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国際: 脱炭素社会構築におけるE fuelの役割

EVシフトの裏側で密か(?)に盛り上がる合成燃料e-fuels。これが社会実装されれば、EVシフトをする必要もなく、これまで先進国自動車メーカーらが投資してきた内燃機関の技術が生き延びることになる。しかし、e-fuelsは航空業界や海運業界にて主に使用され、道路交通部門にまでは供給されないという読みが大多数。そんな中国際エネルギー機関/IEAが、2024年1月にThe Role of E-fuels in Decarbonising Transportなる報告書を発出。

記事要約

  • e-fuelとは再エネ起源の水素(H2)と回収した二酸化炭素(CO2)を掛け合わせて生成する各種代替燃料のこと。

  • Conversation lossが多いことがよく挙げられるが、他にも課題は盛沢山で供給量に限界有。

  • いずれにせよ、主に海運と航空部門での使用が主との見込み。




1.合成燃料とは

一言でいうと、再エネ起源の水素(H2)と回収した二酸化炭素(CO2)を掛け合わせて生成する各種代替燃料(e.g. ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、e- メタノールなど)の事。なお、CO2の代わりに窒素を掛け合わせるとe-ammoniaとなる。

E-fuels and production routes considered in this report
報告書, p. 20

日本語文献を当たったところPwCが作成したポンチ絵がわかりやすい。

出典:PwC

2.内燃機関車両の生存につながるか?

低炭素な形で生成したe-fuelを使えば、道路、海運、航空といういわゆる現状石油に頼りっきりで脱炭素化が難しい部門においても脱炭素化が見えてくる。

出典:PWC

しかし、そのためにはe-fuelの大量&安定的供給が必須なのだが、大量のH2生成、CO2回収などが不可欠。そもそも再エネ由来の水素も少ない中、どこまでe-fuelを大量導入できるのか?現時点でのIEAの予測は、海運などに使われる燃料の代替としてのe-ammonia生成が大部分になるだろう、というもの。

Global electrolytic hydrogen production that could be used to produce e-fuels by fuel and status based on announced projects, 2030
報告書, p.23

まずはConversation lossが多いことがよく挙げられるが、他にも課題は盛沢山。詳細は報告書参照。いずれにせよ、主に海運と航空部門での使用が主との見込み。

Schematic energy balance of an e-fuels process
報告書, p.41

3. コメント

e-fuelが社会実装されると内燃機関車両が生き延びることとなるが、供給&コストに課題あり。

EVシフト一辺倒な昨今の動きもどうかと思うが、e-fuelも正直先が見えない。

そんな先の読めないe fuelに会社の将来を託すわけにも行かず、自動車会社は引き続き難しい舵取りを求められるといったところ。

今後とも自動車業界の動きを要注視。


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