【MTG】《怒り狂う島嶼、キャリクス/Charix, the Raging Isle》で17点パンチを食らわせよう

 最近ネタが尽きそうなのでオーソドックスなカードの話をしようという話。
 《怒り狂う島嶼、キャリクス》というカードがある。

 4マナ0/17という一見して驚愕する低パワー高タフネスのクリーチャーで、自身を対象に取る呪文を唱える際コストを(2)多くする能力と、3マナを払って自分がコントロールしている(土地タイプの方の)島の数だけ+X/-Xする能力を持つ。
 高タフネスのクリーチャーだが防衛は持っていない。しかしパワーが0なので殴っても戦闘ダメージを与えられず、3マナで+X/-Xする能力を起動することを求められる。
 その能力もコントロールしている島の数で修整値が変動し、また、パワーは上昇するがタフネスは減るという絶妙な使いにくさで、極端な話、島を17枚コントロールしていると能力を起動した時点で死亡してしまうし、15枚くらいでも15/2と熊相当のクリーチャーと相打ちすることになってしまう。
 さすがに島を17枚もコントロールすることは遅めのEDHでも滅多にないことだろうが、8-9枚くらいは現実的で、2回以上能力を起動できずに打点が一桁で止まってしまうことは十分想定される。
 3マナ払うとはいえ4マナのクリーチャーが8/9や9/8になるのならそれで充分なのでは? と思われる諸兄らもおられよう。実際、それが想定された使い方であると思われる。言ってしまえばデカい《凍結燃焼フロストバーンの奇魔》なわけだし。

やってることはこれとほぼ同じ

 攻撃が通ったならマナを払い打点を上昇させ、通らなければ高いタフネスを活かして戦闘を生き残る。《怒り狂う島嶼、キャリクス》は伝説なだけあって地味だが除去耐性も持っているし、マナを払ってもある程度生き残れるようになっているので、この運用も納得なのではないか……?

 ――否、毎ターン3マナも払っていられない。
 と思うPWは多くいるだろう。
 4マナで《怒り狂う島嶼、キャリクス》を出しているのなら次のターンも土地を置ければ能力を3マナで起動したとて2マナ余るが、2マナでは打ち消しを構えるのがせいぜいで、加えて青単色のデッキであったとしても《島》5枚では3マナ払って5/12の打点にしかならない。8枚、9枚《島》を並べるまで相手が待っていてくれるとも限らないし、青単色ならクロック・パーミッションのようなデッキにしたほうがいくつも土地を並べるより早く勝てるだろう。
 せっかくの高タフネス、何かに使えないかと考えるのが《怒り狂う島嶼、キャリクス》に惹かれたPWの性。
 そこで個人的におすすめしたいのが重厚というメカニズムである。

こういうやつ

 そんなメカニズムは聞いたことがないと思われる賢明な諸兄らもおられようが、それもそのはず。
 この単語はDCGであるMTGArenaでしか使われていない単語なのだ。
 その示すものは、「パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る」である(以下同様の状態を重厚と呼称する)。
 古くは《包囲の塔、ドラン》、統率者で少し名が知れているものとして《策略の龍、アルカデス》、昨今のカードで言えば《床岩の亀》がこの重厚というメカニズムに関係したカードだ。
 この重厚という能力の影響下にあるクリーチャーは、先に述べた通りパワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを与えるようになるため、0/4のクリーチャーなら4点のダメージを与える。つまり、0/17の《怒り狂う島嶼、キャリクス》であれば17点のダメージを与えられるのだ。
 3マナを払うことで出せるギリギリの16点を超えて17点が出るというのがこの重厚というメカニズムと《怒り狂う島嶼、キャリクス》との相性が素晴らしい点である。

 重厚にするカードは基本的に戦場に出してしまえばマナを支払うことなくクリーチャーを重厚にしてくれるため、《怒り狂う島嶼、キャリクス》は常に4マナで実質17/17のように振舞う。4マナでこれだけのサイズのクリーチャーが出てきたときのプレッシャーは計り知れない。
 加えて即座に除去しようにも《怒り狂う島嶼、キャリクス》には自身を対象とする呪文のコストを(2)増加させる能力があるため、微妙に対処しにくい。
 そして1ターン生き残ろうものなら青特有のバウンスやフェイズ・アウトで相手のブロッカーを退かして17点ダメージを叩き込めることだろう。

 クリーチャーを重厚にするカードは基本的に緑が多く、特に先に挙げた《突撃陣形》は2マナのエンチャントで、重厚にするカードの中で最も軽い。
 そのため《怒り狂う島嶼、キャリクス》のタフネスを活かした重厚デッキを作るのであれば青緑であることが一般的だ。ここに更に色を加えても良いが、最初は2色の方が何かと扱いやすくて良い。
 《怒り狂う島嶼、キャリクス》で17点パンチを叩き込むだけで大抵勝てるので、最低限の重厚にするカードを積んだら、他のカードは好きなものを入れられる。より早い段階から高タフネスのクリーチャーで殴れるようにしても良いし、ドローや打ち消しで重めのクロック・パーミッションのようにしても良いだろう。

 《怒り狂う島嶼、キャリクス》の高いタフネスと、タフネスで戦闘ダメージを与える重厚というメカニズムは非常に相性が良い。
 また、最悪、重厚にするカードが引けずとも3マナで少しだけ打点が出るというのも《怒り狂う島嶼、キャリクス》の良い点だ。
 もしいつか《怒り狂う島嶼、キャリクス》をデッキに採用したいと思ったなら、重厚というメカニズムを思い出してくれれば幸いである。

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