イベント・マーケティング業の会社が「fuacha」という小売事業を始めた理由
10年続けたコミュニティマーケティングとコロナの危機
私は10年、コミュニティマーケティングをメインに事業をしてきました。
簡単に言うと、ママの意見を企業の商品や企画に反映させる事業ですが、ただストレートに意見を聞けばいい、という単純なものではありません。
ママたちのリアルな意見はアンケートやその場限りの質問で出てくるものではなく、コミュニティの中で発せられることが多いからです。
定期的にイベントを開催し、そこで子供たちを中心に、ママたちが関係性を作って、大きなコミュニティになっていく。
そうやってできたコミュニティでこそ本音が聞き出せるのです。
順調に広がっていったコミュニティマーケティングの事業でしたが、一番の魅力はリアルのイベント。
ですが、この事業はコロナ禍で大打撃を受けました。
これまで得意としてきたリアルイベントは全て実施できず、八方塞がり。
これまで私が中心となって会社を引っ張ってきましたが、私1人の力ではどうにもならなくなりました。
ピンチはチャンスになり得るのか。お茶事業への挑戦
そんな状況で、改めてスタッフと話をする機会を持ちました。
このままいくと会社はもってあと半年。
もし半年後にコロナが開けても、翌月すぐに事業が再開できるとは限らない。
一旦、事業を閉じてもいいかもしれない。
そんな率直な考えを話しました。
これまで、10年、代表である私がフロントに立って営業をしてきましたし、企画もメインは私でした。どちらかというとスタッフは受け身の人も多かったと思います。
ですが、この時はじめて「じゃあみんなで仕事をとればいいんじゃないか」という士気が高まりました。
「どうせ半年あるなら全然違う業種でもいいからやってみよう!」そんな前向きな声が上がりました。
スタッフみんなで話し合いをする中で、「中国のお土産のお茶を商品化するのはどうか」というアイデアがでました。
私は生まれも育ちも中国。もともとお茶が好きで、よくスタッフにお土産として渡していました。
調べてみると、お茶のビジネスは食品に比べ参入ハードルも低く、当時はコロナ禍だったこともあり事業再構築補助金の募集がちょうどありました。
そこで、このお茶のビジネスで企画書を出してみることにしたのです。
よく「ピンチはチャンス」と言いますが、この時は本当にこれがチャンスにつながるのか見えない中での挑戦でした。
未経験のメンバーで挑む新しいビジネス
個人的に仕事としてだけ依頼する関係性よりも、「みんなでブランドを作り上げる」そんな仲間と一緒にスタートしたいという想いが強く、これまでの繋がりをもとに、誰一人経験者がいないメンバーでfuachaの事業が始まりました。
WEBのフロントデザインを中心にやってきた方が初めてECサイトを構築。
飲食店の映像を撮っている方が初めて商品写真を撮影。
チラシなど紙物をデザインする方が初めてパッケージをデザイン。
もちろんみんな不慣れなので無駄が発生します。
ですが、だからこそトラブルがあっても一緒に助け合うし、みんなで試行錯誤ができます。
商品パッケージをデザインしてくれたのもママデザイナーですが、お互いに納得いくまで何十回も修正しましたし、時には一緒に有名な紙屋さんやショールームの見学にも足を運びました。
最終的にはみんなが自分のブランドとして愛してくれるようになりました。
運良く助成金も採択され、事業がスタートしました。
これまで作り上げてきたコミュニティがここでも活きてきました。
コミュニティのママに集まってもらい、味も見た目も違う、何十種類もあるお茶から、日本人の味覚にあって、ママたちにも安心して飲んでもらえるお茶を選定しました。
カフェインゼロへのこだわりや、効果効能、見た目などすべてにママの意見を反映しました。
初めての出店は想定外の出来事の連続
こうしてみんなで作ったブランドブランドでしたが、はじめてギフトショーやポップアップに出店した頃は、想定外の出来事の連続でした。
初めてのギフトショーでは、もともと店頭に立つ予定だったメンバー全員がお子さんの学級閉鎖で来られなくなり、なんと私一人に。
みんな子持ちでお仕事をしているので仕方のないことですが、流石に焦りました。
どうしようもなく、Facebookにその様子を上げると、なんと普段の仕事仲間がシフトを作って交互にお手伝いにきてくれたんです。
次の課題となったのは売上。
初めてのポップアップの初日の売り上げは3,500円でした。
こちらもFacebookにショップの写真をあげて改善案を求めました。
みんなからもらったコメントをできることから反映し、毎日改善。
結果的に2週間のポップアップの最終日の売上は65,000円になりました。
メンバーと、助けてくれた仲間たちのお陰でどうにか軌道に載せることができました。
まさに、「ピンチはチャンス」になり得たのです。
fuachaのこれから
ブランドがスタートしてわずか2年ではありますが、メディアに多数取り上げていただき、商業施設様や大手百貨店様からもたくさん出店のお声がけをいただくようになりました。
店内メニューで使っていただく店舗様も増えてきました。
今後も様々な場所でのポップアップイベントの開催はもちろん、ママコミュニティの力を活かして、商品を増やしたり、ブレンド商品やサブスク商品もお披露目したいと考えています。
fuachaはこれからも、女性の体と心に寄り添い、日々の暮らしに、華やかでほっとするお茶の時間を届けていきます。
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