【雑記】何かを褒めるのが難しい

 文章でこれが好き、あるいは褒めようとすると、ついつい何かと比較してしまいがちだ。
 インターネット上でも何かと比較して褒めようとしている文章を良くみるので、人類共通の性質なのだろうか。
 あれに似ている、くらいであれば似たようなものが好きなら好きになるかもしれないという保証にはなるが、あれより良かった、は明確に、「あれ」が好きな人に対して喧嘩を売っている。
 これはいわゆる「これに比べると山岡さんの鮎はカスや」と同義であり、あまり褒められたものではない。
 カスと言われた側は当然不満を覚えるし、褒められた側もどう反応したらいいのかに困る。褒められた側がカスと言われた側を好きだった場合は最悪だろう。
 何故好きになったのかというオンリーワンな魅力を伝えることができれば良いのだが、自分はそういった要素を掬い上げ言語化する能力に乏しく、筆を進めるのに難儀している。語彙力も乏しいので小学生並みの感想しか出てこないことも多い。あるいは、つい、今までで最も良かったとか言って次に似たようなジャンルのものを褒めるときに難儀し、ボジョレー・ヌーヴォーのキャッチ・コピーみたいになったりする(ボジョレーですらこれなのだからそこまで気にすることもないのではという見方もあるが)。
 他方、MTGのカード評価は非常に楽だ。4マナ4/5でメリット能力を持つカードがあれば、4マナ4/4というMTGの平均サイズより大きいとか、強い能力を持っているとか、何かしらの基準値と比較して褒めることができる。この基準値は数字であり、事実なので、誰にも喧嘩を売ることがない。
 あのカードの上位互換! みたいな事実を突きつけられても受け入れざるを得ないという部分もあるが、よほどのことがない限り、基準と比較できるということには安心感がある。
 好きという感情にもそういった基準があれば良いのだが、その感情を向けられるものは多岐に渡るので、難しい。
 だからこそ、これが好き、あれが好きと言えるタイプの人は尊敬する。
 できることなら自分もそのような絶対的な評価ができるようになりたいものだ。

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