マイケル・ポーターの競争戦略(3つの基本戦略)について
先行き不透明な時代。企業の競争戦略として、絶対的に正しいと言えるはないだろう。
「マイケル・ポーターの競争戦略」は、競争戦略論の古典と言われている。
だからこそ、「マイケル・ポーターの競争戦略」は、自社独自の戦略を考える上で、羅針盤といえるだろう。
マイケル・ポーターは、競争戦略の類型として以下の3つの基本戦略があるとしている。
・コストリーダーシップ戦略
・差別化戦略
・集中戦略
以降、この3つの戦略について、基本的な内容を解説する。
〈目次〉
1.コストリーダーシップ戦略
(1)コストリーダーシップ戦略の定義
(2)コスト優位の源泉
①規模の経済
②学習曲線による経済性
③技術力
(3)コストリーダーシップ戦略を実行するため
の組織
①組織構造
②マネジメント・コントロール・システム
③報酬システム
2.差別化戦略
(1)製品差別化の定義
(2)ポーターの差別化戦略の正しい理解
(3)ポーターの差別化戦略の間違った理解
(4)ポーターの差別化戦略の7つの要素
3.集中戦略
(1)集中戦略の定義
(2)集中戦略は戦略の大前提である
1.コストリーダーシップ戦略
(1)コストリーダーシップ戦略の定義
コストリーダーシップ戦略は、事業の経済的コストを、他の競合企業を下回る水準に引き下げることで、競争優位を確保する戦略である。
(2)コスト優位の源泉
ある企業が競合他社に対してコスト優位を築くに上で主な源泉をあげる。
①規模の経済
・生産規模拡大による工場や設備のコスト(固定費の効率化)
・生産規模拡大による従業員の専門化(専門化による作業効率化)
・間接コスト(会計・財務コストなどの配賦が減らせる)
②学習曲線による経済性
学習曲線は「累積生産量増加に伴って、製品1単位当たりの製造コストが低下する」という事実に基づいて概念化されたモデルである。
経験曲線とも言う。
③技術力
規模と無関係なコスト優位の源泉として「技術」は重要である。
まず、「物理的な技術(ハード技術)」としての技術がある。
また、ハード技術だけでなく、ソフト技術もコスト優位に関係する。
(3)コストリーダーシップ戦略を実行するため
の組織
①組織構造
・少ない階層の報告構造
・単純な報告関係
・少数の本社スタッフ
・特定機能分野への事業集中
②マネジメント・コントロール・システム
・厳格なコスト管理システムの存在
・チャレンジングなコスト数値目標
・材料・原材料・人件費などコスト項目に対する
詳細なモニタリングの仕組み
・コストリーダーシップの価値観が社員に浸透し
ていること
③報酬システム
・コスト削減に対する報償金制度
・社員へのコスト削減に対するインセンティブ制度
2.差別化戦略
(1)製品差別化の定義
製品差別化とは、市場が認知する他社の製品・サービスの価値に対して、自社の製品・サービスの認知上の価値を増加させることである。
製品差別化により企業が競争優位を獲得しようとする事業戦略を差別化戦略という。
(2)ポーターの差別化戦略の正しい理解
ポーターの差別化戦略では、「差別化により顧客が認知する価値が上がっていること」が、差別化戦略成立の絶対条件である。
(3)ポーターの差別化戦略の間違った理解
一方、間違った差別化戦略の解釈をよく見かける。図は、自社商品に対する「顧客が認知する価値が上がっていない」例。
「顧客に、他社と異なると認知される」と「顧客に、他社より価値があると認知される」のは別の話である。
単に、「他社と違うことを行う=差別化戦略」と考える人がいるが、顧客価値が上がらない差別化は「差別化戦略」ではない。
(4)ポーターの差別化戦略の7つの要素
重要な7つの差別化要素をあげる。
・製品の特徴
・機能間の連携
・タイミング
・地理的ロケーション
・製品の品揃え
・他企業との関係性の強さ
・評判(ブランド)
(5)差別化戦略を実行するための組織
①組織構造
・部門横断的/機能横断的な製品開発チーム
・新たな機会を活用する組織構造を開発する努力
・創造的活動への資金確保
②マネジメント・コントロール・システム
・幅広い意思決定が可能なガイドライン
・ガイドラインの経営的な柔軟性
・実験を奨励する方針・企業文化
③報酬制度
・リスクを取ることを奨励。失敗を罰しない
・創造的な才能への報酬制度
・多様な視点でのパフォーマンス測
3.集中戦略
(1)集中戦略の定義
「集中戦略」とは、企業の資源を特定のターゲット、製品、流通、地域、などに集中すること。
特定の領域に集中することで、少ない経営資源でもリターンの高い戦略実行ができる。
(2)集中戦略は戦略の大前提である。
集中戦略は、戦略の大前提として位置づけられている。集中なくして、戦略は成り立たない。
「戦略とは集中である」
「戦略とは捨てることである」
参照: 「Synapse Consulting」webページ
以上
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