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一日一記

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江草が毎日何かしら考えたことを書く日記みたいなプロジェクトです。 2023年2月から一時的にお休み中でしたが、10月13日より再開します。
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記事一覧

仕事と自由の複雑な関係

仕事と自由の複雑な関係

一般的に言えば、仕事とは不自由の象徴かのように扱われてます。

「早く仕事終わらないかな」「もう帰りたい」という嘆きの声が日々SNSでは満ちあふれていますし、「月曜日が来るのが怖い」とするサザエさん症候群ももはや伝統的文化として不動の地位を確立しています。

仕事という不自由時間から解放されて、アフターファイブや休日といった自由なオフタイムを満喫したいという常識的感覚がここには表れています。

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2024年5月振り返り

2024年5月振り返り

え、もう月末!?
早s(以下略)

というわけで、毎月恒例の振り返りです。前を向くためにこそ時々後ろを振り返るのだ。

今月はそうですね、いつもよりは大人しめな更新が多かったような気はします。ちょっと読書に重点を置いてた月になった感じです。

やっぱり読書は面白いですからね。はまると夢中になっちゃいますね。

さて早速、記事を振り返っていきますか。

アクセス数が多かった記事まずはアクセス数が多か

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「分断を煽るな」と煽るな

「分断を煽るな」と煽るな

「分断を煽るな」というコメントよく見るじゃないですか。

先日も、例えばこの記事に「分断を煽るな」というコメントがそこそこついてました。

(この記事の内容自体もかなり興味深いものがあるので語りたいところではあるのですが、ちゃんと書こうとしたら1万字とか下手したら10万字ぐらいになりそうなのと、本日はあくまで違うトピックについて注目したいので割愛します)

主旨からして分断を煽るどころかその解消を

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みなもすなるChatGPTというものを

みなもすなるChatGPTというものを

ChatGPTが新バージョン(ChatGPT-4o)になったと聞き、そろそろちゃんと本格的に触ってみるかと思って、ついに課金をしてみました。なんと月額20ドル。ぎょえーー。

いや、AIと仕事の関係とかうんぬんを時々江草も偉そうに語ってるくせに、全然AI触ってないのもなんなので、みんなが普通に触るぐらいには触っておこうかなと。

あと、実際に江草が苦手とする図表作成とか(絶望的な美術的センスなので

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デジタルデータの諸行無常

デジタルデータの諸行無常

ウェブ上のコンテンツの保存性の低さを指摘する記事を読みまして。

前々からしばしば指摘されてることではありますが、ウェブサイト自身が閉鎖したり、古いコンテンツをがっさり消去したりして、昔の記事はあっさり読めなくなりがちなんですよね。

たとえばYahoo!ニュースやNHKニュースの記事を江草もちょくちょく引用するのですが、コンテンツの更新が早くて、数月、下手すると数週間後程度でリンク切れになってし

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みんな苦労してるんだよね

みんな苦労してるんだよね

最近、このジョン・スチュアート・ミル(以下、ミル)の生涯と思想をまとめた新書を読み進めてます。

ミルは、『自由論』や『功利主義』で超有名な思想家です。江草個人的にもけっこう好きで、特に『自由論』と『大学教育について』はとても琴線に触れました。

余談ですが、ミルは、これまた江草の推し思想家であるバートランド・ラッセルの名付け親という面白い流れがあります。(つまり江草はこの辺の系譜の人の思想が好き

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『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』読んだよ

『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』読んだよ

カトリーン・マルサル『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』読みました。

アダム・スミスは言わずと知れた「神の見えざる手」の概念の提唱者です。自由市場に任せておけば自然と「神の見えざる手」が良いように経済を最適化してくれる。だから各自が利己的に振る舞うことが経済にとって良いのであるとする考え方ですね。

流石に今では普通はそこまで素朴な考え方ではなくなってますが、それでも今なお強い影響力を持っ

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100ポイントが余っている

100ポイントが余っている

昨日妙に長い記事を書いたので(全然そうなるつもりじゃなかったんですが)、今日は脱力更新で。難しいことや理屈っぽいことは語らないぞー。

で、何書こうかなと考えていたら、そうでした、noteポイントの使い道に悩んでるんでした。今日はそのことについて。

いや、先日note公式のキャンペーンでnoteの100ポイントをいただいたんですが、いずれ使おうと思ってるうちにそのままになってしまってたんです。

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それは単純因果か相互因果か

それは単純因果か相互因果か

世の中、何につけても単純因果のモデルに基づいた言説が多い気がしていて。

それはそれでダメってことはないのですが(理由は後述)、それがやっぱり一面的な話に陥りやすいという点は注意した方がいいんじゃないかなあと思ってはしまいます。

つまり、本当は相互因果的な関係の現象を、その(自分に都合の良い)片方の因果の側面だけ切り取って単純因果として描いてしまってるんじゃないかと。

はて、さっきから江草が言

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100㎠のツルツルした世界

100㎠のツルツルした世界

電車に乗って周囲を観察すると、ほとんどの人がスマホを見つめています。別に今になって気づいた話ではもちろんないのですが、改めてその光景を見るとなかなか独特な空気感だなあと思います。

昭和や平成初期の人たちがこの光景を見たらどう思うんでしょうね。自分たちは新聞や文庫本を開きつつ「なんでみんなあの薄い板を見てるんだ?」ってなるのでしょうか。

この電車の人々がことごとくスマホを見ている光景については、

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子どもたちの定時出勤

子どもたちの定時出勤

保育園に子どもを送る時の道すがら、たまに、泣きじゃくる子どもに苦戦してる親御さんを見かけます。なだめてたり、強引に引っ張ってたり、もはや無反応だったり。

見かけるたびに「大変だよね、わかるよ」と親愛なる同志を見る眼差しを送ってしまいます。

嫌がって泣きじゃくる子どもを無下にしたくないという気持ちと、定時に間に合わなくてはいけないという社会の規律との間で板挟みになってる苦悩。基本的には前者を採り

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前世代とのコンフリクトにどう対応するべきか

前世代とのコンフリクトにどう対応するべきか

昨日の続き。

昨日の最後の宿題として、先祖崇拝文化および長寿化に起因する世代間コンフリクトを緩和するにはどうしたらいいかという問いが残ってました。

どうしても丸く収まりそうにない大変な難問ですが、結局はそうそう理想的にはいかないということを前置きしておいた上で、何とか食いついてみると、理論的にはいくつかの方向性が考えられると思います。

まずは「先代には目の前から居なくなってもらう」という考え

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先祖崇拝の意義

先祖崇拝の意義

先日、この記事で「先祖崇拝」のテーマについて考えてることがあるとほのめかしたまま終わっていました。

今日はその宿題を解消すべく、「先祖崇拝」を話題として取り上げてみたいと思います。

以前、「先祖崇拝の意義」ってもしかしたらこういうところにあるんじゃないかと、ふと思いついたことがあるので、その話を。

といっても、そんな深く厳密な話ではなく、ジャストアイディア、ジャスト思いつきなので、あくまでふ

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自由競争のfight or flightパラドックス

自由競争のfight or flightパラドックス

昨日書評を書いた『テクノ・リバタリアン』を読んでいたり、あるいは先日の学会での某教授の発言を聞いてる時などでも感じることなんですが、自由競争を煽る人によく見られる矛盾があるなと。

いや、みんなけっこう好きじゃないですか。「自由競争で切磋琢磨してスキルを高めよう、生産性を高めよう」みたいな言説。

この言説、大好きな人と大嫌いな人に両極に分かれると思うんですが、(もしかすると意外かもしれませんが)

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