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女性起業家だからって、子育てとビジネスは両立できない。仕事優先時期と子育て優先時期を選ぶべき。

起業している方も、会社勤めの方も、フリーランスでやっている方も、働くママはみんな抱える問題は「子育てと家事とビジネス(仕事)」の両立ではないでしょうか。私自身も常に悩み続けていますし、苦しく辛い決断もしてきました。
ですが、起業して10年経った今、自分が楽しいと思える事業を継続でき、休日は夫と手を組んでお散歩して、夏休みは娘との女子旅を楽しむ、そんな日常が送れています。
そして、そんな今があるのは、あの時の自分が決断したお陰だと確信しています。
今回は、起業して10年経った私が思うことを綴りました。


事業を伸ばすか、家庭を守るか、究極の2択。

2012年に会社を設立し、最初の数年は業績も鳴かず飛ばず、苦しい時期でした。
その時娘はまだ小さかったのですが、「母」として「妻」として、本当に辛かったのは、実はこの時期ではありません。
それは、意外かもしれませんが、事業が伸びたタイミングでした。

起業して3年が過ぎた2015年頃、初めて年間契約でお仕事が取れました。単発の案件も増え、これまでなかなか伸びなかった売り上げが一気に右肩上がりになりました。この波にうまく乗って会社を成長させていく!と思っていました。
ですが、問題だったのが、その時の娘の年齢と事業内容です。

当時メインの事業内容はイベントの企画と運営でした。イベントはほとんど土日開催です。当時娘はまだ4歳でした。イベント開催の土日は夫が1人で娘の面倒を見てました。
もちろん土日の稼働を減らせばよかったのですが、平日と違い、1ヶ月のうち、週末は最大でも8日。だからこそ、この土日をフルで稼働する必要がありました。

もちろん夫は、この機会を応援してくれていました。
ですが、一方で、1人で1日中幼児の相手をするのは、誰だって大変です。ただでさえ平日5日間働き切って疲れ果てているのに、休む暇もありません。

そうなると、気持ちは応援していても、徐々に夫の態度も変わってきました。イベントを終えて疲れ切って家に帰ると夫は不機嫌で、げんかにはならないまでも、険悪モードが続きました。
ふとした時にお互いのイライラがぶつかり合う、そんなよくない状況が1年近く続きました。

伸びている事業を自分の手でセーブする苦しみ

1年そんな状況が続き、このままではダメだと気づきました。

もちろんこの時、割り切って夫婦関係を諦めて事業を伸ばす選択肢もあったと思います。ですが、私が選んだのは「自分の仕事をセーブする」ことでした。

事業を伸ばすために会社を立ち上げたのに、それを自らの手でセーブするというのは、これまでの人生で何よりも辛く、悔しい経験でした。

結果的に、その先2年ほど、土日のお仕事は極力減らしていました。平日案件だけでも会社はなんとか維持できていますが、大きく成長させることはできないままでいます。
自分で決断したけど、どこか納得しきれず、その2年は夫にイライラする日が続きました。思い返せば、「あなたのせいで仕事をセーブした」という感覚が強かったのだと思います。

しかし今思うと結局は「自分がそうしたかった」のだ思います。
「ママ、ママ」とママを欲する時期だった娘を、あえて切り離すことにも抵抗がありました。そして、夫のほうが家族の大黒柱として経済的に支えていますので、それを超える安定した収入を得るられるほどの確信も当時はなかった。

そして何より、夫を心から愛していたからこそ、無理をさせたり、不自由を感じさせたくなかったのです。自分が仕事好きと同じように、夫も仕事が好きで、頑張りたいという気持ちも痛いほどわかっていました。

「犠牲」だと思っていた時間はかけがえのない「10年」だった

年月が経てば、子どもは大きくなります。小さいうちは大変でしたが、小学校中学年になると、イベントの現場に連れて行き、受付を手伝ってもらったり、一緒に参加したりできるようになりました。小学高学年にもなると、1人で家にいることができるように、自分で簡単なご飯も作れるようになりました。子ども向けのイベントを企画する時は、アイディアを出してくれたり、準備を手伝ってくれたりもします。

娘を出産して、復帰して半年で起業、2年の下積みを経て、やっと軌道に乗ったと思えば、1年で仕事をセーブ。子どもが大きくなって、やっと本気で仕事ができると思った矢先に、コロナ渦のしんどい時期がやってきました。やっと娘が大きくなり、子育て軸ではなく、仕事軸で物事が進められるようになりました。

その間、10年でした。

当時は自分だけが犠牲になったような感覚がありましたが、この10年は思い返せばかけがえのない時間でした。

あの時、事業を優先してたら、夫婦関係はもう修復できない状態になっていたかもしれません。今の夫婦で腕を組んでお散歩する週末の日は見られなかったです。

「ママママ」と擦り寄ってくる可愛い娘の姿を、二度と味わえないその時期を逃していたかもしれません。今の二人旅をするほど仲良い母娘関係にはなっていなかったです。

そう考えると、戻ることも、変えることもできない「家族との時間」を優先したことは、何一つ犠牲ではなかったのだと感じます。

成長できる事業なら10年後でも再現できる、だけど家族の時間はもう戻れない

一方で、事業のほうは、10年経ちまして、コロナ禍も経験し、今でも会社は継続できています。既存事業はイベントの企画運営だけでなく、コミュニティを活かして企業のマーケティング課題を一緒に解決する案件も増えています。更に、コロナ禍に新しく小売事業も始めました。

自分や家族の都合で仕事をセーブする経験から、労働集約型のビジネスには限界があると気づいたからこそ、小売事業を始めました。

イベントの企画運営は、自分やスタッフが「商材」になります。「人」と「場」が必須だから、自分の時間を切り売りすることでしか価値を高められませんでした。それがゆえに、自分自身も苦しい選択を迫られていたのです。

一方で、小売業の商材は商品です。人の時間=価値ではないです。「自分がいないところても商品は売れます」です。もちろん初期は、商品開発、手売り販売‥など人手がかかる部分も多いにあります。更に、イベント業と違って、先に投資して商品を作って、売れない場合は損します。しかし、成長すれば、いずれかは商品が一人歩きできるようになれば、自分がいないところで商品が売れていきます。

数年前は仕事をセーブする選択をして、悔しくて苦しくてたまりませんでした。でも、今振り返ってみると、労働集約型のビジネスモデルだったし、営業も企画も現場責任者も自分だったから、そのまま続けていても自分が思い描くように会社を大きく成長させていくのは難しかったと思います。セーブして家庭を守る選択をして本当に良かったと、今は思います。

子育てとビジネスの両立で迷ったら

会社勤めの方も、フリーランスの方も、私と同じく起業している方も、子育てとビジネスに迷う瞬間はたくさんあると思います。その時、どっちを選ぶか選択する前に、まずは一度仕事の見直しをしてみることをオススメします。

一度視点を変えて、プレイヤーとして頑張っている方は、その仕事は本当に自分じゃないとできないのか?今のやり方は見直すことはできないのか?誰かと協働や協力体制を取れないのか?‥など。
起業家している方は、ぜひ経営者視点を見直してみてください。自分は本当に経営をしているのか?プレイヤーになっていませんか?今のビジネスモデルのままで本当にいいのか?‥など。

もし、今の事業形態がベストなのであれば、一度離れても、ご自身の価値は下がりませんし、きっと5年後、10年後でも同じ価値を生み出すことができるはずです。

私たちは3つの関係性の中にいます。社会関係、家族関係、母子関係。それいずれも人生を左右する大きな関係性なので、いずれも良好な関係を保つことができるなら越したことないです。しかし、時には、優先順位をつける!と究極な選択を迫られることがあります。

どれが正しい選択肢か、それには正解はなく、個人個人の状況次第ですが、年月が経ち、思い返す時に、自分が納得して後悔しない、それなら正しい選択だと思います。

私の場合は、幼児期は子育て優先、ある程度自立してからは仕事のチャレンジ、とバランスを調整してきました。

幼い我が子との時間はたった数年です。渦中にいる時は長く大変に感じるその時間も、過ぎてみればすべてが愛おしい時間でした。

だからこそ、もし今、子育てかビジネス(仕事)かで悩んでいて、だけど心のどこかで子供や夫との時間を優先したいと思っているのであれば、思い切って「この●●年は育児に集中!」「この●●年は仕事に集中!」と決めてもいいのではないでしょうか。

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