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オールシーズンあなたの事を考えた

ここ一年、カメムシとの遭遇が半端なかった。
人類とカメムシ、どちらの数が多いのか、同等か、それともカメムシか。カメムシの方なんじゃないのか? 地球はカメムシに乗っ取られようとしてるんじゃないのかと思わせるほど、私たち人間の豊かな生活を侵略してきた一年だった。

つまり、洗濯物がヤツらが苦手な寒い冬でも外に干せなかった事に私は憤りを覚えるのだ。

春夏秋冬。

カメムシ、夏と冬ぐらい私に安心させて洗濯物を外に干させてよ。そうやって私たち、互いを敬って同じ地球上で共存してきたじゃない。そうだったでしょ?

心地よく暖かい気候は、あなた達が活発になる時。洗濯物を外に干せば、必ずあなた達は私の服を纏うように内側に姿を潜めてる。

洗濯物をたたむ時にあなたを発見した時、物凄く恐怖でたまらないの。

ゴメンなさい。怖いと思ってしまって……。でも私、嘘なんてつけないの。

正直あなたは凄く臭い。
私はあなたに嘘なんてつけない。
あなたは臭い。とっても臭いの。

洗濯物に紛れていて、発見出来なくて私が服の袖を通した時、あなたは命をかけて放屁するでしょ?
それをされた時の私の気持ち、考えたことある? どれ程のストレスに『心の臓』が脈打つのか、あなたはいつも、のほほんとして考えもしない。

でもそれも仕方ないって割り切ってる。だってあなたは虫なのだから。空気読めなくても当然だものね。

だから私は、あなた達に春と秋を譲った。
私のターンは夏と冬のはず。
だのになぜ? あなた達は去年からオールシーズンになってるじゃない。おかげで冬でも洗濯物を外に干せやしない。
さっさと冬眠しなさいよ。

そんな感じで冬も部屋干しで越えて、もうすぐ春が来ようとしている。

「もうたまらん知るか!」

と、掃き出しの窓を開けて洗濯物を干そうとしたら、サッシの隙間にあなたがいた。

私は驚き、勢いよくサッシを閉めてしまって……。

大丈夫!? 潰れてしまったかな? なんて心配させるところ、なんてかまってちゃんなの。
だって潰してしまったならあなた、とてつもなく臭いから。私が迷惑するから心配しただけの事。

私はあなたが嫌い。とても嫌い。
嫌いなのに毎日あなたを考えた。
冬にもあなたを考えて、もうすぐ春がくる。
そうしたらあなたは、水を得た魚のように元気になって飛び回るんだ。ブーンって、重たい羽音を立てながら。

自由でいいよね。

私もあなたの臭さがアロマの良い香りと思えるほどに強い人間になれれば、春夏秋冬堂々と洗濯物を外に干せるんだろう。

私があなたに歩み寄れば、きっともっと心豊かに過ごせるのかもしれない。
でもそれは今の私にとっては難易度が高い。
あなたは最強の虫。あなたの天敵って、何なの?


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