見出し画像

Emoはマネジメントの心の拠り所—共に学んだ仲間だからこそ打ち明けられる本当の仕事の悩み

2020に「EVeMマネジメントアカデミア」としてスタートしたマネジメントスクール&コミュニティは、その名称を「Emo(エモ)」と改めて、12期生を迎えようとしています。これまで送り出してきた卒業生のなかには、Emoだからこそ知り合えた「同志」たちと、受講終了後もつながり続けている人たちがいます。
今回は、2020年9月から1期生として参加した同期の3名に、そのつながりの魅力を聞きました。

属人的ではないベンチャーマネージャーの「型」を学ぶために

——まずは皆さんがEmo(受講当時は「EVeMマネジメントアカデミア」)を受講しようと思ったきっかけを教えてください。

山口寛奈さん(以下、山口):私は前職でレシピ動画サービスを提供するベンチャーに勤めていました。そこで突然マネジメントを任されることになったのですが、勉強しようと思って本や記事を読み漁っても、“ベンチャーだからこそ起こる課題”についてはほとんど書かれているものがなくて。社内でも学ぶ機会があまりなかったので、半年ほどモヤモヤと悩んでいたんです。

そんなときに(EVeM代表の)長村(禎庸)さんとお仕事でご一緒させていただく機会があり、ベンチャーマネージャーのための講座を立ち上げると聞いて、「私も受けたいです!」とお願いしました。

余頃沙貴さん(以下、余頃):私は長村さんのnoteで「ベンチャーマネージャーのマニュアル」をたまたま見かけたのがきっかけだったと思います。前職の会社に新卒で入社して5、6年目の頃で、マネージャーになってちょうど1年くらい経ったタイミングでした。当時は、社内のマネージャーのなかでも若手のほうで、チームのメンバーも年上の人たちばかり。実践的なことを教えてくれる人もいなくて、自分で本を読んで学ぶしかありませんでした。それでも、自分で勉強するうちに「マネジメントって面白いんじゃないか」と、興味が出てきて……。そんなときに長村さんのnoteで「マネジメントアカデミア」を開講します、という記事を見つけて、締め切り直前に慌てて申し込みました。

田中萌子さん(以下、田中):私はもともと仕事が好きで、マネージャーにも物申しながら現場でバリバリやりながら成果を出してきたタイプでした。でもいざ自分がマネージャーになって、プレイヤーの頃と変わらない感覚で仕事をしていると、なんでもひとりでやってしまうんですよね。どうしても「これは自分でやったほうが早いな」という考えが働いてしまう。でも、マネージャーになって半年くらい経った頃から、チームで成果を出そうと考えたときに、この思考はマイナスに働く可能性があるな、と感じるようになって。まずは自分のマインドを変えたいと思って、学べるものを探し始めました。

マネージャーになったときって、新人研修のように仕事の基礎となるような「型」を教えてくれる仕組みがあまりないんですよね。結果、「マネジメントスタイルは人それぞれだから」と片づけられてしまって、それが正しいかどうかではなく、属人的な良い悪いの判断しかできない。そうなると、マネジメント共通の「型」ではなく、見本にした人の「癖」が変にインストールされてしまう気がして、それは嫌だなと感じていたんです。

余頃:わかる。一応社内のマネージャー研修とかもあったんですけど、「全部本に書いてあるじゃん」って内容で(笑)。Emoがすごかったのは、ベンチャーマネージャー特有の課題やポジショニングを踏まえた内容になっていたこと。経営視点はある程度持ちつつも経営側というわけではなく、管理職っぽいマネージャーでもなくて、プレイングで成果を出せるマネージャーを育てるというテーマの講座はなかったな、と。

当時、マネージャーってみんなやりたがらなかったんです。LINEでは中途採用のベテランが多い環境だったので、私は新卒同期のなかで比較的早くマネジメントのポジションに就きました。ただ、周囲はスペシャリストとして極めていくほうがかっこいいという考えを持つ人のほうが多かった。マネージャーになると、プレイヤーとしての仕事を犠牲にしてチームの人たちをサポートしないといけない、というイメージがあったんですよね。私自身も、入社3、4年目まではマネージャーにはなりたくない、と思っていました。でもやってみたら面白いなと思い始めていたときに、その魅力を言語化してくれていたのが長村さんでした。

田中:私もやりたくなかったんですよね。自分みたいな後輩をマネジメントするのは嫌だなって(笑)。先輩に楯突いているくらいが、自分にはちょうどいいと思ってました。

山口:私は個人的に変化が欲しくて、やってみたかったんです。でも、いざマネジメントをすることになると、マネジメントの仕方を教えてもらったこともないし、メンバーに対しては頑張りたい気持ちはあるもののどうやったらいいのかわからなくて。なかなかうまくいかず……。

田中:寛奈、すごく大変そうだったよね。

余頃:そうそう、いろんな方向に対してコミュニケーションで悩んでて。

山口:2人にも、よく話を聞いてもらってたもんね。

マネジメントもスキル。困ったときに立ち返れる拠り所に出会えた

——受講されていた当時はコロナ禍でオンラインでの受講でしたが、何かモチベーションになったことはありましたか?

田中:困ったときに「人」ではなく、マネジメントの「型」という拠り所ができた、という実感でしょうか。Emoを受けたことで、悩みが出てきたときに自分のなかに答えを探すのではなく、インストールしてもらったその「型」に戻ればいいんだと思えるようになったのは、大きかったですね。モチベーションというのとは少し違うかもしれませんが、答えはベンチャーマネジメントのマニュアルにあるってわかっているので、くよくよ悩まずに前進する糧を得たと感じています。

余頃:ベンチャーマネジメントの型、私もしょっちゅう立ち返っている。当時、マネジメントって型化される対象じゃないっていう論調のほうが強くて。人の問題だからパターン化できないし、個別に対応しなければいけないんだという妙なプレッシャーがあったんです。もちろん、その場その場で対応すべきことはあるけれど、フレームワークをインストールできたことで、目の前にある問題がどの分野のことかを整理して、実践できるようになりました。

LINEはメガベンチャーだったので、周りは年齢的にも上のマネージャーが多かったんです。そんななかで、30代前半の中途採用のメンバーをマネジメントする自分が、若くて未熟に感じてしまって、対等に話す自信がもてませんでした。

でもEmoで学んだフレームワークをもとに実践しながら学習し、改善していくことで、ほかのビジネススキルと同じように高められるものだという自信もついた。それが面白くて、クラスで学んでは次の日からいろいろ試していましたね。

田中:みんながそれぞれに課題を持ち寄ってきていたので、Emoのクラスに出ていれば自分のチームでも未来に起こり得る事象を知ることができたのもありがたかったですね。

私も年上のメンバーに対して、年下のマネージャーである私が一緒にキャリアを考えるなんておこがましいと思ってたんです。でも、マネージャーも組織におけるひとつのロールであって、どっちが上でどっちが下ということではないんだな、ということがわかって心持ちがすごく変わりました。

山口:成功事例だけじゃなくて、失敗事例も先に知れたのはすごくよかったです。社内だとなかなかそういう話って共有できないんですよね。そんなところでつまずいているんだと思われたら評価に直結する気がしちゃって。でも、Emoのクラスのメンバーは同じことを学んでるから共通言語があるし、程よい距離感だからこそ本音を話しやすかったですね。

田中:そもそも、ベテランのマネージャーと、1、2年目のマネージャーが悩む内容って違うので、クラスもレイヤーごとに分けられていました。だから余計に、共感し合えたんだと思います。

アジェンダを決めて仕事の悩みを打ち明けあった毎週土曜日の朝会

——皆さんは、ちょうど年齢的にも同世代で、講座を受講されていた当時はベンチャーマネージャーとしてのフェーズも近かったとのことですが、オンラインで受講していたなかで、どういったきっかけで集まるようになったのでしょうか?

山口:講義は、長村さんとの1on1がひとりずつ行われて、それをみんなで聞くというスタイルでした。なので講義中は受講者同士で直接会話する機会がなくて、「よかったら話しませんか?」と、私が2人を誘いました。当時、もえやん(田中)がセブ島に住んでいたこともあって、オンラインで集まってお茶会をしようということになりました。

田中:講義の期間は3カ月くらいだったんだけど、それから1年半くらい続いたよね。直接会えたのは、私が日本に帰国してから。出会ってから2年近く経って、初めて飲みに行きました。

山口:受講期間中は、毎週か隔週か、けっこうな頻度で土曜の朝に集まっていて、講義が終わったあとも月1くらいで集まってましたね。

余頃:だいたい前日までには「明日これ話したいんだけど」っていうチャットが飛び交って、アジェンダもちゃんと決めてやってたよね。

——職種としては皆さんバラバラですが、具体的にこういう話が役立った、助けられたという体験はありましたか?

田中:評価制度をつくっていたときに、マネージャーはどういう評価プロセスを踏んでいるのかとか、細かく相談しました。特に参考になったのは、評価制度を使う立場であるマネージャーとして、どういった点がやりづらさになるか、という点でしたね。社内で聞いても、「人事部がつくったものに文句なんか言えない」となってしまって、なかなか答えてもらいにくい質問だったので。

余頃:私は2人と話すようになって、自分のスタンスが変わったなと感じる部分があります。もともとマネジメントをスキルとして捉えすぎてしまって、メンバー育成の場面でもすぐに見切ってしまったり、ドライになりすぎてしまう部分があったんです。環境設計には興味があるけど、ピープルマネジメントには苦手意識があって。でも、たとえばもえやんは隣のチームの子まですごく気にかけていたり、寛奈は自分が興味のある人にXでどんどん話しかけにいってコミュニケーションをとっていたり。

そんな2人に影響されて、人との接し方、メンバーへの介入の仕方に迷ったときは、2人だったらどうするかな?と考えるようになりました。

マネジメントの役割がクリアになったことで変わったキャリアパス

——個人のキャリアを前進させるために、Emo、そしてそこで生まれたつながりが影響している部分はありますか?

余頃:マネジメントを楽しめるようになったことで、その延長にあるHRの領域や組織設計にまで興味が広がりました。ただ、LINEだとその領域を担えるようになるためにはカンパニー長レベルにまで上がらないといけない。

私は、事業部を見ながら組織のオペレーションやリソースも見るということをしたかったので、最終終着地をCOOにしていたんです。それで、Emoのワークショップで「COOになりたい」と書いたら、「じゃあ転職すればいいじゃん」って言ってもらって。組織戦略もビジネス戦略もやりたいなら、組織規模をサイズダウンさせればいいんだ、ということに気付かされたんです。それでEmoの受講が終わってすぐに、転職の準備を始めました。

田中:前職を辞めた理由が、「いいチームを科学したかったから」なんです。自分がマネジメントしていたチームはパフォーマンスが高かったけど、隣のチームは離職率も高くてうまくいっていませんでした。でも、マネジメントは、組織にどうパフォーマンスを出させるかが仕事です。組織として考えたら、自分のチームだけよくてもダメなんですよね。

そこで、チームを束ねるマネージャーに影響するために人事の道を選んだんです。それに気づけたのは、Emoのおかげですね。

山口:私は、マネジメントって学べるんだ、とわかったことが大きかったなと思います。大抵のことは「スキル」であって、やったことないからといって構えてしまうことがなくなりました。それに、Emoを受講するまではキャリアについて話せる相手って、先輩しかいなかったんです。でも今は、定期的にご飯に行ったりして、いろいろと相談できる相手もできました。

——最後に、皆さんにとってEmoとは一言でどんな場所でしょうか?

余頃:「地図」ですね。いろんなケーススタディを知ることができたとき、目と耳が広がる感覚があります。人が関わる話なので、結局はケースバイケースだけれども、それでも、このエリアにはこれがあるんだというマッピングをすることができます。そこで、人事領域のエリア分類と、起きやすい事象を整理していくことで、点と点をつなげて線にしていくように、「全体像」を教えてもらっているなと感じます。

田中:私は「インフルエンス」かな。自分も影響されたし、今度は自分が影響できる立場になりたい。マネージャーって誰かの評価を決める権限を持つ人なんですよね。だからこそ、適切な評価ができる、「いい人」でいないといけないなと思うようになりました。

山口:一言では収まらなかったんですが、困った時に思い出せる、戻れる「場所、型、人、空間」です。何かに困ったら2人に聞けばいいし、長村さんに相談していいし、型を見返せばいい。この先何かマネジメントで悩んだとしても、Emoに関わりに行けば大丈夫って思える絶対的な安心感を持った存在です。

山口様、余頃様、田中様、ありがとうございました!


EVeM HERO INTERVIEW
インタビュイープロフィール

余頃沙貴(よごろ・さき)さん
2015年大学卒業後、LINE株式会社にて大手企業のブランディング支援や、プロダクトの企画開発を担当。2021年7月にワンメディアに入社し、ビジネスプロデュース本部を統括。TikTok を軸にしたソリューションやクリエイターサポート事業を立ち上げ。2022年9月より取締役に就任。(https://x.com/sakiyogoro

田中萌子(たなか・もえこ)さん
2015年大学卒業後、株式会社ディー・エヌ・エーにヘルスケア事業部のマーケターとして入社。同部署にて部署内人事立ち上げメンバーとして志願、中途採用のフロー整備と組織開発に従事。2018年よりシードテック株式会社にてマーケ観点からビジネススケールのサポート後、1年でマネージャーに昇格。2021年よりプレティア・テクノロジーズ株式会社にて、HR Managerとして人事全般の責任者を担う。(https://twitter.com/moeyangogo55)

山口寛奈(やまぐち・かんな)さん
2015年大学卒業後、工作機械メーカーに入社。フォークリフトとクレーンの免許を取得。2016年に当時まだ10名規模だったdely株式会社に転職。営業部の立ち上げメンバーとして、セールス・ディレクター・新規事業開発などに取り組む。プレイングマネージャーとして業界最大手食品メーカーを担当しながら、採用・育成業務にも従事。2022年より、W株式会社(W fund)に参画。コミュニティマネージャーとして投資先支援を担当。岡山県出身。(https://x.com/okayamaguchi)

※上記の部署名、役職はインタビュー当時(2024年5月時点)のものです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?