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【スパイスの科学】スパイスの女王カルダモンとは

最高の香りを持つスパイスと言われたらいったい何を思い浮かべるでしょうか?

コショウ、クミン、バニラなど、いろいろなスパイスがありますが、カルダモンを忘れてはいけません。

あまり聞きなれない方も多いかもしれませんが、カレーやパン、肉・魚料理といった様々なところで使われるスパイスです。

タイトルにも書いた通り香りの王様スパイスの女王とも呼ばれるほど、その香りは人類に愛されているといえる香辛料なんですね。
ということで、今回はカルダモンの科学について紹介していきたいと思います。


カルダモンの歴史

まずはカルダモンの発祥から見ていきましょう。

カルダモンはインドやスリランカのエリアで古代から栽培されており、2000年以上前から調理と医療用に使われていました。

北欧地域のバイキングは9世紀にコンスタンチノープル襲撃の際にこのスパイスを手に入れすスカンジナビアに持ち帰ったと言われています。

そのような歴史的背景からもアジアだけでなく北欧でも多くの人に愛されており、人気のスパイスのようですね。

またイギリスがインドを統治していたころ、カルダモンはプランテーションの副産物として生産されており、それがドイツのコーヒー園によって1914年にグアテマラに運ばれました。

それ以降、グアテマラが世界最大、インドがNo.2の生産国になったようです。グアテマラ産は輸出専用、インドは自国消費が多いようですね。

近年の最大消費国はサウジアラビアでは、カルダモンコーヒーというドリンクが好まれているようで、その作り方も簡単です。

歴史的・文化的な背景を考えると、アラブからインド、北欧とさまざまな国々で楽しまれているスパイスと言えるでしょう。

カルダモンの科学

カルダモンの成分はユーカリ風味のシネオール、ミント風味のα-フェネチルアセテート、柑橘系のリモネン、フローラルなリナロール、α-テルピネオールが多く含まれています。ショウガの仲間でもあり、その香りの爽やかで柑橘っぽい雰囲気のするスパイスです。

カルダモンにはいくつかの効果があり、消化を促進したり、口臭を予防したり、はたまた精神を安定させる効果もあるようですね。

ここではカルダモンに含まれるα-テルピネオールについて紹介してみましょう。

α-テルピネオールは、月桂樹やローズマリーなどにも含まれる成分で、抗炎症効果や抗菌作用などがあります。またα-テルピネオールの精油は催眠作用があるようで、寝つきが悪いときには良いと言われています。

この成分は大麻にも含まれ、世界的には大麻から摂取している人もいるようです。そうはいっても、日本では大麻は薬物として認知されており、法律的にも議論されているものです。そのようなものは使わずに、カルダモンのα-テルピネオールを楽しんだ方が良いでしょう。

料理に使うには

カルダモンの風味を引き出すには、莢かシードを乾煎りするとスモーキーで香ばしいナッツ風味を楽しむことができます。爽やかな香りから香ばしい風味に変えることができるのは面白いですね。

また、莢をつぶすと油や水分がシードに振れやすくなるため、莢を軽くつぶして外皮を破り、シードを傷つけると良いと言われています。風味成分は水に溶けにくいため、どちらかと言えば油とともに利用すると良いそうです。

相性の良い食べ物としては、ピラフやビリヤニ、肉、カレーなど幅広い料理などがあり、幅広く楽しまれています。また、紅茶やコーヒー、リキュール、に浸すなどドリンクに加えるスパイスとしても利用されていますね。

カルダモンはホール(莢)の状態で購入して調理前に挽くと粉末状のものより圧倒的に香りが違うようです。私は粉末状のカルダモンしか経験したことがないので、スパイスの女王たる所以をまだ感じられていないかもしれませんね。

最後に

今回は、世界中で楽しまれているスパイスの女王カルダモンについて紹介してみました。

カルダモンは重量当たりの価格がサフランやバニラに次いで3番目に高価と言われています。これには諸説あり、今では普通のスパイスの価格と変わりないという説もありますが、歴史的に見て高価な時代があったのか、単なるうわさであったにせよ、それだけ人々に愛されたスパイスであることは間違いがなさそうですね。

参考

スパイスの科学大辞典

孫引きになってしまいますが、カルダモンについて紹介する面白いサイトを見つけました。


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