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2021年をひと月ごとに振り返ることで2022年の抱負を導き出す

謹賀新年。タイトル通り、1カ月ずつ振り返ってみる。本当は、旧年中にやることなのだが、ようやく正月2日になって始める。なにごとも記録をしていくことはとても大事だ。手帳を見ながら振り返り、雑感を書いてみたい。

1月|January

新年から日本料理店「乃木坂しん」のnoteの企画編集をスタートさせる。

西洋料理の取材が多かった僕にとっては、このnoteでの経験は執筆や撮影といったこと以上に、旬の食材、四季への意識、日本料理の方々が大切にしていることを学ばせてもらえた大変貴重な機会だったといえる。

1年続けて一つのお店のコースを見続けることができたのもなおよかった。

一方で後半は、更新頻度が下がってしまった。自分が書くのと料理長の石田さんと支配人の飛田さんにも月に1度書いてもらうというスタイルをとっていたが、この継続が難しかった。2022年は、せめて月2本の更新できるようにバランスをとっていきたい。

1月13日に、現在インハウスエディターとして参加しているシェフレピの山本さんとの打ち合わせが入っている。このあと4月にサービスリリースになるが、このころから定期的にミーティングをしていた。

同日13日には、CHEESE STAND noteで「ファンベース」の取材をしている。

取材に向け『ファンベースなひとたち』を読み、対談でもじっさいにさとなおさんや津田さんに話を聞いて、より理解が深まった。個人的に、とても共感している。

1月末には、山形県酒造組合 の冊子制作にむけての取材が始まっている。緊急事態宣言下ということもあり、撮影以外の取材はオンライン。撮影は、緊急事態宣言が発令されていない県に在住のフォトグラファー、松木一浩さんに依頼し、自分は現場に立ち会わなかった。

そういうなかで自分がイメージするような写真をどれくらい撮ってもらえるかというのは、チャレンジではあったが、松木さんとは2回目の仕事ということもあって、事前にイメージを共有して結果的にはイメージ以上のものがあがってきて「やった!」とうれしかった。

1月末に、瞬間的にブームになったClubuhouseを1月31日から始める。「 #ラジオ江六前 」というタイトルで、それまで毎日書き続けていたnoteについて話すというスタイルで毎朝7時から40分から1時間話すということをスタートさせた。

9月まで毎日続けることになる企画で、今までお会いできなかった方とつながれたのでやってよかった。

とくにclubhouseをきっかけにスープ作家の有賀薫さんや日課ジャーマンの森博幸さん、料理王国を離れてご無沙汰していた仲山今日子さん、食品科学者の石川伸一さんといった方と交流が生まれたのはありがたかった。

2月|February

前職の料理王国で2018年11月に取材をした浅草・鳥越の茶寮「ここのつ」に「kaihouse」の取材で再び取材ができた(2/12取材)。「好きなことを貫く」ということを続けた人として、あこがれていた溝口実穂さんに、3年ぶりにお会いできたのはとてもうれしいことだし、媒体をかえてその後を追えるのもこの仕事の楽しいところだ。

前回は、特集にあわせて「」について話してもらったが、今回はずばり「好きを貫く姿勢」。自分としてもすごく好きな記事ができた。

2/3には、シェフレピの動画の撮影を初めてしている。シェフレピを通じて交流が始まるh.b.シェフに初めてお会いしたのもこの日。続けて2/19には、お世話になっているレストランTOYOの大森さんにも動画撮影をお願いしている。

h.b.シェフ
シェフレピ初動画。豚肉のトムセップ風。
大森シェフ。
牛ほほ肉の赤ワイン煮込み

2月21日から、隔週日曜の7時からClubhouseで、料理家で作家の樋口直哉さんと『フランス料理の歴史』(角川ソフィア文庫)について読みながら話すという企画を始める。

7月10日まで、全11回の配信で樋口さんの圧倒的な知識にくらいつきながら2週に一度話すのは大変だったけど、その分自分なりに勉強をしたし「フランス料理は言語を選び、食卓の意義は会話である」ということや「レストランの語源は、『ブーランジェ事件』に関連する」など学べたのは大きかった。

2月12日には毎年編集・執筆でかかわっている雑誌『時空旅人 別冊 大人が観たい美術展2021』が発売になっている。鳥獣戯画展やあやしい絵展などを担当した。

3月|March

3月3日に1月から制作がスタートしていた「和の酒、山形」の冊子が完成し、山形県酒造組合に日本語版をまずは納品。英語版は同月24日に納品した。

海外に正しく「GI山形」の価値を伝えたいということで、過去・現在・未来、とくに1000年後にも飲まれる「日本酒」であるためにGI認証は大きな一歩であるということを意識して編集した。

制作期間2カ月という超短期間ながら、マネジメントをしてくれた中小路葵さん、編集・執筆では古矢美歌さん、仲山今日子さんに助けてもらった。デザインを料理王国時代に苦楽をともにしたデザインワークショップジンの高岩美智さんに頼めたのもよかった。

都内の撮影では、こちらも料理王国時代にいろいろな取材を回った富貴塚悠太さんにもお願いできた。

冊子「和の酒、山形」日本語版

冊子(日本語版)は こちら から前頁を見ることができます。

3月は、シェフレピのリリースに向けての制作期間で、4月と5月の発売商品の取材が多くあった。LPやプレスリリース用の撮影もした。

LP用の撮影。デザイナーの吾郷建哉さんもいっしょに。
代々木公園にて。

2020年12月からスタートした茨城県公式の「シェフと茨城」では、緊急事態宣言も解除されたこともあり感染対策をしながら3月に2度、白金台の「アルシミスト」の山本健一シェフとスタッフの皆さん、外苑前「JULIA」の本橋健一郎さんとnaoさんをはじめとする都内の飲食店の方々をお連れして産地を回った。

年間を通じて、月に1回の程度で茨城に取材に行くようになり、茨城県が好きになったと思う。最近では「茨城」の文字を見ると、出身地の千葉以上に反応をするようになった。山も海も湖もあり、しかも都内から近いというのが茨城の魅力。物を作る人たちの真剣さ、真摯さにも毎回刺激を受けている。

4月|April

4月7日(水)にシェフレピがスタートした。2020年12月7日に渋谷スクリームのスターバックスで山本さんにお会いして「シェフレピに入ってほしい」といってもらってからちょうど4カ月でのリリースだった。

フリーの編集者になってからのテーマは「選択肢をつねに持ている状態で仕事をすること」だった。

仕事が急に終わることもあるし、コロナ禍のようなことが起きれば仕事が減ることもある。そういったリスクをつねに持っているいることはフリーだろうが会社員だろうが、程度は違えど必ずあるわけだが、「会社員」というある意味での専属性は、リスクが高いように感じていた。

リスク分散という意味でも、フリー編集者としてベースになる仕事をもちながら、いくつかのプロジェクトやチームに所属していくという仕事の仕方をイメージしていて、シェフレピは「ベース」になる大事な仕事として、大変助けてもらった。

もちろん経済的なこと以外にも僕自身がなぜ食の仕事をするのかという根幹でもつながっていると思っている。「レストランの価値を広く伝える」というミッションのなかでも「シェフレピ」のサービスを大きくしていくことは、シェフの価値を高めることであり、それはそのままレストランの価値を高めることにつながると思い、2021年のもっとも大きな仕事としてかかわらせてもらった。

リリース直後には、翌月の商品の取材もあり、なかなか息つく時間はなかったが、MAGARIでお世話になっていた米澤文雄さんや、前職でお世話になったラムバサダーの福田浩二さん、東浩司さん、田淵拓さん、宮島由香里さん、梁さん、京都・木津川「リストランテ・ナカモト」の仲本章宏さん、外苑前「アンディ」の内藤千博さん、 #CookForJapan でかかわりがある関口幸秀さんや表原平さん、小泉敦子さんなどを巻き込んでサービスを作れたのは、ほんの少しではあるがようやくこれまでのお返しができたのではないかと思っている。

シェフレピとしては、2021年末でいったんサービスを解体して、2022年2月に再リリースをする予定。こちらも現在鋭意制作中なので、今年前半の大きなチャレンジになりそうだ。

4月14日には、コロナ禍で始めた関口幸秀さんとのYouTube番組「 #教えて消費レシピ 」が50回を迎えた。毎週水曜日の22時から1時間程度、冷蔵庫に余りがちな食材を使ってシェフが料理をするというオンライン配信番組。途中、関口さんが新潟県長岡市に単身赴任する時期もかわらず配信を続け50回、約1年続いたことになる。

その後も週一の配信は続けており、2021年末までに81回を重ねている。もはや生活の一部になっており「大変」とはまったく感じなくなった。

2022年も変わらず続けていくが、もう少し再生数やチャンネル登録数を増やしていきたいところ。この機会にぜひチャンネル登録をお願いいたします!

5月|May

CHEESE STANDのnoteの編集を始めて、大きく変わったのは国産チーズのおもしろさに気づいたことだった。

とくに「自粛期間中、日本のチーズを応援しよう!」と1月から始まったインスタライブシリーズ「CHEESE CRAFTSMAN」がおもしろくて、日本のチーズ生産者とCHEESE STANDの藤川真至さんの対談を通じてさまざまな人がそれぞれの価値観を持ってチーズで何か(自分が食べたチーズだったり、地域の活性化だったり)を表現していることを語っているのはとても興味深く、それぞれにドラマがあると感激しながら聞いていた。

5月にはCHEESE STANDのnoteで、Cheese Craftsmanについて書いた。

シリーズは、6月17日まで続いて21名のCheese Craftsmanが出演した。

5月末には京都に出張。料理王国時代に企画の相談をさせてもらっていた京都・木津川の「リストランテ・ナカモト」の仲本章宏さんに取材をすることができた。

仲本さんが木津川に店をオープンしたということで、2012年に料理王国の事務所にあいさつに来られたのが交流の始まり。僕自身、料理の仕事をやり始めたばかりということもあって、ともにチャレンジをする同志と勝手に感じて、いろいろと相談やアドバイスをもらってきた。

今は、フリーになって、やっぱり「」をやり続けたいと思って仕事をするなかで、新しい立場で仕事をお願いできたのは、本当にうれしかったし、そういう場を与えてくれるシェフレピには感謝しかない。

上の記事は、何本も書いたシェフレピのインタビュー記事のなかでも気に入っている記事。仲本さんの歩んできた道とそれを支えたパスタ。レシピの向こうにある料理人の人生まで感じてもらえるような内容になったと思っている。

仲本さんの料理


仲本さんの取材とともに、もう1軒、京都で「チェンチ」の坂本健さんにもインタビューできたのも思い出深い。

もともと予約の取れないレストランで、さらには「アジアのベストレストラン50」の2021年版では、リストイン間近の51~100位にランクインしたりと、世界が注目するレストランのシェフに、コロナ禍で話を聞けたのは貴重な経験だった。

坂本健さん。

京都では、旅ランもできて、京都駅から伏見稲荷まで走ってすごく気持ちがよかった。

6月|June

今年もいろいろなレストランで食事をすることができた。そのなかでももっとも記憶に残っているのが、6月に行った茶禅華である。

すごくシンプルなことだが、「料理を最高の状態でテーブルに届ける」ということがレストランの最大の役目であることを、シェフの川田智也さんだけでなく、お店のスタッフ全員が理解している。さらにそのために極限まで追い込んでいく気迫が1つ1つの料理にこもっていて、それでいててらいなく真摯に語りかけてくる。

2021年版のミシュラン・ガイドで三ツ星を獲得したばかりということもお店に独特のエネルギーを与えていただろう。幸運なタイミングで行くことができた、思い出の夜。

6月28日には、オーストラリア産牛肉のPRサイト(MLA、豪州食肉家畜生産者事業団)で連載企画  わたしにあう、オージー・ビーフ がスタートした。

MLAは、シェフレピでもお世話になったラムバサダープロジェクトなど、これまでラム肉とお付き合いがあったが、ビーフの方でも何かできないかと光栄にもお声がけをいただき4月からプロジェクトが始まった月1回の連載だ。企画立案から編集・執筆を任かせてもらえたのはとてもうれしいことだった。

オーストラリアは、世界に先駆けてカーボン・ニュートラルな畜産を掲げ国である。畜産をSDG’sだけで語るのは非常に危険なことではあるが、かといって畜産がSDG’sに向けて取り組みをしないというのも目を背けているようで気持ちがわるい。

オーストラリアの牧草飼育牛やカーボン・ニュートラルへの取り組みは、アニマルウェルフェアやエシカル、ヴィーガンといったものに対して、理解を深めるためにきっかけになるのではないかという思いが強い。

実際、オージー・ビーフっておいしいと思う。だけど「安いけど、牛肉としては硬い」というイメージが強くて、食べず嫌いみたいなところがある。それを連載を通じて、古いイメージを変えることができたらと思っている。

個人的には、「私に合う」と「私似合う」をかけた連載のタイトル「わたしにあう、オージー・ビーフ」というのは気に入っている。

そもそも、オーストラリアの自由でハッピーな雰囲気は、とても大好きなので、オーストラリアのことができたのもうれしかった。

2022年も引き続き、連載は続くのでチェックしてもらいたい。

さらにさらに、6月16日から30日まで #CookForJapan と「食べチョク」がコラボレーションしたポップアップレストラン「 #RESQ 」をJR新大久保駅直結の食の複合施設「Kimchi, Durian, Cardamom,,, 」にオープン。

メインシェフを関口幸秀さんが務めたくさんの方に来場してもらった。

僕としては、「声の手紙」で「 #RESQ 」に参加。おもに通信販売商品に、生産者の約10分ほどのインタビューをつけることで、食材に対する理解を深めるだけでなく、「」という人に由来するものだけで届けることでより強い絆が生産者と食べる側に生まれるのではないかという意図をもったものだった。

声の手紙は、2020年12月にフードポットの企画でインタビューをしてもらったことで「」の可能性にいち早く気づかせてくれた麻生桜子さんと一緒に制作した。

これはある意味で、1月から続けていたClubuhouseの成果の一つである。また別の企画で、声のメディアを使ってみたい。

7月|July

7月7日に新型コロナウイルスに対するワクチン接種の第1回を行った。

できるだけ早くワクチン接種をしたいと考えていたので、情報を集めていた。もともと糖尿病の治療をしていたこともあり、「基礎疾患あり」で早期に接種できるかと思っていたら、投薬をしていることが条件だったため、該当せず。そのかわりBMI値が30以上であることも基礎疾患の条件に入っていたので、ここが該当。一般よりも早く受けることができたのだ。

2回目は8月1日。2回目の方が副反応が強いということで、経過をnoteにまとめていた。3回目は、どうなるのだろうか。

7月16日には、CHEESE STANDの初めてのファンミ―ティングを開催。「ファンベース」の考え方を展開したイベントで、藤川さんとはずっとやりたいと話していたことが、CHEESE STANDに新しく入った米田望さんの力で実現することができた。

7月から3回を実施、2022年は定期的に開催できるといいなと思う。

8月|August

8月6日、44歳の誕生日だった。手帳をみると、シェフレピの取材とシェフと茨城の原稿締め切りがあったことがメモしてある。

スペイン・バスクから一時帰国中だった前田哲郎さんを茨城にお連れしたのが8月18日だった。入国後、2週間の自主隔離期間を終えて最初の行先を茨城にしてくれたのは、笠間の陶芸家・Keicondoさんに会うためだった。

スーシェフとして活躍していた前田さんは、近く独立を考えており、器をKeicondoさんに相談したかったという。この日が初対面なのだが、前田さんがKeicondoさんを知るきっかけになったのが、じつはkaihouseで僕が書いたKeicondoさんの記事だった。

読んですぐにmessengerに連絡を前田さんが連絡をくれて、帰国の際には必ずお連れすると約束が実現できたのはうれしかった。

8月31日には、7月から一部編集と執筆をしていた「孤高の画家 ゴッホ ~ クレラー = ミュラー 美術館所蔵品でたどる」が発売になる。

5年前に訪れた、オーヴェール・シュル・オワーズのルポを自分の写真とともにつづれたのは、いい記念になった。

9月|September

9月14日、2019年12月から毎日更新していたnoteをやめた。

noteをやめたわけではなく、毎日更新することをやめただけで、その後こうやってちょこちょこと思いだしたように書いている。

同じく、2021年1月から続けていたClubuhouseの #ラジオ江六前 も14日の朝の配信でやめている。

noteにしろ、Clubhouseにしろ、自分の仕事と並行して行うにはちょっと重たいというのが正直なところで、簡潔にいえば「今の生活のために、すべての時間を現金化したい」という決断したということになる。

noteもClubhouseも未来の自分に向けての投資で、お金にならなくてもやり続けることだと思っていたのですが、おかげさまでいろいろと仕事をしていくなかで、それらに使う時間がなくなってきてしまったのだ。

もちろん仕事を効率的にやって、時間を作るということが、本来の個人メディアの育て方なのだろうが、フリーになってまもない自分にとっては、さまざまな仕事にできるだけ時間をかけて丁寧に関わりたいと思うと、毎日noteとClubhouseにかけていた3時間という時間をさけなくなってしまっていた。

noteとClubhouseで発信しているコンテンツの質が低下しているのも自分で気づいてたことも大きい。あまり納得していないものを「毎日続ける」という目的だけのために垂れ流しつづけるのは、自分の価値を下げることになるのではないかという思いもあった。

セルフブランディングの一つとして次の仕事につながればと思っていたが、自分自身も納得せずにやるくらいなら、今関わっていることの質を上げることで自分の価値を上げていこうと思うようになり「えい」と一気に2つのメディアの毎日更新をやめることにした。

結果的には、10月のシェフレピのサービスリニューアルを無事に終えることができ、さらにはフードカルチャー誌「RiCE」に参画など新しい挑戦をする時間も増えた。

一方で、noteとClubhouseの毎日更新・配信がなくなったことでTwitterの更新頻度も下がって、記事の公開やサービスの開始など告知ばかりになってしまい、SNSでの人との交流が少なくなってしまったのはとても残念に思っている。

2021年は仕事をしつつ、セルフブランディングとしてnoteの更新頻度を増やしていきたいし、SNSでの交流も増やしていきたいと思っている。

9月から渋谷店のシーズナルメニュー(月替わり商品)を紹介する企画をCHEESE STANDのnoteで始めた。

CHEESE STANDのチーズは大好きだけど、カフェを利用したことがないという人は多いのではないだろうか。実は僕もその一人で、失礼な話「カプレーゼなら家で作る」と考えていたくらいだ。

しかし実際は、フルーツブッラータ、ピッツァ、タルティーヌといったメニューは、月替わりで考案されていて、食材も農家さん直送だったりしてとてもこだわったメニュー作りがされている。

さらに試食会は月に2度は最低でも行われていて、渋谷店の日向店長と関口さんによるレシピは工夫がこらされていて、とてもよくできた料理が考案されている。さらに、それに対して藤川さんが意見をしながらブラッシュアップしているので、チーズ料理として完成度が高いのだ。

そういった努力を知らずに「興味がない」と言っていた自分がとても申し訳なく、それならその試食会をきちっとレポートして、シーズナルメニューの価値を知ってもらおうと思って始めたのがこの企画である。

9月以来毎月の試食会に参加していると、本当に2人それぞれの個性がきちんとお皿にでていて、食べていて面白いなと思う。

藤川さんに注目が集まりがちなCHEESE STANDのなかでも、店舗のスタッフにスポットライトを当てられたのは、偉そうな言い方だがよかったとも思っている。藤川さんに「2人のモチベーションになっている」と言ってもらえたのは光栄だ。

10月|October

10月1日にシェフレピから新たらしいラインとして「ステップアップ(β)」がリリースされた。

スタディ型ミールキットサービス」というある意味での「物売り」のサービスから、物は売るけど根本的な価値は「学び」を売るサービスであろうというのが趣旨で、未来を見据えた第一歩だった。

ミールキットはあくまでメディアで、そのメディアに何を記録していくかということで、そういう点では雑誌も書籍も紙というメディアに記録するものを本質的なサービスにしていて、同じところを目指しているのだろう(昨今は、物売り的な本が増えてきているが)。

学びを売る」というスタンスは、2月のサービスリニューアルに根本的に引き継がれていて、物売りからの脱却をシェフレピとしては目指していこうとなっている(僕の理解では)。

10月11日に、交流のある金子未弥さんに案内をしてもらって、奈良・天川村の「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館を見て回れたのはいい経験だった。

金子さんとは、2020年11月に参加した「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」でお会いし、以来、頻繁に交流をしている現代作家で、MIND TRAILにも作品を展示している。

上のnoteにも詳細を書いているので、省くが、こういった芸術祭に料理人やレストランが参加したときにどんなインスタレーションを創れるのだろうか、というのはこのときに強く感じたことで、「食はアートになる」というのなら、そこをクリアしていかないといけないと思った。

その思いは、12月の「 #イルヨドウゴ 」につながっていく。

10月31日には、金沢マラソンにチャレンジしてなんとか完走。タイムは、5時間41分41秒(ネットタイム、6264位/7851人)。前回出場した2019年大会では、5時間20分を切っていたので、自己ベストとはいかなかったけど、夏からできるだけのことはしたので、タイムとしては妥当だと感じている。

スタート地点に向かう。
スタート直後。まだ顔に覇気がある。
ゴール直後。
フィニッシュ。やつれているのがわかる。

マラソンは、嘘をつかないところがおもしろい。

口で「練習している」といっても、練習不足だったり、体重管理ができていなければ、それがストレートにタイムに現れる。

もちろん精神面の良し悪しもあると思うが、市民ランナーレベルでは、そこまで結果に影響を与えるものではないと僕は思っている。

なので、結果を見て「良かった」とか「悪かった」ということではなく、「これが今の自分である」と突きつけられるという点では、ひじょうにシビアだ。

ただ、逆に言えば練習すればするだけ結果として現れるのは、シンプルでいい。

4月に長野マラソンの出走を目指している。こちらは5時間以内の制限があるため、いまからトレーニングをして、5時間を切ることを目指したい。

11月|November

8月から準備を進めていた鹿児島県大崎町とシェフレピのコラボミールキットが11月14日にリリースされた。

2019年に2度にわたって、シェフの大野尚斗さんとともに大崎町を訪れて、その様子をONE STORYで記事にした。

これがきっかけで大崎町とご縁をいただき、シェフレピとコラボを提案し、ふるさと納税の返礼品として出品するプロジェクトを8月からスタートさせた。

9月と10月に大野シェフに上京してもらい撮影をするなど準備を進めてきたものがついにリリースされたのだ。

11月25日(木)から各種ふるさと納税サイトで出品もスタートして、12月31日まで出品は続いた(途中、マンゴープリンとのセットも販売)。

大崎牛を使ったポトフがメインで、けっこう難易度の高いレシピにもかかわらず、TwitterやInstagramには、おいしそうに作っている写真が見え、そのつど感激している。また、「おいしいとともに、シェフのすごさを知れた」という感想は、「おいしい料理」にかかる物理的な工数を知ってもらういい機会になっていると思う(おいしいものは手間がかかるし、その分価格もあがるんだという、単純なことも含め)。

大野尚斗シェフ
大崎牛のポトフ

12月|December

10月末に「道後温泉クリエイティブステイ」のクリエイターに選ばれ、12月2日から8日まで道後温泉に「侍キュイジニエ」のメンバーとして滞在してきた。

2020年10月の伊勢市クリエイティブ・ワーケーションの#MIKASHIKIでは、シェフの大野尚斗さんと僕の2人だったが、レストラン運営をするうえでのオペレーション管理やドリンクの重用性をかんがみて、レストランTOYOの成澤亨太さんが加わり、3人体制の参加となった。

大きな目的はポップアップレストラン「 #イルヨドウゴ 」を道後温泉滞在中に開催すること。県内の食材を視察したり、地元の料理店で食材を学んだりしながら当日を迎えた。

内容は改めてnoteにまとめたいと思っている。

12月は、さらに2つの雑誌をかけもっていたことで結構忙しかった。

ひとつはフードカルチャー誌で季刊誌の「RiCE」。編集長の稲田浩さんにお声がけいただいて、企画会議から参加させてもらっている。Twitterではちょこちょこと、取材の様子をツイートしているだが、「ラーメン」をテーマにしている。

食の雑誌は、2021年の3月に、『食楽』の1企画を手伝ったりはしたが、企画からかかわるのは前職の料理王国を離れてから初めて。2年半ぶりになる。

本を作るというのは、僕の編集者としてのルーツであるし、紙文化で育った世代でもあるので、自然と力が入る。もともと好きな『RiCE』にかかわれるということでさらにエキサイティングしている。

2月発売の号に参加しているので、発売が今から楽しみだ(これから原稿書かないといけないけど)。

もう1つは、昨年もやらせてもらった「大人が見たい美術展」の2022年版だ。通な展覧会を担当しているので、調べものをするにも資料が少なく大変だが、新しいアーティストや美術館を知れる機会を得られるのは、とてもありがたい。

2022年正月|New Year

会社員でなくなり、フリー編集者になって4月で丸2年になる。

おかげさまでさまざまな仕事をさせていただいていて、「やりたい仕事だけをしていい」というのは、精神面でものすごく健康的だ。

一方で、1年半やってきて、自分個人で働ける時間の限界値がわかってきて、いままでの仕事内容ではこれ以上収入があがらないラインまで来たかなという印象がある。

要は、「書く」という仕事が、いま僕のなかで一番求められている仕事なわけだが、この「書く」という仕事は、一定の時間を使うことになるので、たとえば1カ月に100本を書くのは物理的に不可能で、上限が出てくる。

もちろん書くということは自分のベーシックな価値ではあるのだが、もっと編集の部分だったり、企画力だったり、ディレクションの部分の価値を高めていくことがより重要になってくると感じている。

そのためには、やはり1人では難しくて、チームが必要になる。「会社を作ればいい」ともアドバイスを受けるのですが、そうすると結局もとの「編集プロダクション」とやっていることが変わらなくなって、もとに戻った感があって、どうも自分のなかで気持ちがよくない。

何かを考えなければと思いつつも、目の前の仕事をやっていくということが2022年も続くのかなと思っており、そこをどうにか脱却するのが、今年の抱負といえようか。

ただnoteもClubhouseもやめたのをきちんと自分では理解しようと思っていて。やはり、「仕事をする人の価値は作ったもので測られるべきだ」ということ。今やっている仕事で結果を残すことが、ひとつの突破口になるのではないかと思っていて、だからこそ2022年は粛々といいコンテンツを作っていくのが最大の近道だと思っている。

つまり、1万1600字もかけて言いたかったのは、「コンテンツを磨く」が2022年の抱負ということになるわけだ。



料理人付き編集者の活動などにご賛同いただけたら、サポートいただけるとうれしいです!