襟瀬かな

日常。

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たぶん私、鳥が好き

これは勝手な想像なんだけど、私たち人間からすると、米俵を背負って歩くぐらいかな? 彼らは呼吸をし続ける間、ずっと、ずっと、米俵を背負ったような負荷が当たり前で、…

襟瀬かな
5日前
44

優柔不断な空

優柔不断な空だと思った。 雨降りかと思えば日が差して来て、晴れたと思えばポツポツ雨が降り出す。 おかげで蒸し暑さが増し、さらにマスク着用必須の職場だから不快指数…

襟瀬かな
22時間前
24

テレパシーが使えない世の中だから

約束事が苦手な私は、美容院の予約は当日予約を好む性分だ。しかしそんな我儘もいけないと少しはオトナになり、1週間前予約をしていた。 さあ、伸びてきた髪を程良く整え…

襟瀬かな
7日前
38

36色入りの色鉛筆

職場の利用者様と塗り絵をしたら、思いのほか楽しくて驚いた。それに、集中しすぎて頭の中が凪になる。塗り絵には私を心地良い時の中へと引っ張り込む威力があると気付いた…

襟瀬かな
2週間前
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100パーセントの事実

ゴールデンウィークは実家で過ごした。 静まり返った夜中、突然ガタガタと神棚が揺れ出した。 実家の仏間で息子と娘と川の字になって床につき、しばらくしてからの事だった…

襟瀬かな
2週間前
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しらす召喚

娘が、「鼻をフン! とやったらこんなん出てきた!」 と言って見せてきた。 鼻から出たにしては大きすぎる物体だった。 軟骨のような細い塊がティシュの中にあり、私はひど…

襟瀬かな
1か月前
33

アサリさん

スーパーでアサリを買い、砂抜きをしていて困ってしまった。 塩分濃度は3パーセント。 バットにアサリを入れ、ひたひたの塩水を入れる。しばらくすると貝からは本体がに…

襟瀬かな
1か月前
40

カラスの友達リスト

最近カラスを近くで見る機会が多い。 毎朝職場の秘密基地のベンチに腰掛け、スマホを触りながら、就業10分前まで時間を潰す。 それから厨房の外壁とフェンスの間の細い道を…

襟瀬かな
2か月前
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オールシーズンあなたの事を考えた

ここ一年、カメムシとの遭遇が半端なかった。 人類とカメムシ、どちらの数が多いのか、同等か、それともカメムシか。カメムシの方なんじゃないのか? 地球はカメムシに乗っ…

襟瀬かな
3か月前
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食べ頃のアイスクリーム

冷凍庫の中に私のアイスがあるはずだった。 一箱6個入りで、一人2個の分け前で食べられるカップ形のチョコチップ入りバニラアイスだ。しかし、探せど私のアイスは見つから…

襟瀬かな
3か月前
52

南天の実と鳥のいない空

最近鳥の姿を見かけなくなったと同僚が言った。 南天の実を食べる鳥がいないから、今年は珍しく実が残っている……と。 意識を向ければ確かにそうだと気がついた。 いつで…

襟瀬かな
3か月前
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髪型一つで世界が変わる

例えばコケシ物語とかいうアニメがあったとして、それを実写化されたなら、私は脇役で出演できるほどにコケシなのかもしれない……。と、自分を疑った。 『んふんふ』とで…

襟瀬かな
3か月前
43

寝具に歓迎されない日

木曜日が好きじゃない。 土日が休日の私は、木曜には既に一週間分の疲れが蓄積し、明日は休みだと錯覚するほどだ。けれども明日は金曜日で出勤せねばならない。 その現実を…

襟瀬かな
4か月前
35

美しい夕日を見た時

最近外出する際、「行くぜよ!」と言ってしまう。 何かをし始める時は、「やるぜよ!」だ。 豆腐を買えば、「揚げ出し豆腐を作るぜよ!」となる。 とにかく「ぜよ!」を言…

襟瀬かな
4か月前
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直樹さん宅は素晴らしい

今更になって私、半沢直樹を観ている。 いつか観ようとは思っていたが、視聴に至るまでに随分と時が流れてしまった。 なぜ今更なのか。 それはリアルタイムで放送されてい…

襟瀬かな
4か月前
48

今年のクリスマス

クリスマスにケーキを作る行為。 特に誰にも求められてはいないし、作るの面倒だなって思う。だけど買うより作る方が断然安いし、作り始めてしまえば出来上がりまでの道の…

襟瀬かな
5か月前
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たぶん私、鳥が好き

たぶん私、鳥が好き

これは勝手な想像なんだけど、私たち人間からすると、米俵を背負って歩くぐらいかな?
彼らは呼吸をし続ける間、ずっと、ずっと、米俵を背負ったような負荷が当たり前で、それに気づかず平和に過ごしているのかもしれない。

ある日私がそんなふうに気になりだしたのは、鳥たちのこと。
彼らの身体に対して脚の細さは、人間からすると米俵を背負ったぐらいの負荷がかかってるんじゃないのかな? 違ってたらごめんなさい。

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優柔不断な空

優柔不断な空

優柔不断な空だと思った。

雨降りかと思えば日が差して来て、晴れたと思えばポツポツ雨が降り出す。
おかげで蒸し暑さが増し、さらにマスク着用必須の職場だから不快指数が上乗せされる。

私、汗臭いかな? と心配になるけれど、周りの同僚は私がキャッチするユニット内の汚臭に対して鈍感な嗅覚の持ち主ばかりなので、その点は気が楽だ。
きっと私はフローラルブーケの香りを放っているはず。

それにしても浴室の湿度

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テレパシーが使えない世の中だから

テレパシーが使えない世の中だから

約束事が苦手な私は、美容院の予約は当日予約を好む性分だ。しかしそんな我儘もいけないと少しはオトナになり、1週間前予約をしていた。

さあ、伸びてきた髪を程良く整えてもらおうとして行きつけの美容院へと出陣したのだが、その後の私の心の中では嵐が吹き荒れ、暴風警報は未だに現在進行形である。

私のオーダーの仕方がまずったのか……。

確かに髪を切られている時、私は一切口を開かずにいる。何かを問われれば応

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36色入りの色鉛筆

36色入りの色鉛筆

職場の利用者様と塗り絵をしたら、思いのほか楽しくて驚いた。それに、集中しすぎて頭の中が凪になる。塗り絵には私を心地良い時の中へと引っ張り込む威力があると気付いた。

それからというもの私は、手が空いた少しの時間でも利用者様と一緒に色鉛筆を手にするようになった。

「ここは何色でぬればいいんかね?」

花の塗り絵に取り組む利用者様に、

「好きな色でいいと思いますよ」

と応えた。それでも「わからな

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100パーセントの事実

100パーセントの事実

ゴールデンウィークは実家で過ごした。
静まり返った夜中、突然ガタガタと神棚が揺れ出した。
実家の仏間で息子と娘と川の字になって床につき、しばらくしてからの事だった。

夢なのか現実なのか、神棚は怒り狂ったように揺れている。

私はそれを夢うつつで聞きながら違和感を覚えた。
地震にしては、私の身体は少しも揺れてはいない。
しばらくガタガタしたかと思うと、私の頭近くにドス! と何かが落ちてきた。
私は

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しらす召喚

しらす召喚

娘が、「鼻をフン! とやったらこんなん出てきた!」
と言って見せてきた。
鼻から出たにしては大きすぎる物体だった。
軟骨のような細い塊がティシュの中にあり、私はひどく驚いた。

スッキリしたと言う娘の顔は清々しい。
しかし私は、こんな大きな塊が鼻から出てくる非現実っぷりに心の臓が高鳴った。

私はオエオエ言いながらそれを観察してみた。

訳の分からない物体は鼻クソだろうと決めつけてゴミ箱に捨て去る

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アサリさん

アサリさん

スーパーでアサリを買い、砂抜きをしていて困ってしまった。

塩分濃度は3パーセント。

バットにアサリを入れ、ひたひたの塩水を入れる。しばらくすると貝からは本体がにょきにょきと飛び出してきた。
カタツムリに似ている。
いくつかの個体が目を出すかのようににょきにょきと飛び出してきて、一番活きのいい個体がピュっと塩水を吐き出してきた。

同じアサリでも個体によっては貝の柄も大きさも色も違う。個性がある

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カラスの友達リスト

カラスの友達リスト

最近カラスを近くで見る機会が多い。
毎朝職場の秘密基地のベンチに腰掛け、スマホを触りながら、就業10分前まで時間を潰す。
それから厨房の外壁とフェンスの間の細い道を歩いて職員玄関へと向かうのだ。

その時、大抵カラスが通り道に止まっている。

毎朝カラスは私の姿を確認すると、とても親切にフェンスへと退いて私に道を譲ってくれるのだ。

今日はそんなカラスが二羽もいて、私は嬉しいような怖いような、そん

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オールシーズンあなたの事を考えた

オールシーズンあなたの事を考えた

ここ一年、カメムシとの遭遇が半端なかった。
人類とカメムシ、どちらの数が多いのか、同等か、それともカメムシか。カメムシの方なんじゃないのか? 地球はカメムシに乗っ取られようとしてるんじゃないのかと思わせるほど、私たち人間の豊かな生活を侵略してきた一年だった。

つまり、洗濯物がヤツらが苦手な寒い冬でも外に干せなかった事に私は憤りを覚えるのだ。

春夏秋冬。

カメムシ、夏と冬ぐらい私に安心させて洗

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食べ頃のアイスクリーム

食べ頃のアイスクリーム

冷凍庫の中に私のアイスがあるはずだった。

一箱6個入りで、一人2個の分け前で食べられるカップ形のチョコチップ入りバニラアイスだ。しかし、探せど私のアイスは見つからない。

「誰か私のアイス食べた?」

子供たちに問うと、娘は首を横に振り、息子はパソコンを触る手を止めた。

「オレが食べた。ゴメン」

私はその言葉に驚かずにはいられなかった。

私の分け前は二つも残っていたはずなのだ。確かに長い間

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南天の実と鳥のいない空

南天の実と鳥のいない空

最近鳥の姿を見かけなくなったと同僚が言った。
南天の実を食べる鳥がいないから、今年は珍しく実が残っている……と。

意識を向ければ確かにそうだと気がついた。
いつでもそこに居るはずの、ふてぶてしくゴミ袋を漁るカラスすら見かけない。それに、南天の実の赤色がやけに印象に残った。

気にし始めたら鳥のいない空が寂しく思えた。
かくれんぼの鬼をいつまでも続けさせられているような不安が付き纏う。それが何日か

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髪型一つで世界が変わる

髪型一つで世界が変わる

例えばコケシ物語とかいうアニメがあったとして、それを実写化されたなら、私は脇役で出演できるほどにコケシなのかもしれない……。と、自分を疑った。
『んふんふ』とでも呟けば、なめこでも行けそうだ。

そう思い始めたら、私は自分の髪型に疑問を抱かずにはいられなくなってしまった。

製作者の美容師さんが悪いのでは無い。
このボブヘアーはとても手入れが楽で忙しい朝は大変感謝している。

けれども私の毛量が多

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寝具に歓迎されない日

寝具に歓迎されない日

木曜日が好きじゃない。
土日が休日の私は、木曜には既に一週間分の疲れが蓄積し、明日は休みだと錯覚するほどだ。けれども明日は金曜日で出勤せねばならない。
その現実を突き付けられる木曜日がとても嫌いだ。

朝から『今日は9時に寝る!』を目標にし、晩酌もそこそこに床へと入った。
目標達成の9時だった。

ところが、いつも快適に寝られているはずの寝具が硬く感じた。木の上に寝てるのかというほどに身体が痛い。

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美しい夕日を見た時

美しい夕日を見た時

最近外出する際、「行くぜよ!」と言ってしまう。
何かをし始める時は、「やるぜよ!」だ。
豆腐を買えば、「揚げ出し豆腐を作るぜよ!」となる。
とにかく「ぜよ!」を言いたくてたまらなくなってしまった。

なぜ故にそうなったのか。

ドラマの「JIN-仁- 」の影響だ。

私は最近、ドラマ鑑賞にハマっている。
テレビ番組は観ないしアンテナ線も繋いではいないが、「テレビ」という電化製品は、テザリングで映像

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直樹さん宅は素晴らしい

直樹さん宅は素晴らしい

今更になって私、半沢直樹を観ている。

いつか観ようとは思っていたが、視聴に至るまでに随分と時が流れてしまった。
なぜ今更なのか。
それはリアルタイムで放送されていた頃、世間の皆が面白いと騒げば騒ぐほど流行りになんて乗るものかといった天邪鬼な私が邪魔をしたからだ。それに、直樹さんは小難しい人という偏見もあった。とても私とは住む世界が違いすぎる……。

例えば、竪穴式住居に住む私が高級住宅街のお宅に

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今年のクリスマス

今年のクリスマス

クリスマスにケーキを作る行為。
特に誰にも求められてはいないし、作るの面倒だなって思う。だけど買うより作る方が断然安いし、作り始めてしまえば出来上がりまでの道のりはテンション上がってくる。子供達も自然と手伝いに来て、レシピとにらめっこしながら完成した時の、あの写真撮影の時間……。

面倒くさがりの私でも、作ってよかったって思えた。
達成感がすごくて、今ある私の実力以上のケーキの出来栄えにほくそ笑ん

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