フォローしませんか?
シェア
紫恋 咲
2024年6月7日 13:08
駅ビルでそいとげと待ち合わせをしている。僕は見慣れた景色が何か変わったような気がした。「ヤホー!こっちだよ!」手をふっている。 二人で駅ビルへと入っていった。「なあヤホー、色々考えたんだけど………ハンカチとかどうかなあ?」「う〜ん、相手が佳さんだからなあ………普通のものだと………」「だよなあ………どうしよう、何がいいんだろう?」「この前卒業式の送辞はもっと傷口をえぐるよう
2024年6月6日 13:54
僕は朝からドキドキしている。今日茉白ちゃんに絵本を渡すのだ。喜んでもらえると思っているが、もし反応が薄かったら寂しいと思った。 突然そいとげが肩を叩く。「なあヤホー、佳さんへのお返しは何がいいと思う?」「ん………」「ヤホーだって義理チョコをもらっただろう?」「そうだ、忘れてた!」「明日図書館で渡す約束をしたけど、まだ思いつかないんだよ………」 かなり不安な表情で考え込
2024年6月5日 11:00
卒業式になった、雪村先輩は髪を切ってスッキリしている。在校生代表の送辞は何と佳さんだ。文芸部は毎年送辞を書いて出す。その中から選ばれた人が発表する。佳さんの送辞は感動的で素晴らしかった。雪村先輩は目頭を押さえているのが見えた。 卒業式も終わり日常が帰ってきた。僕と茉白ちゃんは図書館で作業をしている。やっと作業も終わり帰ろうとしていたら佳さんがやってきた。「茉白、今日買い物に付き合ってよ」
2024年6月4日 13:03
テストもバレンタインも何とか終わった。僕はそれなりの成績で胸を撫で下ろす。上位50位までが貼り出されているが、茉白ちゃんはなんと8位だ、凄い!。僕は37位だった。 2年生の順位を見て驚いた、1位はなんと佳さんだ、あんなに人をイジってくるけど頭いいんだなあ………感心してしまう。 3月になると色々と忙しい。卒業式が待っている。雪村先輩が卒業していなくなるのは少し不安だ。図書館の仕事も忙しい。
2024年6月3日 13:25
「お帰りなさい星七、どうだった?」「はい、たくさんの人が来て忙しかったです」「あら、よかったじゃない」「これ、そいとげからです」和菓子の箱を差し出す。「ん、男の子からもらうのは逆じゃない?」「色々とアドバイスしていただいたお礼だそうです」「私何も言ってないけどいね?」「いえ、琴音さんのアドバイスがあったからですよ」「そうなの………」琴音さんは箱を開けた。中にチョ
2024年6月2日 13:33
日曜になった。僕はそいとげの家へバイクでやってくる。今日は手伝う事になっているのだ。佳さんと茉白ちゃんもすでに来ていて、お店の開店準備をしている。 僕はお客さんの予約を確認し、会計をしてレジを打った。佳さんと茉白ちゃんは和菓子を箱に入れ綺麗に包装してお客さんへ渡している。 かなりバタバタと働いた。夕方になり落ち着いてきたので、奥にある喫茶スペースで休憩する。「皆さん、ありがとうござい
2024年6月1日 12:08
どうやらレストランに到着したようだ。ビルのプレートに銀座と書いてある、テレビドラマに出てくるような場所だと思った。 中へ入るとまるで外国に来たみたいだ、ファミレスとは全く違った空間がそこに存在した。蝶ネクタイをした人が案内して奥にある眺めの良い個室に通される。僕はキョロキョロと見渡して何度も瞬きした。「星七ちゃん、遠慮しないで好きな物をオーダーしてね」琴音ママは微笑んでいる。 僕はア
2024年5月31日 12:32
バレンタインデーはもうすぐだ。そいとげは家の手伝いで忙しそうにしている。前日は日曜なので茉白ちゃんと佳さんも一緒に手伝う事になっている。 久々に茉白ちゃんと駅カフェへやってきた。何か今までとは違う感覚になっている。二人で付き合う確認はしていないが、何となくそんな雰囲気だ。「なんか駅カフェが少し懐かしい」茉白ちゃんが辺りを見渡す。「そうだね」僕も見渡した。「ねえ、星七君は私といて大
2024年5月30日 14:16
「お帰りなさい星七、どうだった?」「はい、チラシやポスターを作ることになりました。商店街の活性化で駅ビルや商店街のあちこちに展示する場所があるみたいです」「そう、よかったね」琴音さんはニッコリした。 琴音さんは僕を奴隷にしているけど、何かと気にかけてくれる。そうか、親代わりだと言ってたからそのつもりなんだと思った。 数日後、教室でそいとげがチラシを見ている。「おっ、もうチラシが
2024年5月29日 21:09
日曜日はいい天気になった。僕はライダージャケットを着てレブルで出かける。琴音さんは心配そうに見送ってくれた。無事にそいとげの家へ到着する。「こんにちは、お邪魔します」声をかけるとそいとげが出てくる。「おっレブルの新車か、白なんだ、いいなあ。裏の駐車場に入れろよ、もう二人は来てるし」「えっ、二人はもう来てるの?」 裏の駐車場に停めると佳さんと茉白ちゃんが出てきた。「凄い!星七君
2024年5月28日 12:30
土曜の夜になった。琴音さんは珍しく早く帰ってくる。「ただいま、星七」「お帰りなさい」 早速ランデビ琴音に変身している。僕のまぶたの裏には大量の画像が張り付いているのだ。最近少し変化が起きている、それはパンツやブラにも色んなデザインがある事を認識した。 僕はもう自分が変態になってしまったと思う。まだ高校1年なのに女性の下着にくわしいなんて絶対に人にはいえない。そう思うと琴音さんが
2024年5月27日 06:17
「茉白はバレンタインデーにチョコを作るんでしょう?」佳さんが覗き込む。「え………それは………」「いいなあ、ヤホーは本命チョコがもらえるんだ」そいとげが羨ましそうに言った。「えっ、僕がもらえるなんてまだ決まってないと思うけど………」「おや、ヤホーくん、君は茉白の本命チョコが他の人に渡されてもいいのかな?」小悪魔顔で覗き込んできた。「えっ、それは嫌ですけど………」僕は俯く。「佳
2024年5月26日 00:16
教室はやっと落ち着いてきた。1月も半ばになると浮かれた雰囲気はなくなり、淡々と日常が過ぎていく。 隣のそいとげはこれまでと違って圧迫感が無くなっている。僕がバイクを持っていることがショックだったらしい。肩の力が抜けたそいとげは話しやすくなっている。なんか不思議な感触だ。 図書館の仕事は雪村先輩が来なくなって溜まる一方だ、改めて先輩の偉大さを知った。亜斗夢先輩が来てくれると助かるのだが、噂
2024年5月25日 13:11
僕は吉城寺駅を出てそいとげの家へ向かった。和菓子屋さんへ到着するとそいとげがニヤニヤ出てくる。「ヤホー、裏へ回れよ」親指で方向を示す。「何だよ、面倒臭いなあ」仕方なくお店の横から裏へ回る。「ジャーン!見てくれよ俺の愛車を」駐車場にある一台のバイクを指差した。赤いカマキリのような形をしたバイクでCT110とロゴが入っている。「へ〜、このバイクを買ったのか?」僕は瞬きする。「