【EDH・統率者】《策略の龍、アルカデス》と《アクロスの巨像》【MTG】

 単体で動けるカード入れると強みが薄れるんじゃないかという話。
 《アクロスの巨像》というカードがある。

 8マナ10/10破壊不能のアーティファクト・クリーチャーで、その巨大さと頑丈さ故に、防衛というデメリットを持たされている。
 10マナ払って怪物化10を行うと20/20破壊不能トランプルになり、防衛を持たないかのように攻撃できる。
 《策略の龍、アルカデス》を統率者にしたデッキを組んだとき、《アクロスの巨像》を採用していた時期があった。防衛を持っているのでアルカデスで1ドローでき、8マナ10/10破壊不能のクリーチャーとして振舞うのはそれなりに強力だと思ったのだ。
 加えて、《策略の龍、アルカデス》では大量にマナを出せるクリーチャーを少数ながら採用しているため、怪物化して暴れ回るのも現実的だった。
 しかしいざ使って見ると、思ったより取り回しが悪いことに気づく。
 まず、8マナが重い。
 低めのレベル帯でのEDHで8マナは十分出せるマナ量だが、それにしても8マナ払うほどではなかった。8マナも払えるならもっとアドバンテージが稼げたり、盤面を一掃できるカードが存在しており、破壊不能とはいえ、大きなクリーチャーを1体立てるのに8マナはやや大味である。更にこの評価も数年前の話であり、現在であれば高タフネスクリーチャーを用いるデッキの8マナには《エント最後の行進》のようなより派手な上に強力なカードが世に出ているので《アクロスの巨像》の枠はなくなってしまった。
 加えて、10/10という正方のサイズもあまり《策略の龍、アルカデス》と相性が良くない。
 《策略の龍、アルカデス》では《強者鏖殺》というすべてのプレイヤーがコントロールしているクリーチャーのパワーを4以下に均す全体除去が採用されていることが多い。

 この《強者鏖殺》はクリーチャーを生け贄にする都合上、《アクロスの巨像》を絶対に巻き込んでしまう。
 パワーが3である《策略の龍、アルカデス》も《強者鏖殺》を使う際には邪魔なことが多いのだが、パワーが10である《アクロスの巨像》は生き残れないのが辛い。
 破壊不能なのでパワー3以上のクリーチャーを破壊するタイプの除去に強いという点は魅力的なのだが、8マナのクリーチャーでなくとも、そのタイプの除去に当たらないパワー3以下のクリーチャーは《策略の龍、アルカデス》のデッキには大量に入っているため、破壊に強いことはあまり長所とは言えないだろう。
 更にこのパワーが10あるという特徴は、時に自身に対して牙を剥く。
 通常、《策略の龍、アルカデス》に採用されているクリーチャーは防衛を持ち、パワーが1以下であるため、《袖の下》のようなこちらのカードを奪うタイプの効果に対して非常に強い。アルカデスがいなければ壁としてしか機能しないので、プレイヤーを選ぶタイプのカードならまず選ばれないし、各対戦相手のライブラリから持っていくタイプで取られても特に困らない。
 しかし、《アクロスの巨像》だけは例外だ。パワーが10あり、破壊不能を持っているので、防御に長ける壁として非常に厄介な存在となる。
 さらには10マナ払えば20/20破壊不能トランプルと大型エルドラージ・クリーチャー並みのサイズと能力を得られるので利敵行為になってしまう。
 クリーチャーのコントロールを奪われにくい、あるいは奪われても自分のデッキよりもうまく使いこなせないというのが《策略の龍、アルカデス》に採用されるクリーチャーの長所なので、それを潰してしまう《アクロスの巨像》はどうにも印象が悪かった。個人的な体験になるが、マナコストが偶数なので《深海の破滅、ジャイルーダ》で釣り上げられたのが特に良くなかったと思う。
 とはいえ、単体で殴れるということは裏を返せば《策略の龍、アルカデス》がいなくとも機能するということだ。
 防衛持ちのクリーチャーで固めたいという気持ちとエルドラージ並みの大型のサイズを持ったクリーチャーが欲しいという要求を《アクロスの巨像》は満たしてくれる。
 コントロールを奪うカードも人によっては全く使われない環境が存在すると思われるので、もし大型の防衛持ちクリーチャーが欲しいと思ったなら、《アクロスの巨像》は十分採用の余地があるだろう。
 20/20破壊不能トランプルという脅威で戦場を蹂躙するのはきっと楽しいはずだ。

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