこにも見られ、関東では5月末から6月の梅雨にかけて開花するアジサイ。
万葉集にも歌われるほど、雨とのセットでさまざまなシーンで描写されてきた、この季節を代表するとてもポピュラーな植物です。
2.花に見えるのは「ガク」が発達した部分
私たちが街で最もよく見かける植えられたアジサイ(ホンアジサイ)は、丸い形をしていますが、厳密には、「花」は丸い形の真ん中に小さく開花し、丸いシルエットの「花序」の大半の部分は、萼(ガク)が花弁状に大きく発達した「装飾花」です。
この丸みを帯びた形状を「手まり咲き」と呼び、 ガクアジサイの「ガク咲き」や、ノリウツギなどの「ピラミッド咲き」と区別されています。
3.アジサイは日本原産の植物
日本原産のヤマユリが欧州に持ち帰られてオリエンタル百合が生まれたのと同じように、アジサイもドイツ人医師シーボルトなどが手まり咲きのホンアジサイを持ち帰って品種改良が盛んに行われ、多様な品種を持つ「西洋アジサイ」として日本に逆輸入されています。
野生のホンアジサイは発見されておらず、現在でも関東を中心に山野に自生しているガクアジサイ(ガク咲き)が手まり咲きのホンアジサイの原種と考えられています。
ホンアジサイはシーボルトが欧州に持ち帰った18世紀後半に既に国内に園芸種として広まっており、どのタイミングで原種のガクアジサイから園芸種のホンアジサイに変化したかは不明です。
4.土壌の酸性度によって花色が変わるアジサイ
アジサイは酸性の土では青みが強くなり、アルカリ性の土では赤みが強くなることが知られています。
土壌が酸性だと、土中のアルミニウムが溶け出し、花に多くアルミニウムが含まれるため青色の花となるようです。
なお、アジサイは「集真藍(あづさあい)」=「藍色が集まる」が名称の由来とされていて、植物の名称が決まった頃、国内には青のアジサイしか(ほぼ)無かったことが推定されます。
私たちが街で見かける、植えられているアジサイも、ほとんどが青色をしているはずです。その理由は、日本の土壌のほとんどが酸性であるからです。
酸性なら青色、アルカリ性なら赤色になる傾向があります
アジサイの色は土によって変わりますが、開花の途中で色を変化させていくのもこの植物の特徴です。そのため、土壌が酸性だから常に青というわけではありません。
5.日本原産のアジサイ
アジサイといえば、手まり咲きのアジサイをイメージしますが、アジサイ科アジサイ属は約30種あり、日本原産のものは12種あるとされ、いろいろな品種があります。
日本原産のアジサイ属の品種のうち、野山や生花店でよく見かける、アジサイ好きなら知っておきたい花を中心にご紹介します。
ホンアジサイ
国内でさまざまな場所に植えられている、最もポピュラーなアジサイです。
花序のほとんどが装飾花からなり、形状は手まり咲きとなります。
ガクアジサイ
関東・中部地方の海岸地域に自生するため、ハマアジサイという別名もあります。中央につぶつぶの小さな花を集合させ、周囲を装飾花が取り囲んでいます。
ヤマアジサイ
ガクアジサイと外見は似ていますが、装飾花の量も少なく、枝や葉も細く、全体に華奢な印象です。その名の通り山中に生えるので、日常生活であまり見ることはありません。
タマアジサイ
東日本の里山や山中、いたる所で見ることができます。蕾が玉のように丸いことからタマアジサイと呼ばれ、開花するとガクアジサイのような装飾花をつけます。
特徴として、開花期が梅雨ではなく真夏の暑い時期です。
7月〜8月に関東で山歩きをすると、高い頻度で見かけます。
ノリウツギ
ノリウツギの花と装飾花を合わせた花序は縦長で30センチもの長さになります。
装飾花の花色は白または淡いグリーンや淡いピンクです。
名称は樹皮が和紙の糊の原料となったことからつけられました。
ノリウツギも梅雨ではなく真夏に咲きます。
参照元: 「AOYAMA HANAMO」Webページ
以上
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