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【熱収縮チューブ】熱を加えると縮む不思議なチューブ

電気工作をしているとたまに見かける謎のチューブ、何に使うのかと思っていればケーブルにまいて熱をかけると縮むらしい。

いったいこのチューブは何なのか?そもそも熱がかかって収縮するってどういう原理?と思ったので調べてみました。

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熱収縮チューブで有名なスミチューブ(住友電工HPより引用)


熱収縮チューブとは

その名の通り熱を加えると収縮するチューブです。それだけ聞くと何に使うのかわからないチューブですが、意外といろんな分野で使われている優れものなんです。

例えば、電力ケーブルの導線や自動車のハーネス(金属線)などの防食・防水や、逆に流れている電気の漏電を防止するなどといったところで使用されています。

そのため、普段目にすることは少ないですが、実は家庭の電気工作だけでなく様々な分野で私たちの生活を支えてくれているんですね。


熱収縮チューブの原理

ただのチューブのようにも思えますが、1点不思議なところがあります。

一般的に多くの物質は温度が上がると膨張するように思いますよね。しかし、この熱収縮チューブは熱すると縮むという特性を持っています。

それではいったいなぜ、熱を加えることで収縮するのでしょうか。

実は、収縮の秘密は製造方法に隠されていました。

まずドロドロに融けたポリマーを押し出して普通のチューブを作ります。チューブは中にはポリマーという長いひものような分子(高分子)が無数に集まってできているんです。

次に、そのチューブに電子線を当てて、ポリマー(高分子)の架橋を作ってやります。”ひも”のようなポリマーがあちこちでつながって”ひも”から網のような状態にしてやるのが目的です。

何のためにそんなことするの?と思われそうですが、架橋点を作り網目状のネットワークを作ることが、熱による形状記憶を可能にしているようです。

続いて、加熱してチューブを柔らかくしたのち膨らませます。当然、高温状態では柔らかいチューブはそのまま縮んでしまうので、膨らませたまま冷やして固めてしまいます。

こうして作られた熱収縮チューブを加熱するとチューブの素材であるポリマーが柔らかくなるため、電子線によって形状記憶された元の形に戻るということですね。

語弊を恐れず言ってしまうと、無理やり引き延ばされて固められてたチューブが加熱されることで、自由に動けるようになり元の姿に戻るというわけです。

最後に

今回は、あまり見かけないけれど、私たちの生活を裏で支えてくれている熱収縮チューブについて紹介しました。

いろいろと調べてみると、収縮の原理には意外と複雑な背景があることもわかりましたね。

ちなみに最近知ったんですが、熱収縮チューブは単純に金属線を保護するためだけでなく、収縮力を使って収縮チューブ以外の異なる2種類のポリマーチューブ同士をくっつけるなんて仕事もするそうです。

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