自分の意志で引き際を決められるのは幸せなこと

秋ですね。皆さんは秋といえばどんな気持ちになるでしょうか?

バスケ界にとって「秋」といえば開幕の季節です!いよいよ今週末にはHOME開幕戦です!

ですが、、

野球界に足を突っ込んでいた期間のほうが圧倒的に長かった私にとっては、「秋=別れの季節」という実感が強いです。

NPBのレギュラーシーズンが終わり、多くの選手の引退や退団、戦力外通告といったニュースが目に入るようになりました。

ほぼ同スケジュールで展開される独立リーグも同様に、引退のニュースや選手からのSNSでの報告が散見されます。

私も3年前のこの時期に引退を表明しました。

あれから3年。いまだに「あの年齢での引退に後悔がなかったか」と問われると「もう1年やっていたらどうなっていたんだろうか」と考える気持ちも0ではありません。
「あの日々を超える情熱をもって取り組めていることができたか」と自問しても答えは見つかっていません。

何かを始めること以上に、何かを辞めることはとても苦しく、難しいものです。小さい頃から過ごしてきた時間のほとんどを費やしてきたものであればなおさらです。

だからこそ引き際を自分の意志で決めるということはとてもハードな決断であり、今までの努力や人間関係を全てリセットする覚悟が必要なものでした。

けど私は、“自らの意志で終わりを決められたこと” に関しては、とても幸せなことだったと今でも思います。

自分の意志で引き際を決めることができない人たちもいるからです。

大怪我によりそこから一度もグラウンドへ戻ることができなかった選手や、球団から突然の戦力外通告を受けた選手たちです。彼らは明日も当たり前に立てると思っていた球場に足を踏み入れることが突然できなくなります。

これほど残酷なことはありません。そうした環境であることを覚悟で飛び込んでいたとしても、やはり簡単に受け入れることなどできないはずです。

よくメディアでも話題になる、NPBの戦力外となった選手たちによる合同トライアウト。
あの場での参加者の目標は、もちろん別のチームへ復帰して、もう一度大舞台に戻ることです。

が、その目標以上に「最後の挑戦の場」として自分の野球人生を全うする・やり切ることがより大きな意義なのではとテレビの特集を見ていて思うんです。
実際に出番が終わった方々は皆一様に晴れやかな「やりきった!」という表情でユニフォームを脱いでいると感じます。

第一線で活躍したNPBの有名選手たちの引退試合・セレモニーが大きな感動を呼ぶことは間違いありませんが、

その裏にいる数多くの、スポットライトを浴びることなくひっそりとユニフォームを脱ぐ選手たちにも思いをはせてくれる応援者が一人でも増えてくれれば、報われる野球人生はたくさん存在します。

どうかそんな思いでNPBの合同トライアウトを見ていただければ。
また、自分の意志で引き際を決めた独立リーガーたちの強い葛藤も汲み取っていただければ。
ニュースリリースで掲載されるコメントは味気ないものが多いかもしれませんが、言葉の裏には彼らの覚悟が隠れています。

今年でユニフォームを脱ぐすべての方々に心からの敬意を表して。

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