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テロ組織指定(米国)

FTO指定とは?

FTO指定(Foreign Terrorist Organization designation)とは、アメリカ合衆国政府が外国のテロ組織に対して行う公式な指定です。この指定は、アメリカ合衆国国務省が特定の組織が以下の基準を満たすと判断した場合に行われます:

  1. 組織が外国の組織であること。

  2. 組織がテロ活動に関与している、またはテロ活動を行う能力と意図を持っていること。

  3. 組織のテロ活動がアメリカ合衆国の国家安全保障、国民の防衛、またはアメリカ合衆国の外交政策にとって重大な脅威を構成していること。

FTO指定を受けた組織には、いくつかの法的な制約が課されます。例えば、アメリカ合衆国の金融機関はその資産を凍結し、アメリカ合衆国の市民や企業は指定された組織との取引を禁止されます。また、指定された組織のメンバーや関連する個人は、アメリカ合衆国への入国が拒否されることがあります。

この指定は、テロ組織の資金源を断ち、その活動を制限し、国際的なテロとの戦いにおけるアメリカ合衆国の立場を強化することを目的としています。

日本の組織で、FTO指定を受けたものはありますか?

日本の組織で、アメリカ合衆国政府からFTO(Foreign Terrorist Organization)指定を受けたものとしては、オウム真理教(現在はAleph(アレフ)およびひかりの輪として知られている)があります。オウム真理教は、1995年に東京地下鉄サリン事件を含む一連のテロ活動に関与したことで国際的に知られています。

この指定は、オウム真理教が行った重大なテロ行為と、その後の組織の活動がアメリカ合衆国の国際的な安全保障に対する脅威と見なされた結果として行われました。FTO指定は、対象組織に対する国際社会の監視を強化し、資金調達や他の支援活動を制限することを目的としています。

ただし、時代や政治状況の変化により、FTO指定リストは更新されることがありますので、最新の情報についてはアメリカ合衆国国務省の公式発表や資料を参照することが重要です。

FTO指定の監督官庁はどこでしょう?

FTO(Foreign Terrorist Organization)指定の監督官庁は、アメリカ合衆国国務省です。特に、国務省内の対テロリズムを担当する部署である「テロリズムと財務情報の監視局(Bureau of Counterterrorism)」が、FTO指定プロセスを管理しています。この部署は、外国の組織がテロ活動に関与しているかどうかを評価し、それに基づいて組織をFTOとして指定するかどうかを決定します。

FTO指定プロセスには、詳細な調査と分析が含まれ、特定の組織がアメリカ合衆国の安全保障に対する脅威であると判断された場合、その組織を正式にFTOリストに加えます。この指定は、アメリカ合衆国内での組織の資産の凍結やアメリカの市民や企業によるその組織との取引の禁止など、様々な法的制約を伴います。

FTO指定は、アメリカ合衆国が国際的なテロと戦う上での重要なツールの一つであり、テロ組織の活動を抑制し、国際社会におけるその影響力を低下させることを目的としています。

現在のロシアと中国はどうでしょうか?

現在、ロシアや中国の国家全体や、これらの国の政府が直接運営する組織がアメリカ合衆国によってFTO(Foreign Terrorist Organization)として指定されているわけではありません。FTOの指定は、主に非国家行為者やテロ組織に対して行われます。この指定は、アメリカ合衆国国務省によって管理され、特定の組織がテロ活動に関与していると認定された場合に行われます​​​​​​。

ただし、ロシアや中国に関連する組織や個人が他の形式の米国制裁の対象となっている可能性はあります。これには、特定の個人、企業、または組織に対する経済制裁や旅行制限などが含まれる場合がありますが、これらはFTO指定とは異なる措置です。

FTO指定は、テロ組織に対する具体的な活動や脅威に基づいており、国家全体やその政府機関に適用されるものではありません。国家やその機関に対する制裁や措置は、通常、異なる法的枠組みや政策の下で行われます。

駐在大使館員の中で「好ましからざる人間」というカテゴリはありますか?

外交用語における「好ましからざる人物」とは、受け入れ国によって不適切と判断された外国の外交官を指し、その人物を本国に呼び戻すよう要求することを意味します。もし呼び戻されない場合、受け入れ国はその人物を外交使節団の一員として認めないことができ、事実上その人物の外交上の地位や特権を剥奪します。この用語は国際的に認識されており、外交官を「好ましからざる人物」と宣言するための正式な手続きやプロセスは、1961年のウィーン条約によって概説されています。外交官が政治的な行動規範を破ったり、不適切な行動をしたり、犯罪を犯した場合にこれが発生する可能性があります。この宣言は、その外交官の外交免責特権が取り消され、特定の期間内に国を離れなければ逮捕されることを意味します。

「好ましからざる人物」という概念は、外交官に限定されず、さまざまな文脈で使用されており、特定の人物が歓迎されない、または受け入れられないことを示します。例えば、一部の国では、地方議会が個人や団体を非拘束力の決議を通じて「好ましからざる人物」と宣言し、その行動や行為に対する不満を表明することがあります。

外交官の追放、特に「好ましからざる人物」と宣言することは、特に冷戦時代に一般的な外交慣行であり、国々が互いの行動に不満を持ちながらも武力衝突に至らないようにする方法でした。これらの追放は、しばしば他の国による相互の行動を引き起こし、「応酬」の状況を生み出します。しかし、これらの措置は通常、関係者が出発する前に不当な嫌がらせや逮捕を受けないように、確立された外交プロトコルに従って行われます。




大使館に軍籍に人間を派遣する際は、事前に通知等が必要なんですか?

大使館に軍籍の人間を派遣する際、特定の通知や手続きが必要になることがあります。米国の場合、外交使節団の一員として認められ、その地位を維持するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。これには、派遣国の国民であること、有効な外交パスポートを所持していること、認識された外交的な肩書を持つこと(例えば、大使、参事官、一等書記官など)、A-1非移民ビザを持つことなどが含まれます​​。

また、すべての政府機関は、任命前または任命中の位置の変更、またはそのような位置の任務の変更に関しては、駐在国の大使(Chief of Mission, COM)の承認を得る必要があります。このプロセスは、投稿の優先事項、利用可能な作業スペースがすべての必要なセキュリティ基準を満たしているかどうか、セキュリティと管理サポートの可用性、および機関がその位置の財政コストを支払う能力に基づいています​​。

外交使節団のスタッフを構成する際、または駐在国に人員を割り当てる際には、COMの承認を得る必要があり、任命された人員が公式業務で国内にいる場合は、国家承認を要請する必要があります。さらに、外交使節団に割り当てられている人員は、COMの権限に基づいて、すべての現在および計画されている活動と操作についてCOMに現在かつ完全に協力し、情報を提供する責任があります​​。

したがって、軍籍の人間を含むすべての人員が大使館に派遣される場合、関連する通知や承認プロセスを遵守する必要があり、これは受け入れ国との外交関係の円滑な運営を保証するために重要です。

国家公務員が、業務で他国を訪れる場合、一般的なパスポートではなく臨時のパスポートが発行されますか?

国家公務員が業務で他国を訪れる場合、通常のパスポートではなく、特別発行パスポート(例えば、公式パスポート、外交パスポート、サービスパスポート、または無料の一般パスポート)が使用されることがあります。これらの特別発行パスポートは、米国政府の公式業務で渡航する際に使用され、所持者が公式または外交的な業務で米国政府のために渡航していることを証明します。ただし、配属国の出入り以外の個人的な旅行には使用できません​​。

たとえば、2021年10月1日から、韓国、日本、ドイツへの公式渡航には特別発行パスポート(通常「公式パスポート」と呼ばれる)が必要となります。出発地から出発する前に、国防総省の公務員と対象となる家族は、特別発行パスポートを持っているか、または特別発行パスポートの申請が提出されたことを示す国防総省のパスポート代理人からのメモを持っている必要があります。一時的に、公式旅行状態で通常の(青い観光)パスポートを持って飛行機に搭乗することが、そのようなメモがある場合に限り許可されますが、この一時的な例外は2021年9月30日に終了します​​。

これらの情報は、特別発行パスポートが業務上の渡航に使用される一般的な手続きを示していますが、具体的な要件や手続きは勤務先の機関や訪問先の国によって異なる場合があります。そのため、公務で海外渡航する際は、所属する機関の旅行規定や手続きを確認することが重要です。

最近中国が、他国の大学などに設立した孔子学院が、問題になっていますね。

中国政府が主催大学と協力して設立した孔子学院は、中国の言語や文化を国際的に促進する中国の取り組みの重要な部分でした。しかし、これらの学院は特にアメリカ、オーストラリア、カナダで論争と批判の対象となっています。批判者は、孔子学院が中国政府とのつながりと、確立された大学や中等学校内で運営されることによる学問の自由への影響について懸念を提起しています。一部の人々は、孔子学院が中国社会の選択的な視点を提供し、物議を醸すトピックを避け、学術内容と自由に影響を与える可能性があると主張しています。

これらの学院は、中国政府と主催大学が共同で資金を提供しています。各学院は独立して運営されていますが、漢班(現在は言語教育協力センターに改称)および孔子学院本部によって確立されたガイドラインの範囲内で運営されています。独立性が主張されているにもかかわらず、学院のガバナンス構造に関しては、その理事会に中国のパートナー校のメンバーが複数含まれていることに関する懸念があります。

これらの懸念に対応して、アメリカでは孔子学院をホストしている大学に対する資金提供に影響を与える立法が導入されました。たとえば、トランプ前大統領が署名した2018年の防衛法案は、孔子学院や孔子学院が実際に授業を教えているかどうかにかかわらず、孔子学院が関連する中国語プログラムに対して国防総省の資金を使用することを禁じました。米国会計検査院(GAO)は、資金制限が実施されて以来の孔子学院の状況について調査し、報告するよう議会の複数のメンバーから依頼されました。GAOの調査では、米国の大学管理者の間で孔子学院に関連するスパイ活動や知的財産の盗難などの国家安全保障上の問題についての懸念がほとんどないことが明らかにされました。それにもかかわらず、孔子学院を巡る論争は多くが閉鎖または再ブランド化される原因となりました。

孔子学院をめぐる論争は、海外の学術機関における中国の影響力に関するより広範な懸念を反映しており、学問の自由と国際的な教育パートナーシップの利点との間の議論を示しています。

中国の国内法では、有事においては、海外に在住する全ての中国人は、国家の命令に従う必要があるため、テロ行為等の危険性については懸念されると思います。

中国の国内法に関しては、特に国家情報法や国家安全法など、中国共産党の指導のもとで制定または改訂された一連の法律が、中国の安全活動の法的基盤を強化し、中国および外国の市民、企業、団体に協力を要求しています。これらの法律は、外国企業が中国、香港、マカオで活動する際、またはそれらの地域を訪れる際、または場合によってはそれ以外の地域で、データや暗号キーへのアクセス、外国人の拘留、または「敏感」データの海外送信の阻止など、中国の利益を主張するための根拠を提供しています。また、中国の市民は情報収集活動に協力することが要求されています​​。

国家情報法は、公安および国家安全当局が広範囲にわたる「情報」活動を行う際の支援を個人、組織、機関に要求することを繰り返し義務付けています。例えば、ある記事では、任意の組織または市民が法に従って国家情報作業を支援、援助、協力することが求められています。さらに、情報活動を妨害する者は拘留または刑事罰の対象となる可能性がありますが、「妨害」の定義は不明であり、「支援」「援助」「協力」の義務を果たさないことと区別されていません。これらの法律は多くの概念を定義せず、そのために法の適用範囲を広げ、外国人を含む個人や組織に対するリスクを拡大しています​​。

これらの法律は、中国の国内だけでなく、海外に住む中国人にも影響を及ぼす可能性があり、中国政府が彼らに対して情報提供や協力を要求することができることを意味します。そのため、海外に在住する中国人が中国政府の命令に従う必要があるという懸念があり、これにはテロ行為などの危険性が含まれる可能性があることが懸念されます。

最悪、海外に在住する中国人は、住んでいる国の法律には従わず、中国の法律で動くことになります。 潜在的なスパイやテロリストを抱えているようなものですね。

中国の国家情報法は、中国内外の中国人と外国人、企業、および組織に中国のセキュリティ活動に協力することを要求しています。これには、反スパイ法(2014年)、国家安全法(2015年)、サイバーセキュリティ法(2016年)など、習近平の下で起草された国家安全保障、サイバースペース、法執行に関連する法律や規制が含まれます。これらの法律は、中国の安全活動の法的基盤を強化することを目的としています​​。

国家情報法の重要な側面の一つは、個人、組織、および機関が公安および国家安全の職員の広範な「情報」作業を支援、支援、および協力することを繰り返し義務付けていることです。法律は、中国の公安と国家安全の職員が合法的に情報活動を行う際に、関連する機関、組織、または市民に必要な支援、支援、および協力を提供することを要求することができると規定しています​​。

この法律は、個人が中国の公安職員によって質問される場合、中国人だけでなく外国人にも適用される可能性があります。中国の刑事訴訟法は、法執行機関によって尋問される人々に「事実に基づいて」応答することを要求し、彼らに沈黙の権利を与えません。国家情報法の通過により、これらの情報活動が刑事事件と同じ領域に置かれ、尋問された人々が情報職員との協力を強制される可能性があるかどうかは不明です​​。

最悪の場合、海外に在住する中国人は、住んでいる国の法律ではなく、中国の法律に従って行動する必要があるかもしれません。これにより、彼らが潜在的なスパイやテロリストとして機能する可能性があるという懸念が生じます。ただし、これは非常に複雑な問題であり、個々のケースによって異なる可能性があります。中国の法律がどのように適用され、実際に実施されるかは、多くの要因によって異なります。

実際に実施されるようでは、既に戦争状態と言うことでしょう。

実際に中国の国家情報法などの法律が海外において厳格に実施される場合、それは極めて深刻な国際関係の緊張を引き起こす可能性があります。このような法律が海外での中国人の行動に厳格な要求を課すことは、国際法や他国の主権を侵害する可能性があり、その結果として国際社会内での対立や摩擦を生じさせるかもしれません。

しかし、実際の実施には多くの要因が関わっており、法律が存在するだけで実際にどの程度適用されるかは、政治的、外交的な文脈に大きく依存します。国家間の緊張や対立が高まると、こうした法律の存在が強調されることがありますが、それが直接戦争状態を意味するわけではありません。国際関係は非常に複雑であり、法律、外交、経済、軍事など多岐にわたる要素が絡み合っています。

戦争状態に至るかどうかは、国家間の相互作用、外交努力、国際法の遵守、そして国際社会による介入や調停など、さまざまな要素によって左右されます。したがって、特定の法律の存在や適用だけをもって直ちに戦争状態であると断定することは避けるべきで、より広範な国際政治の文脈で検討する必要があります。

話し合えなければコレと一緒

中国、ロシア一派、北朝鮮、イラン、イスラム原理主義国等、国際法より自国のルールが上位なので、国際法なんて気にしていないでしょう。

国際法と自国の法律やルールとの関係については、国によってさまざまな態度があります。特に、中国、ロシア、北朝鮮、イラン、一部のイスラム原理主義国家などは、しばしば自国の利益や国内法を優先させる傾向があると指摘されています。これらの国々が国際法を完全に無視しているわけではありませんが、国際社会の一員としての責任と義務に対する解釈や適用については、自国の政治的、戦略的な目標に合わせて調整されることがあります。

例えば、国連安全保障理事会の決議や国際人権法に対するこれらの国々の対応は、しばしば国際的な批判の対象となります。特に、人権侵害や領土紛争、核開発計画などの問題に関連して、国際社会からの圧力に対する抵抗の形で、自国のルールや方針を優先する場合があります。

ただし、国際法と自国法の関係は非常に複雑であり、国際法が常に自国法より上位にあるわけではないことに注意が必要です。国際法は主権国家間の合意に基づいて成立し、それぞれの国がその規範をどのように受け入れ、適用するかは、その国の法体系や政治体制によって大きく異なります。また、国際法の遵守や解釈に関しては、国際司法裁判所や他の国際機関を通じて解決されることが期待されますが、これらのプロセスも国家間の政治的な力学に影響されることがあります。

国際法と自国の法律との間で生じる緊張や対立は、国際関係の中で重要な課題の一つであり、国際社会における協調や合意形成を図るためには、多国間の対話や外交努力が不可欠です。

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