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読書感想文『レモンと殺人鬼』 綺麗ごとばかりじゃ生きていけないもんね

読み終わった後、なんだか急に怖くなっちゃって
家中の扉を閉めてSECOMスイッチオン。

それぐらい入り込んでしまう小説だった。

きっと本屋さんでこの表紙を
見かけたことがある人も多いよね。


私も気になっていたけどミステリーが少し苦手で
なかなか手にとれなかった。

でも、ハナさんのnoteを読んで即ポチ。

買って大正解!

読むべき一冊に出会えた!

〜あらすじ〜

十年前、洋食屋を営んでいた父親が通り魔に殺されて以来、母親も失踪、それぞれ別の親戚に引き取られ、不遇をかこつ日々を送っていた小林姉妹。しかし、妹の妃奈が遺体で発見されたことから、運命の輪は再び回りだす。被害者であるはずの妃奈に、生前保険金殺人を行っていたのではないかという疑惑をかけられる中、妹の潔白を信じる姉の美桜は、その疑いを晴らすべく行動を開始する。

レモンと殺人鬼/くわがきあゆ

◆もう少し細かいあらすじ

・「え?待って。どういうこと?」を
 連呼しながら読んでいた。
 家で読むのがいいかも!

・人はいつまでも比較してしまう。
 結局みんな自分だけが
 不幸なのは許せないと思っちゃうねと改めて。

 分かりたくないけど、
 分かるかもと思う部分が描かれている。

・ミステリー系苦手な方でも読める。

 私は繊細さんだから目を瞑りなくなるような描写も
 少しあるけど、大丈夫だった!

さて、少し踏み込んだ感想も書いてみる。

!!以下、少しネタバレを含みます!!

主人公の小林 美桜。

彼女はびっくりするぐらい、暗すぎる性格。

幼少期の辛い経験によるものだから
仕方ないと思える部分もある。

歯並びが悪く、コンプレックスに感じている。

コロナ禍を機にマスクが当たり前になったことを
誰よりも喜んでいる。

喫茶店で温かい飲み物が飲みたくても
マスクを人前で外したくないからと
必ずアイスドリンクを注文。

お昼も人前で絶対に食べない。

雨の日でさえ、傘を片手に誰もいない木の下で
おにぎりを頬張る。

それぐらい徹底して、人前でマスクを外さない。

美桜は常に周りからの視線に
ヒヤヒヤしながら生きている。

遺体で見つかった妹の疑いを晴らすために事件について調べてる。

なのに自分より充実した生活を送っていたことが許せない美桜は真相に辿り着いた時に

「良かった。
 あの子もちゃんと不幸だったわ」

 って安心する美桜。

姉妹、というか双子だから余計にそう思うんだろ

不幸なのが自分だけっていうのが許せない。
そこに強いこだわりを持っていた。

人間性を疑う部分もありつつ、
結局人はそういう生き物だよなと知らしめられる。

口や態度に出さずとも
実は誰にでもある感情だったりするよね。

美桜に関しては幼少期の環境が大きいこともある。

あとは私が妊活しようとしてるから余計気になったのかもしれないけれど人間性が作られる時期の環境って重要だなと改めて思った。

美桜だけじゃない。

亡くなった妃奈も、他の登場人物も
子供時代に受けた刺激をずっと抱えてる。

物語がクライマックスに近づくにつれて
誰が犯人?って全員怪しくなるの。

どんどんページをめくりたくてハラハラする。

結末の詳細は書かないけれど
「皮肉にも」っていう部分が多くて
なんとも言えない気持ちになった。

美桜だけではない。

押し殺していた感情によって大切な人を失ったり

2度と思い出したくないトラウマによって
命拾いをしたりと。

良くも悪くも
人は経験あってこそ今の自分だよね。

けどやっぱり世知辛い世の中だし
報われない、日の目を浴びないことだってある。

綺麗な部分だけではなく、そういう部分も
しっかり知っておかなきゃと改めて。

ミステリーだけどそういった部分を
メッセージとして受け取ったかな。

時間がある日に一気読みしたくなる
そんなおすすめの作品です!

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