【EDH・統率者】《包囲の塔、ドラン》で戦闘をぶち壊す【MTG】

 ぶち壊すっていうか勝手に壊れるんですけども。
 《包囲の塔、ドラン》というカードがある。

 3マナ0/5の伝説のクリーチャーで、各クリーチャーをパワーではなくタフネスで戦闘ダメージを与えるようにする常在型能力を持つ。
 自身も能力の影響を受けるため、事実上3マナ5/5という割とハイスペックなクリーチャーとして振舞う。
 このパワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振るという能力、この《包囲の塔、ドラン》が元祖なのだが、それ以降のカードと《包囲の塔、ドラン》で大きく異なる点がある。《包囲の塔、ドラン》のみ、影響範囲が全体なのだ。
 影響範囲が全体だとどうなるのかというと、自分だけでなく、対戦相手の戦闘もタフネスを考慮することになる。
 他のカードの影響範囲は9割がた自分がコントロールしているクリーチャーで、残りの1割も自分のターンのみ全体に影響するようになっており、対戦相手の戦闘をタフネスで殴るようにできるのは事実上《包囲の塔、ドラン》のみだ。
 対戦相手の戦闘がタフネスで殴るようになるとどうなる?
 知らんのか。
 みんな混乱する。
 MTGの戦闘は一般的にパワーで戦闘ダメージを与える。これはドロー・ステップにカードをドローしたり、攻撃クリーチャー指定ステップに攻撃クリーチャーを指定するのと同じぐらい普遍的なことだ。
 故にそのルールを崩されると、全員、戦闘に関して途端にぎこちなくなる。何もしてないのに壊れた。
 P/Tの数値が同じ、いわゆる正方のクリーチャーであれば何も困ることはないが、2/1だったり2/3だったりP/Tの数値が異なる場合、どっちで戦闘ダメージを与えるんだったかなと混乱必至だ。
 全部のクリーチャーがタフネスで殴るくらい、すぐに慣れるでしょと思う諸兄らもおられようが、《包囲の塔、ドラン》はクリーチャーであることを念頭に入れてほしい。クリーチャーであるということは、除去を撃たれるとまたパワーで殴る通常のMTGが始まるのである。
 故に、盤面に《包囲の塔、ドラン》がいるかどうかの確認からしなければならないのだ。このカード地味に管理面倒だな?
 幸い《包囲の塔、ドラン》の能力はパワーに修正を掛けているわけではなく、戦闘ダメージを与える際にタフネスの値を参照しているだけなので、《ヤーグルとムルタニ》でよく見るパワー参照カードなどの挙動は基本的に変わらない。例えば格闘や一方格闘などで戦闘ダメージでないダメージを与えるなら、通常通りパワーの値を参照する(のでパワー0の《包囲の塔、ドラン》は格闘でダメージを与えられない)。
 反面、パワーへの修正を与えるカードはパワーは上昇するものの結局タフネスで戦闘ダメージを与えることになるので無意味と化す。特にパワーのみの上昇は赤に多く、一種の色対策カードとして働くと言っても良い。
 もっとも、EDHの赤いデッキでそのようなカードが使われることは稀で、使われる修整カードと言えば緑のタフネスも同値だけ上昇させるような全体修整ばかりなのであまり気にしなくて良いだろう。

パワーだけを2倍にするので《包囲の塔、ドラン》がいると無意味な例

 もちろん《包囲の塔、ドラン》を使う以上、パワーよりもタフネスの高いクリーチャーを投入するため、自分はこのパワーに関連するデメリットを一切受け付けず、戦闘も(自分の戦力に関しては)比較的スムーズに行える。
 時折、パワーよりもタフネスの方が高いクリーチャーを対戦相手が出してきて困ることもあるが、それもまたEDHだ。

たまに見るやつ

 逆にパワーが低いから無害ですよと言い張る高タフネスのクリーチャーが突然打点を手に入れ、有害すぎて処理されるということもあり、《包囲の塔、ドラン》の能力は一長一短というよりは、混乱というにふさわしい体験をもたらしてくれる。
 他にもタフネスだけが上昇するカードが打点上昇カードになるので対戦相手の意表を突けたり、あるいは単純に強いカードになったりして、MTGの新たな側面を見つけることができるだろう。
 もしこの記事を読んで《包囲の塔、ドラン》に興味が湧いたなら、以前に書いた《包囲の塔、ドラン》を統率者にしたデッキがあるのでそちらを参照いただきたい。
 《包囲の塔、ドラン》、延いてはパワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを与える能力は、新たなEDHの体験をもたらしてくれるだろう。

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