見出し画像

落書き②


バルボッサ

 海賊が好きである。幼稚園のなんかの企画で仮装した事から出会い、パイレーツオブカリビアンを映画館で見て、アトラクションのカリブの海賊に乗り、小学生で夢中になって読んだ「宝島」と「海賊ジョリーの冒険」と。どこの海を見ても海賊を夢見る。
 海賊の金銀財宝、豪勢な食事、酒を飲み続ける骸骨、独裁的な船長(キャプテン)と反乱(ミューティニー)の可能性、売春婦を追い回す水夫、大砲、カトラス。金!暴力!sex! どれも子供には禁止されていて、素直に惹かれる。大人になってパイレーツオブカリビアンを見てもラテンアメリカの植民地様式、漆喰の壁、熱帯植物、鸚鵡、羅針盤、鳥と戯れる女神の船首像と美しい調度品に満ちた空間だ。大学生で体育の選択をマリンスポーツにし、前日友人とトランプをしながらラムをしこたま飲んで二日酔いでウインドサーフィンとヨットに乗った時はひとつ小さな夢が叶ったと思った。海と自分との関係である。
 カリブの海賊のあるディズニーリゾートに行ったのは高校が最後である。ディズニーシーは埋立地をうまく使い水平線を借景している。海を中心に7つのテーマに沿った景色を探索できる。エリアとエリアの間は植栽と火山により互いに混じることなく回遊できる。アメリカ文化を取り入れた見事な日本的回答をディズニーシー以外に知らない。(オススメのスポットあったら教えて笑)
 特に要塞と帆船を再現したエリアは海賊に憧れる幼少の自分にとっては永遠にも思える至福の時間だった。自分にとってのディズニーシー体験はこんなもんである。

 実家の冷蔵庫に張り付いたディズニー土産のマグネットは思い出と、アメリカ文化の歴史を同時に浮かび上げる。記憶の象徴である。人によっては水屋箪笥の古ぼけた写真だったり、リビングに飾る絵葉書だったりするだろう。これらの点は歴史と個人史を結ぶ。

 免疫学を齧ってわかった事。人は物質に対して反応できるかどうかに関わらず、外部の風景を識別できる。そのことは記憶に基づく個性の成長と、個性によって印象深く記憶する事でこそ可能となる。両者があってはじめて物質の性質とその歴史を読み取る事ができる。
 この6行を書くために落書きから個人史を思い出す必要があった。アメリカ建築とディズニーランドについてもいつか描くかも。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?