見出し画像

TRXのモールで気づいたこと

 クアラルンプール市中心部に近いTRX金融地区にある454メートルの高層ビルThe TRX Exchange 106の下層部にショッピングモールができました。ここには日本の「西武」などが入ったのですが、今回はこのモールで気づいたことを書きます。

TRXの高層ビル

 マレーシアにはモールがありすぎ、どこもかしこも同じような店ばかりが入っています。こんなに同じ店があって何が楽しいのかと思うのですが、このTRXは少し様子が異なりました。

おしゃれ?な飾り付け

 中は広々として優雅な雰囲気を醸し出しています。メインの通りはかなり幅が広く10メートル以上はあったでしょうか。ゆったりと買い物ができるようなところです。

通りの幅が広いのも特徴

 たぶん中でも目を引くのは「西武」でしょう。マレーシアでは初の進出で、少し中を周ってみました。スーパーは日本のものも多く、あまり他の店では見られない商品も並んでいました。その中で気になったのはチューハイ。イオンなどではこういったアルコール類はあまり品数が多くありません。もちろん日本の価格より高いのですが、チューハイが売られているとは驚きでした。

 西武の2~3階部分は洋服などを売っていましたが、こちらもほかのモールではみられない店舗が並んでいました。初めてみるブランドも多く、こんなところも別のモールとは差別化を図る狙いがあったのでしょう。

 モール全体を周ってみると、相変わらずカフェが多い。こちらも他のモールでは見られないカフェがあり、Bacha Coffeeというモロッコのコーヒー店もありました。スタバは見かけなかったのですが、どうもあるようです。ただ、金額がすこし高いスターバックス・リザーブスという店舗が展開されているようです。ほかにもコーヒー&ビーンズといったどこでもよく見るカフェは鳴りを潜め、マレーシア国内でもそれほど大きくないカフェが多かったのは面白いところ。

 また、なぜかラーメン屋が多かった。ちょっと見ただけでも3~4軒はあり、それも豚骨を扱っている。豚骨はイスラーム教徒ご法度であるため、一般のモールではこういったお店は展開できません。これがKL中心部のモールの中で展開できているのは国際金融地区にしたいという政府の意思の表れなのかもしれません。

ラーメン 金田屋

 ブキビンタンにあるパビリオンモールの中には確かに豚肉を扱う肉骨茶の店が数店舗あります。ただ、それはどちらかというとバーがいくつかある外に面した通りの上で、完全な中にはありません。施設内に堂々と豚骨を売れるラーメン屋が出現したというのはこちらもちょっと驚きでした。

 さらに、これは日本人にとっても嬉しい情報かもしれませんが、バーがモール内の要所要所にあるところも驚きでした。バーはお酒を扱うため、豚肉と同じでイスラーム教徒は忌避します。このため、他のモールでも施設内でバーは認められていません。日系のバーやワインバー、メキシコ系のテキーラバー(?)などちょっと見ただけでも5~6軒のバーをみかけました。店頭でワインを並べているバーもありました。

メキシコ系バー

 マレーシアでバーはこれまでモールの外で一軒家などを借りて展開するお店が多いのですが、モールの中で展開できるとなると店側もある程度のコスト削減にはなるのではないでしょうか。ただ、お酒の金額はほかのところより高いようです。

 TRXは国庫泥棒のナジブ囚人(元首相)が懸命になって作った高層ビルです。高さはツインタワーを越えて、本人はおそらくマハティール元首相を越えたいと考えて作ったのでしょうが、高さはその後に678.9メートルのMerdeka Towerができてしまい、マレーシア1ではなくなりました。2018年の政権交代時にはナジブ囚人のレガシーを潰したいとの思いで、建設を中断させる声も出ていました。それもあってかTRXの建設はだいぶ遅れてできたのです。

 今回行ってみて他にわかったのは、ブキビンタン地区から歩けること。当初、MRTのTRX駅からでないといけないのかと思っていましたが、ブキビンタンからは10分ほど歩けば十分つく距離でした。途中の道も一部はまだ整備中でしたが、スムーズにいけるようになっており、こうなってくるとこのモールを利用する人は多くなるのではないでしょうか。

 たぶんこれまで行ったマレーシアのモールの中でTRXはかなりいい印象をもったモールでした。一度ご覧になってみるといいかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?