【EDH・統率者】1枚100円以下のカードだけで入門用《ラサード・イン・バシール》(Lv4-5)を組む【MTG】


はじめに

 以前に《策略の龍、アルカデス》を安く組むという記事を書いた。
 重厚(パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振るメカニズム)デッキを作るなら《ラサード・イン・バシール》がおすすめという記事を書いた。
 ならばその両方を組み合わせれば1つのネタになるのではと考えたので書くことにする。つまり、重厚デッキ初心者向けの比較的安価な重厚デッキのサンプルだ。
 ルールは以下の通り。

 1.合算10000円以内
 2.1枚当たり晴れる屋値段(NM)で100円以下(Wisdomは考慮しない)
 3.基本土地は0円換算
 4.統率者は100円を超えても良い

 ざっくりとしたルールだが、詳細な説明は省く。前回の《策略の龍、アルカデス》の記事に詳細を書いてあるので疑問がある場合はそちらを参照するか、あるいはコメントしてほしい(おそらく返答は大半が「なんとなく」になるだろうが……)。

デッキリスト

内容解説

 このデッキのメインの勝ち筋は低パワー高タフネスのクリーチャーを並べて各対戦相手を殴り倒すことだ。邪魔な大型クリーチャーは低パワー高タフネスに優しい全体除去で吹き飛ばし、戦場を適宜(自分以外)リセットしながら隙を見せた対戦相手を殴っていこう。サブプランとして統率者である《ラサード・イン・バシール》の統率者ダメージによる撲殺があるが、こちらを積極的に狙うと《ラサード・イン・バシール》が除去されやすくなり、デッキのコンセプトが崩壊するのであくまでサブプランと認識したい。
 いずれにせよクリーチャーの維持が重要となるため、プレイに際してはヘイトを稼がない、あるいは攻撃されないことに重点を置いた立ち回りを心掛けよう。

 このデッキの主なフィニッシュ・ブローは、ある程度のクリーチャーを展開してからの《扉に閂》のようなタフネスを上昇させるカードでの奇襲がメインだ。

 自軍全体のタフネスを上昇させるということは、《ラサード・イン・バシール》デッキでは打点を上昇させることに繋がる。白青で、それもインスタント・タイミングで打点が大きく上昇することはほとんど警戒されないため、攻撃も通りやすい。

 クリーチャーの数が多ければ多いほどこの手のタフネスを大きく上昇させるカードの効率が良くなるため、《邪魔者エンジン》と《小走り波》を採用している。

 どちらも低パワー高タフネスのクリーチャー・トークンを生成するカードで、特に《邪魔者エンジン》のほうはマナ以外のリソースを必要とせず、生成コストも軽い。0/1のクリーチャーは通常、打点にならないが、このデッキでは《ラサード・イン・バシール》によって事実上1/1として振舞う。
 また、このデッキならではのクリーチャーとして《波に漂うもの》が採用されており、邪魔者・トークンのロードとして機能する。

 非常に限定的な効果でサーチ手段もないこのデッキで安定して引いてくる方法はないが、一応シナジーがあることは覚えておきたい。
 《小走り波》のほうはトークンの生成に手札を1枚使うが、その分出てくるトークンは0/3と、このデッキでは3/3相当で優秀だ。このデッキはマナ・ファクトを入れておらず、その分土地が多いので余った土地を捨てていけば戦場をカニで埋め尽くすことができるだろう。昂揚を達成すればカニは1/4になるので、より打点としての優秀さが増す。ちなみに《怒り狂う島嶼、キャリクス》もカニであり、《小走り波》の昂揚達成後の修正を受けられる。念のために覚えておきたい。

 《アルガイヴ国家執事、ベイルド》や《風生まれの詩神》のようなこちらへの攻撃にコストを課すタイプのカードはヘイトが微妙に上がるが、だからといってわざわざ手を出すほどではないという絶妙なカードなのでこのデッキの動きと噛み合っており、この手のカードを大量に入れたかったのだが、結構な数のカードが予算オーバーだったので、代案として《一時しのぎの協定》を入れている。

盾カウンターは現在では一時しのぎカウンターになっている

 対戦相手のクリーチャーがタップ状態になるたびにカウンターを乗せ、カウンターを取り除くことで取り除いたカウンター1個につき1点のダメージを軽減する。これによりパワー1のクリーチャーの攻撃は完全にシャットアウトでき、こちらへの攻撃を面倒だと思わせることができる。
 その上、カウンターの乗る条件は対戦相手のクリーチャーがタップさえすれば良いので自分への攻撃以外でもカウンターは溜まる。そして軽減できるダメージは戦闘ダメージに依らないため火力呪文なども防ぐことができるという点で優秀だ(ライフを失うには対応していないが……)。

 これらのクリーチャーを大量に並べるカードとこちらへの攻撃を躊躇わせるカードの合わせ技で、《ラサード・イン・バシール》が単騎で殴れるような環境を作りあげ、隙あらば大量のクリーチャーで圧倒できるのがこのデッキの強みである。

お値段

 本題に入り、お値段の話をする。
 まず晴れる屋のデッキビルダーで作成したデッキリスト内のカードをすべてカートに入れる。
 条件は言語指定なし、通常カードのみ、安いカード優先とした。

アッハイ

 仕方がないのでWisdomで最安を調べ、合計金額に足すことにする。
 《一時しのぎの協定》:20円
 《報いの波》:15円
 《金屑ワームの鎧》:32円
 《永遠神オケチラ》:30円
 《怒り狂う島嶼、キャリクス》:30円
 この値段なら、晴れる屋でも高くて1枚平均50円くらいに収まりそうなので合計金額に250円足すことにしよう。

 果たしてお値段は……。

 2970円! ここになかったカードの値段250円を足しても3220円である。
 最近の構築済みの統率者デッキの半額近い。
 安く作れるものだなあ。

感想

 今回の《ラサード・イン・バシール》の入門用デッキは、《策略の龍、アルカデス》の時と異なり、いろいろと大変だった。
 普段使っている《ラサード・イン・バシール》のデッキは《プロパガンダ》系の攻撃抑制カードとヘイトベアーを組み合わせ、ゲームの速度を緩くしながら《ラサード・イン・バシール》単騎で殴っていくデッキなのだが、今回の企画をするにあたってカードの精査をしたところ、それらのカードが軒並み(晴れる屋値段で)100円超過だったのである。
 100円を超えた値段のカードを抜いていくと30枚近いカードが抜け、デッキとしてのコンセプトを維持するのは不可能であることを悟り、ある程度原形は残したものの、頭数を増やしてビートダウンする方向にシフトせざるを得なかった。
 方向性のシフト自体は良かったと思うが、更に困ったのは汎用的とも言えないカードも100円を超えていたことである。
 《剣を鍬に》のような安定した性能のカードが100円超過なのはともかく重厚デッキでしか使わないような《厳戒態勢》や《不屈の古樹》のようなカードも値段オーバーだったときは頭を抱えそうになった。

地味に高くて泣く泣く抜いたやつ(在庫なし)

 汎用的なカードのジェネリック版を探すことはできなくはないが、それしか役割がないカードのジェネリック版を探すのは非常に難しくカードの選定に苦心した。
 幸い元からビートダウンデッキだったので、クリーチャーを入れれば何とかなるのが救いだ。

 3000円ちょっとという、並みの構築済みよりも安い値段に収まった今回のデッキは《ラサード・イン・バシール》、あるいは重厚デッキをEDHで組むための入門としておすすめだ。
 重厚というデッキがどういうものなのかを知るためにとりあえず作ってみるだけでも良いし、更に改良しても良い。
 もし改良をするなら、よほど思い入れがなければバニラ・クリーチャーは避けたほうが良いだろう。MTGには1マナ0/5や4マナ1/7のような低パワー高タフネスのバニラ・クリーチャーがおり、重厚デッキを組むと入れたくなってしまうが、4人対戦であるEDHでそれらのクリーチャーはほとんどが打点不足だ。
 1マナ0/5などは1マナで実質5/5として振舞い、2人対戦ではバニラとて脅威だが、4人対戦のEDHでは5/5のバニラの威圧感は低い。特に4-5のような殴り合いが発生するレベルでは中盤ともなれば大型のクリーチャーが戦場に複数体並ぶことも多く、タフネス5のバニラはやや頼りない。
 4マナ1/7のほうも4マナ払ってバニラを出すくらいなら他のカードでアドバンテージを取ったりしたいのがEDHである。
 また、EDHはその構築条件の都合、カード1枚の役割が大切なので、バニラをトップで引いたときの絶望感がすごい。
 そのため、クリーチャーを新たに採用する、あるいは足りないクリーチャーの穴埋めをするにしても、何か能力を持っているクリーチャーを採用するのがおすすめだ。
 このデッキに採用している2マナ0/6に関しては、2マナという軽さで出せて、比較的大きな火力・修整である5点を耐えるという点で採用しており、他に防御手段が搭載できるなら抜いても良いだろう。

 ともあれEDHにおける重厚デッキの入門として、今回のデッキは十分な性能をしていると思っている。
 願わくば、このデッキを通して重厚の良さを感じてくれたら、他の重厚統率者や2人対戦の重厚デッキにも興味を持ってくれると幸いだ。

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