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インハウス弁理士の経験を生かした、知財顧問というサービスについて

先日、この業界では知らない人はいないであろう、著名な知財弁護士である鮫島先生が、弁理士の人たちもタイムチャージ制を導入した方が良いと明言されているのを聞いて、再度、自分の今までの経験を生かした、弁理士としての役割をどうサービスとして提供していけるのか、色々と考えを張り巡らせていました。

弁理士を含めた知財業界は現在、私と同世代か、私よりも下の世代の方がどんどんと新しい形のサービスや情報発信といったものをされていて、日々刺激を受けています。AIがいよいよ本格的に日々の我々の生活に台頭してきた今、従来の弁理士の主要業務であった出願代理という仕事に縛られることなく、それぞれの弁理士が、それぞれの経験や強みを生かしたサービスを提供できるようになれば、サービスを受けるクライアント側とっても、業界の人間にとっても、最終的にはWin-winの関係を構築することができるはずです。

以下では、いわゆる弁理士としての王道のキャリアを積んでこなかった私なりの強みや、それらのキャリアから得た、こういう強みがあればさらによりクライアントの要望に沿えるのではないかという独断的なアイデアを、ざっくばらんにまとめてみたいと思います。


*いい意味での知財何でも屋としての経験

私の知財業界でのキャリアのスタートは特許事務所でした。ただ、私の場合、バイオ系の修士課程で当初希望であった研究開発職につけず、まずは手に職をということで、最初のキャリアにシステムエンジニアを選んだので、ここからすでに、いわゆる、「研究開発職→特許事務所または企業知財部」と言った王道キャリアから外れていることになります。私のキャリアの詳細については、有料記事となりますが、下記マガジンにまとめております。

4年間のシステムエンジニア時代を経て、やはり学生時代に学んだ知識を活かしたいとのことで、知財の世界に入ったのですが、バイオ化学系は知財業界ではマイナー分野であるというのは、後で知ることとなります。なお、最初に勤めた事務所の最初の仕事のメインはいわゆる特許翻訳で、特許翻訳というのは自分に合っている仕事だな、と思ったことが印象に残っています。

そんな私に転機が訪れ始めたのは、法律事務所での勤務でした。ここで私は、いわゆる組織内での1人弁理士として、バイオ化学分野はおろか、特許案件のみならず商標案件でもなんでも取り組むという経験をすることになります。
当時はなかなか色々と大変でしたが、このいい意味での知財何でも屋の経験が、今のスタートアップ企業での知財顧問業務や、クライアントからどのような相談が飛んでくるかわからない状況に常時対応しなければいけない、独立後のキャリアに、大いに役立っていると痛感しています。

そしてもう一つ、私の知財業界のキャリアで外せないのが、企業知財部におけるインハウス弁理士としての経験です。

*企業が押さえるべき知財のポイントは、インハウス弁理士の経験があるからこそわかる

一言で企業知財部でのインハンス弁理士の経験といっても、企業規模、企業の知財部のスタンスなどによって、弁理士、もしくは知財部員の役割は多種多様となるので、一概にインハウス弁理士の経験が知財業界のキャリアの上でマストであるとはいえないのですが、私の場合は、大手企業知財部で、担当製品についての発明発掘から権利化後業務まですべて行う経験ができたので、これは今の私の弁理士としてのキャリアにとって、本当に大きな土台となっています。

いわゆる特許事務所勤めの場合、主要業務はどうしても出願業務に偏ることとなり、もちろん係争関係の業務に携わる経験も事務所によってはできますが(法律事務所と特許事務所が一体となっている事務所等)、企業知財部においては、出願業務だけが仕事ではなく、企業の保有する権利をどう活用するかや、出願の卵である発明の発掘といった仕事に主眼が置かれるので、自然と出願戦略を含めた企業における知財戦略について考える時間も増えることとなります。これはまさに、知財部を持たないスタートアップ企業や中小企業の知財サポート業務に応用できる経験となります。

また、企業知財部にいれば、競合他社の動向ウオッチングもマストな業務になりますし、外部の特許事務所と連携しながら業務を進めていくことが通常ですので、どの事務所に案件を任せればよいか、どういった視点で外部の弁理士さんを選べばよいか、といった目利きも、自然と身についてくることになります(逆にもし独立した場合には、クライアントはどういう視点で弁理士を選んでくるか、という感覚を予め持てた状態で、ビジネスを考えることができます)。

あとは発明が生まれる研究開発部門との連携もかかせないので、企業における知財を考える上でのキーパーソンや、他部門との連携、誰を巻き込んで議論をしなければならないかといった感覚についても、自然と身に着けることができました。

*知財顧問というサービスについて

上記経緯の通り、私自身の知財業界におけるキャリアのメインがインハウス弁理士としての経験であったということもあり、私自身の強みは、スタートアップ企業や、知財部を持たない組織への知財顧問サービスの提供にあると考えています。もちろん、特許であればバイオ化学系、また、商標を中心とした出願代理業務も積極的に取り組んでいく予定ではありますが、従来ありがちであった、出願代理依頼を前提としたクライアントへの知財に関するアドバイスの提供ではなく、クライアントにとって最善の知財を含めたビジネス戦略がなにであるかを、中立的な立場でアドバイスするためにも、知財顧問というサービスを、今後提供していきたいと考えています。

私自身が提供できる知財顧問サービスの詳細については、下記をご覧いただければと思います。

インハウス弁理士としての経験から得られた知見をもとに、発明発掘、研究開発部門との連携、知財管理業務、競合分析や知財戦略といったご相談を、継続的に行っていただけるよう、複数のプランを用意しております(ご要望に合わせた形のプランにさせていただくことも可能です)。

※写真はこの夏訪れた、ロンドンはテートモダン美術館から眺めたセント・ポール大聖堂


*エトワール国際知的財産事務所 

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