餓鬼とかね

ディベートとは楽しいものだ
親しい友人の間でも普段は出来ない不思議な
会話ができたりする

「餓鬼とかね」

3人で主張しあうディベートの時にでた言葉だ
「餓鬼?」
3人でそれぞれに課せられた時代のPRをする
縄文、飛鳥、平安時代の言い争いがはじまる
「ガキ??」
「食糧難のこととかだよ!」
10分近く話し合ったがこれといった進展もなく
実のない話ばかりがそこにあった
話は平安時代を主張する三好にスポットがあたった
「平安の前は厳しい時代が続いたんだよ」
「疫病とかさ、虫害とか」

「餓鬼とか」

絞り出したキーワード達がそこに並ぶ
「一生懸命絞り出したな」
セイヤが三好の主張を嘲笑する

「餓鬼?」

ダイチは何か疑問を感じていた

「餓鬼??」

「要は食糧難のことだよ!」

「いや餓鬼?」

奥歯に何かが挟まって取れないような歯痒さを
ダイチは感じ得るしかなかった

「いい表現出てこないけど、それにしても餓鬼?」

「ぬーべーとかに影響受けてる?」

「妖怪の話してないし…」

疑問符が頭を取り巻く中、ダイチは三好に問う

「食糧難がある中で栄養失調や餓死する人が出てきますね」

「そういった人は1回餓鬼になるの??」

「(そこから)きてるといっても正直間違えじゃない」

「その言葉が平安からきてるからね」

三好も負けじと対抗する

「えっそうなの?」

「ぐふっ」

ダイチがセイヤに問うが、笑いすぎて辛いのか
言葉を曇らせるばかりだ

「人間のまま死ねないの??」

「1回餓鬼経由するの???」

ダイチが畳み掛ける
セイヤは相変わらず笑いを弾けさせている

「だから」

「妖怪の話してないって!」

「なんで一々妖怪にするのさ!」

3人の笑い声が六畳一間に響き渡る

「やっと単語出てきたわ」

「飢餓じゃない?」

納得という名の風がそこに吹き込んだ

3人の宴はまだ終わらない

                     ダイチ





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