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「コミュニティマーケティング」それは、体温が感じられるマーケティング

「コミュニティマーケティング」は一見、規模も小さく、意味があるのか?とその効果を疑問視する声もあります。

ですが、この10年、コミュニティマーケティングを実践してきた私は、胸を張って「意味がある」そして「これほどに体温が感じられる、本質的なマーケティングは他にない」と断言できます。

今回は一部ではありますが、その実例を含めてお伝えします。


コミュニティマーケティングはいつ使う?

「マーケティング」と一口に言っても、マスマーケティングやダイレクトマーケティングなどその種類はさまざまです。

その中で、私の会社では「コミュニティマーケティング」という手法を強みとしていますが、どの手法が必要かは、企業のもっているコンテンツやそのブランド力によっても変わってきますし、そのフェーズによっても異なります。

例えば、誰もが知っている大手の飲料。すでに誰もが飲んだことがあり、ブランド力もあるこういった商品にはコミュニティマーケティングは不向きです。

小さなコミュニティ単位で何かするのではなく、例えばTVCMなど、不特定多数の消費者を対象にする必要があります。いわゆるマスマーケティングです。

こういったシェアが大きい商品ほど「忘れられないようにする」努力が必要で、そのためにはTVCMを打ち続け、露出し続ける必要があります。そうでないと、顧客はすぐに新たに露出が増えたブランドに興味を持ったり、最悪シェアが奪われる可能性があるからです。

では、コミュニティマーケティングが必要なタイミングはいつなのでしょうか。例えば、上記のような飲料メーカーが、主戦力である商品以外の商品を出す時です。もともと「お茶」が主戦力のメーカーであれば「甘い紅茶」などがそれにあたります。

一見、主戦力の商品だけあればいいようにも思えますが、飲料のように1日に人が何度も消費するものほど、1つの商品だけでは飽きられてしまいます。そうなると、1本目はお茶を買うけれど、2本目は甘い飲料を探すので、別の会社の商品に顧客が流れる可能性が出てきます。ですので、日常消費財メーカーほど、その領域における自社シェアを100%にする必要が出てくるのです。

しかし、そういった新商品は前例がなかったり、新たな消費者層を開拓する必要があります。そこで活用できるのがコミュニティマーケティングです。

例えば、今シェアが取れていない「30代女性」をターゲットにする、と決めた場合、商品開発にはその人たちの「行動」を知る必要が出てきます。その人が日々どんなふうに1日を過ごし、どのタイミングで飲料を飲んでいるのか、そして、その飲料を選ぶ時、何を重視しているのか、一人一人の行動を細かく把握する必要があるのです。

このように、ある属性の、一人一人の行動を深く、詳しくみる必要がある時に有効なのがコミュニティマーケティングなのです。

大手健康飲料メーカーとの取り組み

それでは、実際にこのコミュニティマーケティングを活用した事例についてご紹介します。

リアルイベントでの接点で広がる認知

これまでシニア向けとされていたある健康飲料。このメーカー様は、もっと客層を広げ、シェアを大きくしていきたいと課題を感じていました。

お話を聞くと、この飲料は冷え性や肉体疲労への効能があり、産後ママにとってもうれしい効果が期待できることが分かりました。

そこで、私たちは、リアルとWEB、そして口コミという3つの手法でこの飲料を周知していく提案を実施し、その後2年に渡り活動をご一緒することになりました。

まずはじめにコンセプトを決定し、認知を増やすために、このコンセプトに基づいてリアルイベントを企画しました。

私たちの強みであるつくばエクスプレス沿線の中で、特にママ達の活動が盛んな「つくば」「柏の葉キャンパス」「三郷中央」「北千住」4つの駅を中心に、40〜50名規模のイベントを実施。

健康関連の専門家に登壇いただき、知識をインプットした後に、実際にワークショップを通して体感するという流れを仕掛けました。

アンバサダー認定で、企業にもママにもうれしい効果

その後、特に「柏の葉キャンパス」を濃い接点とし、月1回サロンを実施。WEBサイトのママ会員から募集した固定のメンバーに参加してもらい、毎回座学でのインプットとワークショップを実施しました。

このサロンで1年間学んだ方をアンバサダーとして認定

彼女達は1年を通して、このコンセプトの知識と効果実感をもったメンバーです。当然、SNSでの拡散でもただの広告ではなく、自分ごととして発信してくれます。他にも、各自で講師としての活動にも取り組んでもらうなど、活動の幅は広がってゆき、それは広告効果でなく、ユーザー実感を持った自主的な口コミになります。彼女たちの自信やキャリア形成にもつながりました。

企業にとっても、これまで自社内で効果・効能を知り尽くしたメンバーだけでのやり取りから、ワークショップを通して「誰かに伝える」という姿勢が磨かれました。毎回内容をブラッシュアップする中で、コンセプトごとの伝え方を磨き、それを当事者にぶつけて反応を見ることもできるという利点まであったのです。

3者全員にメリットがある。長く続くメリットがある。それが、本質的なマーケティング

今回のケースは、弊社や企業側だけでなく、当事者や関係者にもメリットがあるものです。

大手飲料メーカーとの取り組みでは、アンバサダーになったママさんが普段の「ママ」としての顔以外の一面を開花させることができました。
普段とは違うメイクと素敵なお洋服で講演会でマイクを握る姿は、これまでにないほど輝きを放っていました。

このように金銭的なメリットや、目に見えるメリットだけでない、当事者の中に根付くメリットがあるからこそ、長く効果が続き、本質的なマーケティングができるのだと確信しています。


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