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「医療」から「介護」へ。「喀痰吸引等制度」から変える介護の未来

こんにちは。喀痰吸引等事務の堀口です。

今回は、私の所属している部署で、普段どのような業務を行っているかを紹介する機会をいただいたので、限られた紙面ではありますが、筆を執らせていただいております。
拙い文章ではありますが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。

「喀痰吸引等制度」というあたらしい介護

さて、ユースタイルラボラトリー株式会社は「すべての必要な人に、必要なケアを届ける。」を企業理念とした介護会社ですが、皆さんは「介護」と聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょうか。

  • 自力で食事をするのが難しい高齢者の食事の手伝いをする。

  • 身体に障害があり、自力では入浴や外出が難しい方の手助けをする。

おそらくこういったイメージを持たれる方が多いかと思いますが、私たち喀痰吸引等事務が取り扱う業務はそのどれとも異なるものです。

もちろん、自力で生活をするのが難しい方の手助けをする、という本質的な意味では合っているのですが、介護の中に「喀痰吸引」というジャンルがあることはあまりイメージがない方もいるのではないかと思います。

それもそのはず、「喀痰吸引」は別名「医療的ケア」とも呼ばれ、最近まで「介護」の領域には無かったものだからです。

「喀痰吸引」とは、簡単にいうと、喀痰を排出したり嚥下することが難しい方の喀痰や、自力で呼吸をすることが出来ない方の喀痰を吸引したり、
口から食事をすることが出来ない方に、胃ろう、腸ろうからの食事介助をする行為のことで、これらの行為は最近まで「医療」の領域にあったものなのです。

医療の領域にあったということは当然、医師や看護師の資格を持った医療従事者しか行えない行為となりますが、高齢化社会も一因となり、医療的ケアを必要とするご利用者様が増加したため、平成24年に「喀痰吸引等制度」が定められ、一定の条件のもと、介護職でもこういった行為を行うことができるようにした、というのが、喀痰吸引が介護の領域となった始まりとなります。

制度の誕生によって生まれた課題に、チーム一丸となって取り組む

この制度の制定は、医療従事者やご利用者様、そしてそのご家族の負担が大きく減るという点ですごく画期的なものでしたが、最近まで医療の分野だった行為が、介護の世界に入ってきたことで生まれた課題が大きく分けてふたつあり、そしてその課題は私たち痰吸引等事務が取り組むべき課題でもあります

喀痰吸引等事務のみなさん

ひとつ目は「しっかりとした研修体制の構築」

もともと医療行為だっただけに、介護職員が喀痰吸引を出来るようになるためには、医師と連携し、申込書類を揃え、喀痰吸引の指導資格を持った看護師の指導のもと、実際にご利用者様への実地研修を行い、その研修を正しく修了し、都道府県に届け出をし、認定を受ける必要があり、この手順を踏むことで初めてご利用者様へケアを提供することができます。

この一連の流れをサポートし、きちんと研修を終えているかどうかの判断、都道府県への迅速な届け出を行うのが私たちの主な業務になります。

元はといえば、医師や看護師の手が回らないほどのニーズがある分野ですから、業務には迅速さが求められます。

しかし、しっかり研修を終えていないのに修了の判断を出し、ご利用者様へご迷惑がかかってしまっては元も子もありません。
そういったことを防ぐような、正確な判断をする必要も同時にあるのです。

チームには、介護業界や現場未経験者も多く(私も介護業界未経験者の内の一人です)わからない専門用語や、想像することが難しい場面も多々ありますが、そういった時でも経験者のアドバイスをいただきながら、日々、チームの皆さんと話し合い、ベストな判断が出来るチームを目指しています

また、少しでも現場の状況を想像したり、現場の方の考え方に近づけるよう、定期的な座学研修の受講や、実際に使用する器具に触れる機会を設けるなど、現場への理解を深めるよう努めています

実際の研修現場でも使われているモデルを使って模擬研修を行った時の様子

模擬研修では、実際の評価項目に沿った形で行い、現場との間で認識の違いが起きないようにしています

また、その評価項目の手順や言い回しが、実際の現場に沿ったものかどうかや、ご利用者様によって異なる手順を広い範囲でカバーしているかどうか、なども検討し、改善の余地が見つかれば、適宜アップデートをしていっています

ふたつ目は「制度や仕組みへの働きかけ」

「喀痰吸引等制度」は最近作られた制度であるため、各自治体で仕組みや基準にバラつきがあったり、昨今各分野で求められているDX化が手付かずだったりと、まだまだ整っていない部分が多いのです。

各自治体と話し合い、落とし所を決めたり、こちらから提案をしたりと、まだ整っていない分野に対してアプローチをしていくのはやりがいを感じることでもあります

また、DX化にあたって、どういった考え方で取り組めばいいのか、といった知見を得るため、先日、幕張メッセで開催された「介護エキスポ」に参加してきました。

介護業界にいち早くDX化を取り入れた企業の講習を聞くことができたのは、大変ためになるものであり、自分たちの業務にどのように落とし込むか、といったことも現在取り組みたいものの一つとなっています。

すべての必要な人に、必要なケアを届ける。そして、介護職の地位向上の一助となるために

この二つの課題の解決のために、幅広い分野の知識と同時に、専門的な知識を得て、その二つをうまく組み合わせ、他の会社にはない、新しいシステムの構築を目指して日々悪戦苦闘しています

簡単にはなりますが、以上が私たちが日々向き合っている業務の紹介となります。
喀痰吸引業務の内容や重要度について、伝わったら幸いです。

繰り返しになりますが、喀痰吸引はもともと医療行為です。

一歩間違えれば大きな事故に繋がりますが、正しく行えば、介護職員がご利用者様、そのご家族、そして医療従事者の助けになることができ、それは間違いなく、介護職員の地位向上に繋がると確信しています

その一助となれるよう、部署の皆さんと協力し、これからも邁進していきたいと思っています。